再・余興!

再・余興!—–6 SAKURA∞SAKU second

 

 

<真樹>

 

『協力してくれたらいつとも違う有希が見れる!頼むから協力お願いしまーす!』

 

昨日、こっそり訪れてきた遼。
そして必死の表情で放たれたこの誘い。

-----いつもと違う有希?

そんな餌にまんまと食いついた俺たち。
そして全員揃って協力に及んだわけだが・・・

 

ちなみに内容は知らなかった。

---いつもと違う有希

それしか見えてなかった。
まさかライブに参加させる計画に乗ってしまったとは思ってもみなかった。

まぁ、MIKAMIの件はどうにでもなるが・・・
あんなことがあった後だからな。

実際、有希は焦ってそわそわしてた。

 

『真樹様ぁぁぁぁぁー!!!!!』

 

まぁ・・・

いいことがあったから全てがどうでもいい。

 

それにしても・・・
「いつもと違う有希」は新鮮だ。

俺ら以外の人間と仲良さそうに話す有希。

そして今は真剣な顔で歌詞カードを見つめている。

正直、歌に興味はない。
それにここまで着いて来ておいてなんだが、やはり有希が歌が上手いとは到底思えない。

 

『いつとも違う有希が見れる!』

 

ただ、いつもと違うあいつが見てみたかった。
その他4人も同じだと思う。

 

だって・・・見ろ。

 

こんなに大勢人間が集まってるってのに

こいつら有希しか見てねぇ。

 

まぁ、多少複雑な気分だな。

 

「はぁ・・・」
累「なんだよ真樹、ため息なんかついて。」
「別に。」
遼「おーい、いよいよ有希が歌うぞー。」

 

どうやらそれぞれの調整が終わったらしい。

ていうかお前は参加しないのか?
遼は俺らに並んでベンチに座った。

 

累「あー、こっちまでドキドキする!」
純「姫も緊張してないといいけど・・・」

 

それにしても・・・

あいつ、本当に歌なんか歌えるのか?

 

(・・・・・・。)

 

いやいや無理だろ。
もはや音痴にしか見えなくなってきた。

しかもダンスもやるって?
有り得ない。

同じ思考なのか、要と孝は険しい顔になってきた。
気持ちは分かる。

 

有「おい遼、お前はやんねぇの?コラボだろ?」
遼「思い出しついでに一人で歌えよ。そっちの方が感覚戻ると思う。」
有「そっか?それなら了解。」

 

一人で歌うのか?

おいおいそりゃあんまりだろ遼。

確かに有希を苛めるのは楽しい。
だが俺はこんな大人数の前でまで辱めようとまでは思わねぇぞ。

 

(・・・骨は拾ってやる。)

 

滑ったら笑ってやろうと思う。
とりあえずやり切れ。

 

圧倒的な音量が会場に響き渡る。

 

そして---

 

 

 

(え・・・)

 

 

 

なんだ・・・・・これ----

 

 

 

 

(すげぇ・・・)