<累>
「「「 ・・・・・・・・・。 」」」
遼「いやぁ、さすがですなぁ。」
有「ふざけんな。久々だからまだ声が出ねぇよ。更にダンスだろ?ムリムリ有り得ねぇ。」
有り得ない?
それはこっちのセリフだ。
なんだったんだよ今のは。
純「姫・・・・めちゃくちゃカッコいい。やっぱり姫はカッコ良かったんだ。」
有「えっなになに?もっかい言ってくれよ!」
純「姫はカッコいい姫だって再確認した。」
「ワケ分かんねぇけど誉めてんだよな?」
日本語がまともに話せなくなった純。
他の奴らなんて放心状態だよ。
だって
だって・・・
「-----マジで感動した!」
有「え!累!お前って奴はぁ!」
そんなに嬉しかったのか投げキッスを貰った。
へへ、今のは俺のだからな。
本当はさ、絶対に音痴だと思ってた。
でもそんな有希って絶対可愛いじゃん。
そう思ってたのに・・・
遼「な?驚いただろ?」
要「驚いたどころじゃねぇよ。」
真「あぁ。」
孝「・・・・・・・・・・。」
孝においては言葉も出ないらしい。
気持ちは分かる。
とにかく-----すっげぇ良かった!
遼「俺と一緒に歌うから今は男の曲を歌ってるけど、女の曲を歌わせたらもっと凄いぞ?後で歌ってもらえよ。」
「そ、そうなのか?」
純「聴きたい。」
これ以上凄いってこと・・・?
聞きたいけど大丈夫か?
俺達耐えられるのか?
俺らが受けた打撃なんかお構いなしに、次の曲の伴奏が始まった。
そして再び有希の歌声・・・
-----歌の上手い女ってグッと来るよな!?
前に誰かが言ってたような気がする。
その時は全然意味が分からなかったけど・・・
今は良く分かる。
確かにグッとくる。
有希のこの一面は反則だ。
(やばい・・・ドキドキする。)
心臓がバカみたいにうるさい。
抱きしめたいだとか
キミしかいないだとか
いつもは歌詞なんて気にしないのになんでだろ・・・
今はやけに耳に入ってくる。
その後、女子の歌をリクエストして一曲だけ歌ってもらった。
それがまた切ないラブソングだったもんで・・・
俺達は見事にノックアウト。
まぁ、全滅だな。
有「今日はこのくらいにしとくよ。いきなり歌いすぎると喉がつぶれる。」
遼「そうだな。まぁ、もう十分だと思うけど。」
有「バカたれ。やるからには本気でやるんだ。お前も私を見習え。」
遼「俺はいつでも本気だぞ?」
遼は聞きなれてるからだろう。
平然と会話をしている。
俺達は情けないことに動けない。
有「そうだ、ダンスの映像貸してくれ。練習しないと踊れねぇ。」
遼「あぁそうか。ちょっと待ってろ。」
有「オーッス。」
遼は俺達を放置してどっかへ行ってしまった。
もう・・・今の俺らを置いていくなよ!
有「いやぁ、やっぱ大声出すと気持ちいいな!」
すっきり爽快な表情で有希がこっちに近づいてきた。
有「なんだよお前らなんでぼーっとしてんの。私の歌はそんなに眠気を誘ったか?結構賑やかな曲だったと思うけどなぁ。」
ニヤニヤと口角を上げる有希。
まるでイタズラ小僧だ。
「ち、違うよ有希。こいつらあまりの上手さに感動してんの。もー、可愛いとこあるよなぁ?」
俺、なんとか復活を果たしました。
でも面と向かって有希を直視出来ないっていうか・・・
こいつらには悪いがここは話を振っておこうと思う。
有「なになにお前ら、感動しちゃったのか?へへーん、意外だっただろ?こう見えてもな、三度の飯よりカラオケで
オッケー!ってくらい歌うのは好きなのさ!」
すげーだろ、と笑う有希。
まだ動かない四人に向かってふんぞり返ってみせた。
「「「 ・・・・・・・・・。 」」」
有「・・・・・・・・なんとか言え!」
あ、恥ずかしくなったみたい。
要「あ、あぁ、すごかった・・・」
純「う、うん、ものすごくびっくりした。」
真・孝「・・・・・・有り得ねぇ。」
やっと動きだした男共。
おかえり。
有「え、真面目に答えちゃうわけ?じゃ、じゃぁ・・・どうもありがとうございます。」
ぎこちない奴らに釣られて有希までギシギシし出した。
変なやり取りだな。
遼「お待たせ。ほい、これ。」
有「あ、サンキュ。家である確認してみるよ。」
遼「あぁ、分からなかったら言え。」
「うん。」
とりあえず、今日の練習はこれまでらしい。
そういえば腹が減ったな・・・
あっという間だったけど結構時間が経ってたんだな。
有「お前ら帰るぞ。」
「おー。」
要「へーい。」
のろのろと腰を上げる俺たち。
帰りは遼がまた送ってくれるらしい。
メンバーにあれこれ支持を出す遼。
そしてヨロシク、と告げて出口の方へ向かっていった。
俺たちもその後に続いた。
(あれ、有希は・・・?)
キョロキョロ見回すと、バンドの紅一点・・・・
名前なんだったかな。
とにかく女の子と笑いながら話してる有希。
久々だから積もる話もあるんだろ。
早く来ないと置いてくぞー、なんて思いながら車に向かった。