Help Me・・・

Help Me・・・—3 SAKURA∞SAKU first

あ『そんなことだろうと思った。』
「へ?」
あ『言ったでしょ?呼び出されるの分かってたって。まぁ、新名君のことはビックリしたけど』
「はぁ。」

 

呼び出されるの分かってたって・・・
さっぱり理解が出来ない。
分かるように説明してもらえないだろうか。

 

あ『話してよ。有希の今の環境。それと彼らのこともね。』
「え?あ、あぁ・・・えーとですね・・・」

 

桜館に来た経緯
住人のこと

チューマシーンにされそうな日常生活
最近の出来事などなど

詳しく話したわけですが---

 

あ『・・・・・羨ましいわ。』
「・・・代わります。喜んで。」

 

マジで。

 

あ『・・・・ま、まぁそれは置いといて。あんた、恋愛したくないって言ってたけど相手を男として意識することも出来なくなっちゃったの?』
「え?」
あ『それに自分は"女"として・・・恋愛対象として見られてるわけが無いって思い込んでるでしょ。』
「へ?」
あ『それってすっごい自分勝手。』
「・・・実際見られてねぇだろ。女として振舞ってもねぇし。」
あ『あのねぇ。確かに有希はカッコいいけど--』
「だろ?外見だって中身だって男じゃん。自分が男だったら絶対見向きもしない自信がある。」

 

そこでですよ。
今回悩み相談に付き合ってもらったわけです。

 

あ『・・・・・可愛そう。』
「だろ?」
あ『有希じゃない。住人さん達が。』
「なんであいつらが可哀相なんだ。さっぱり意味が分かんねぇよ。もっと分かりやすく言ってくれ。」

 

そろそろ頭が混乱してきた。

 

あ『要するにね?5人は皆、有希のことを『女』だと思ってる。』
「まぁ、一応は女なんで。」
あ『特に累君と孝君だっけ?累君は既に告白したみたいだけど、彼らはあんたのこと本気で好きだわね。惚れてんの。』
「--------は・・・?」
あ『なんでそこまでされて分からないのか理解できないわ。』
「え・・・と・・」

 

ほ、惚れてる?
あいつらが私に?

 

(・・・・・・・。)

 

いやいやいやいや。
それは無い、絶対無--

 

あ『もー!なんで分かんないの!?あんたにドキドキしてんのよ!抱きしめたりキスしたりエッチしたりしたいの!』
「ちょちょっ!?あっ子様!声がでかいっすー!!」

 

2度目のしーんだ。

あっ子のビッグボイスと意味深な叫びに
店内はまるでつまらないお笑いを見せられた後のように静まり返った。

どうぞ。
どうぞ皆さん、楽しい世間話を続行させてください。

 

あ『とにかく、有希。』
「え、あ、はい!」

あ『好きになってもらえるのって嬉しいことじゃない?』

「・・・・・。」
あ『まぁ、すぐ気持ちを切り替えるのは難しいと思うけど。彼らは男なんだっていうのは分かってあげなさいよ。』
「は、はぁ・・・」

 

(あ、あいつらが男・・・?)

 

難しすぎる。
どう脳内変換しても兄弟やクラスメイトにしか見えない。

 

(つ、疲れる・・・)

 

久々にこんな会話に向き合うからか非常に疲れる。
人のことだったら楽しく聞けたかもしれねぇが自分のこととなると何も分かんねぇ。

それにきっと、相手が奴らだから特に分からない。

だってあんなにモテルのに、なんで---

 

「あ、あの・・・あっ子さん。」
あ『なに?』
「仮にあいつらが私を女だと思ってたり・・・す、好きだとしてですよ?なんで私なんすか?」
あ『・・・・・はぁ?』
「だ、だっておかしいじゃねぇか!あいつら外歩くだけで女子達から散々声かけられるんだぞ!?お前も見たじゃん!バスケの時もきゃーとか凄かったじゃん!女には困ってねぇはずじゃねぇか!」

 

そうだ、そうだろ?

言葉遣いは元々こんななんですが見かけはファッションの好みもあって男子寄り。
自分で言うのは非常に痛いが可愛らしさのカケラも無いと思います。
どっからどう見てもあいつらを取り巻く女子達の方が女の子らしくて可愛い。

さあどうだこれを踏まえて考えてみろ。

なぜあいつらが私に構うのか?

それはね---
私で遊んでるからだ!

 

(それなのに・・・・・・・)

 

それなのに時々あんな目で見るから・・・

 

分かんなくなるんじゃねぇか・・・