再・余興!

再・余興!—–2 SAKURA∞SAKU second

こいつは『桜館の住人さんっすか?』ってくらい奴らと仲良しこよしだ。

頻繁に遊びに来るししょっちゅう誰かの部屋にお泊りしている。

こいつとは長い付き合いだし
人間的にいい奴で大切に思ってるし

私としては住人達と仲良くしてくれて嬉しいぞ。

 

嬉しいんだが・・・

 

なーんか今日は嫌な予感がする。

 

遼「なんすかその言い草は!冷たいっす!」
「・・・・・・・・。」

 

こいつが前触れも無く来たこと。
そしてこの白々しい喋り方。

長年の勘を駆使しなくても怪しむだろ。

 

「断る。」
遼「えっ!俺、まだ何も言ってないっすよ!?」
「今から言うんだろ。」
累「すげー!お見通しか?」
「そうだ累。私はお見通しなんだ。」
遼「う・・・・・ぅぅ・・・」

 

頭を抱えて崩れ落ちる遼。
どうやら図星だったようだ。

 

「どうせロクでもないことなんだろ。絶対受けねぇからな。」

 

コーヒーを煎れにキッチンへ向かう。

チラッと目を向けるとなぜか慰めるように遼を取り囲む住人達。

なんだその陣形は。
バリケードのつもりか?

 

遼「頼むよ有希!話だけでも!」
「嫌だ。」
遼「有希様ーーー!」
「ダメだ。」
要「話くらい聞いてやっても・・・・」
「要は黙ってろ。」
要「・・・・・。」

 

ちっ、遼の奴め・・・
こいつらに助けを求めやがったな。

だが残念。
そんな攻撃、痛くもかゆくもないわ!

 

累「有希、頼むよ。遼の奴、困ってるっぽいじゃんか。」
「・・・・・・・・・・。」
累「有希・・・」

 

 

・・・マイラブリープリチー累たん。

 

 

「・・・・・・・ちっ、仕方ねぇなぁ。話だけなら・・・」
遼「有希ーーー!!」
要「・・・おい、なんだその態度の違いは。」
「お前と累との違いだ。」
要「・・・・・・。」

 

良かったな遼!
なんて言って騒ぐ累。

くそ、可愛い奴め。

私はめっぽう累たんに弱い。
だって可愛いんだもん。
あ、"もん"って言った。

 

「で、なんだよ話って。」
遼「再来週ライブやる。出てくれ。」
「・・・・・・・。」
「「「 ライブ!? 」」」
遼「そう!」
「絶対ヤダ。てか無理。」
遼「有希ーーー!」

 

なにが『有希ーーー!』だ!
人の気も知らねぇで!

 

「うるせぇ!!前回で最後ってことになったじゃねぇか!」
遼「それがよー・・・」
要「え、待って。有希って歌えるの?」

 

要は最近ずっと呼び捨てだ。
もう猫被りはやめるらしい。

 

「歌ってんのは遼。こいつがまだ駆け出しの頃、余興のサブパフォーマンスで歌ってたんだよ。それが恒例みたいになってたんだけどさ。こいつのバンドも有名になってきたから曖昧なことは止めようってことで前回で最後にしたんだ。なのに・・・・・」

 

ギロッと遼を睨む。

 

純「まぁそんなに脅さなくてもいいじゃん。遼にだって理由があるんだろ?姫が怒るのを分かってて頼みに来たんだからさ。」
遼「さすが純!良く聞いてくれた!」
「・・・・・・・。」

 

調子のいいヤローだ。