有「私はこいつらが住んでる家の管理人---」
累「あのさ、実は俺、有希のことが好きなんだ。だからうまくいくように応援してくれよな!」
「ダメだよ累。俺も姫が好きだから。皆、俺の方を応援してくれるよね?」
有「・・・・・・おい。」
---またか!!
正にそんな顔をした姫。
まぁ、累の前例があるから仕方ないんだろうけど。
でもさ、姫・・・
俺達今、姫に告白したんだよ。
見てよ、女の子達はビックリして放心してるじゃないか。
そんなに軽く受け止めないでよ。
有「あ、あの、ごめんな君たち。今のは全部う・・・・」
---全部嘘
そう言うつもりだってすぐ分かった。
有「んむーーーーっ!」
無意識に姫の口を塞ぐ。
頭で考えるよりも体の方が先に動いてた。
だって、否定して欲しくない。
なんであんなこと言ったのか
少しでいいから考えて---
(あ、そっか・・・)
あいつら、こうやって振り回されてるのか。
これはたまんないや・・・
有「むむ---むぅぅーーー!!」
あいつらが姫を押さえつけたくなる気持ち。
今ならすっごく分かる。
---お前なんか眼中にねぇ
---お前なんか男として見てねぇよ
そういう意味の言葉を聞きたくないんだ。
『そう・・・・・だったんですか。』
『なんだか分かる気がします。不思議な雰囲気の人だし。』
『悔しいけど・・・・・応援します。』
え。
やけに素直に引いてくれるんだな。
それはそれで逆に怪しいよ。
『お2人共頑張ってくださいね!』
『有希さん!私達、有希さんのファンでもあるんで頑張ってください!』
有「・・・・・・・・・・。」
なるほどそういうこと。
当の本人はうまく飲み込めてないみたいだけど。
累「じゃ、俺達帰るね。」
「君たちも気をつけてね。」
『は、はい!』
姫はまだ何か言いたそうだったけど。
これ以上モメゴトはごめんだったので口を塞いだままその場を後にする。
非常に怪しい光景だ。
有「おい!お前らいい加減にしろ!私を利用するなって言ってるだろうが!」
車の近くまで来て手を放してやった。
やっぱりというかなんと言うか・・・
開口一番にそのセリフ。
なんだか俺達って可愛そうだな、累たん。
累「利用なんてしてない。」
「そうだよ。」
累と俺とじゃ想いの重さに違いがあるんだろうけど
さっき言ったのは嘘じゃない。
本当のことだ。
有「-----ったく。学校に行った時困るのはお前らなんだぞ?知らねェからな!自分で解決しろよ!」
学校でのこと心配してくれてるの?
優しいね、姫。
(・・・怒ってるつもり?)
腕を組んで下から睨みつけてくる姫。
怒ってるのかもしれないけど全然怖くない。
逆に可愛いよそれ。
(ま、いっか・・・)
姫は怒っちゃったみたいだけど嘘は言ってないわけだし。
意識はしてもらえなかったけど一応言葉は聞いてもらえたと思うし。
とにかく
俺は今のまま、もう少し様子見だな。
自分の気持ちがはっきりしないまま動くのは利口じゃない。
気付いたら姫に落ちてましたってことになっても全然構わないしね。
有「ふぁぁっ。もういいや疲れた。帰ろうぜ。」
本と疲れた。
久々に良く動いたし。
姫と累は帰って徹夜なんだよね。
よくやるよ。
(大丈夫かな・・・)
チラリと見ると浮かない表情の累。
うーん・・・
変な気起こさなければいいけど。
・・・・・様子見(完)