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「え、えーと・・・」
辰「・・・・・・。」
「その--」
辰「あ・・」
「へ?」
辰「髪、跳ねてる。」
「え・・」
つい10秒前までのあどけない寝顔はどこへやら。
薄く目を開いた辰巳さんはフェロモンだだ漏れのエロメンに早変わり。
そして恐らく寝ぼけてるんだろう。
のろのろと数回瞬きしたかと思ったら
どうやら跳ね散らかしているらしい私の髪に手を伸ばしてきた。
「・・・何やってんの。」
辰「んー、グルーミング。」
「グ、グル・・?」
辰「ふふっ・・・透ちゃん、可愛い‥」
「!」
(ぇ・・・)
突然投げつけられた不意打ちに
不覚にも、ドキッとしてしまった。
断っておくが「可愛い」に対してじゃない。
ただ---
(ちょ---ちょっと・・)
言葉と共に向けられた笑顔があまりにも柔らかくて
まるで恋人に微笑むかのように優し気で・・
(な、なんで・・・?)
なんで、そんな顔・・・
辰「・・・で?」
「へ・・」
辰「さっきの、何のお礼?」
「え。」
ドキドキタイムは一瞬で終了。
繰り返された質問にあっけなく現実に引き戻された。
ていうかさっきのが何のお礼かって?
それは---
「え、えーと、その・・・あはは。礼なんて言ったっけ?」
辰「・・・・・・。」
素直じゃないって?
そんなことは分かってる。
でも抱きしめてくれた礼だなんて言えない。
おかげで朝までぐっすりでしたなんてもっと言えない。
辰「・・・もー、ほんと素直じゃないよね。」
「・・・。」
辰「昨日みたいに可愛くおねだりしてよ。お願い、私を抱きしめてって。」
「えっ---!」
辰「あれ・・・お願い、私をめちゃくちゃにして!だったっけ?」
「は---はぁ!?」
なな、なななな--!
「何言ってんだお前!そんなこと言ってない!」
辰「えー、言ったよ。」
「言ってない!」
辰「言いました。」
「言ってないっ!!」
辰「透ちゃん。」
「なんだ!」
辰「可愛い・・・顔真っ赤。」
「---!?」
再びふわりと微笑んだ辰巳さんにツンツンと頬を突かれる。
どうやら私の頬は赤く染まってるらしい。
じゃなくて!
「かか、帰るっ!」
そりゃもう弾ける勢いで飛び起きた。
恥ずかしさのあまり今にも顔が蒸発しそ
(ひぃぃーーー!!)
とっても今更だがほとんど全裸な自分。
咄嗟にシーツを巻き上げそそくさと後ずさる。
辰「ちょっと待ってよ透ちゃん。帰るって---どこに帰るの?」
「帰るっていったら家に決まってんだろ!」
辰「え?家には帰れないんじゃなかった?」
「---あ!」
辰「せっかちだなぁ・・・今日は休みなんだし、もう少しゆっくりしよう?」
「ご自由にどうぞ!とと、とにかく私は帰る!」
辰「・・・・・・もー‥」
「え---ちょっ---!」
もう少しでベッドの端・・
というところで辰巳さんの手が伸びてきた。
そして---
辰「逃がすと思ってるの?」
「----っ!」
顔の横には大きな手。
そして天井を背にしたセクシー変態が軽く首を傾げてクスクス笑ってる。
なんだよあんた・・・
その仕草ちょっと可愛いかも。
じゃなくて!
「なんのつもりだコノヤロー!退け!」
辰「退かないよ。」
「---このっ--!」
辰「お礼の意味はまぁいいとして・・・帰る前に話したいことがある。」
「!」
(---えっ‥)
なんだろう・・・
今日のこいつはどこか変だ。
急に変わった声色に
真っ直ぐに向けられる瞳に
不覚にも再びドキッとしてしまった。
ていうか、話?
話って、なに。
(あ---)
もしかして---昨日のこと?
それともまさか--
あいつの・・
「えと---そのちょっと待て!その話はまた今度--!」
辰「透ちゃんはさ、俺のこと嫌い?」
・・・は?
「そりゃまぁ・・・嫌いだけど。」
何を今更。
辰「・・・透ちゃん。ここは”嫌いではない”くらいは言って欲しいよね。空気読んでよ。」
「え。」
そんなこと言われても。
辰「まぁいいや・・・で、本題はここからなんだけど。」
「?」
辰「透ちゃん、俺と付き合ってくれない?」
・・・
は?
辰「ゲームは卒業して、俺だけの彼女になってよ。」
彼女って・・・
何言ってんだこいつ。
「・・・寝ぼけてるのか?」
私がお前の彼女にだと?
なるわけないだろおぞましい。
辰「透ちゃんはゲームやめたいんだろ?」
「やめたい。」
辰「でも透ちゃんが誰かに堕ちない限り、ゲームは終わらない。」
「・・・そんなことないだろ。お前らが手を引けばそこでゲーム終了。実際、玲くんはやめるって--」
辰「俺たちは手を引く気はないよ。この前、晋と玲にも確認した。」
「な、なんだと!?」
晋はともかく玲くんも!?
なんで!
辰「だからこそ透ちゃん、俺の彼女になってよ。」
「---!」
まただ。
見つめてくる瞳に、熱が籠ったような気がした。
(な---なに・・・・・?)
だから、なんで
なんでそんな目で--
いやいや今はこいつの瞳なんかどうだっていい。
「・・・あんたはゲームを終わらせたいのか?」
辰「極端にいうとそういうことだね。」
「・・・意味が分からない。」
辰「え?」
「なんで今更そんなこと言うんだ。もしや今頃になって罪悪感でも生まれたか?」
辰「・・・・・。」
「もしそうなら付き合うだの言わずに手を引いてくれよ。そしたら--」
辰「さっきも言ったけど、俺もあいつらも透ちゃんから手を引く気はないよ。」
「・・・・・・。」
(矛盾してるだろ・・・)
非常に迷惑な話だが
≪手を引く気はない=ゲームやる気満々≫
ってことだろ?
それなのにゲームを終わらせるために私に彼女になれと?
なんだよそれ・・・
全くもって意味が分からない。
やめたいなら勝手にやめればいい。
「ゲームやめるわ」の一言で済むだろ?
私としては大歓迎だ。
なのになんで私と付き合うなんて裏工作の必要がある?
それじゃまるで晋と玲くんに--
(は---!)
まさか・・・
まさかこいつ--
「もしかして----助けてくれるのか?あいつらの魔の手から私を解放しようと・・?」
なんて素敵な展開。
もしそうなら彼女の一つや二つ全然オッケー。
口裏合わせなら任せとけ!
辰「・・・ごめん、それはちょっと違う。」
「え・・」
違うのかよ。
「それじゃなんで付き合うなんて--」
辰「・・・触れさせたくない。」
・・・へ?
辰「あいつらに---触れさせたくない・・」
(---ぇ・・)
それはそれは切な気に眉根を寄せる辰巳さん。
そしてこれまた蕩けそうなほどに優しく・・・
私の頬をふわりと包み込んだ。
ていうか・・・え?
今のは---なんだ?
なんだか表情も辛そうだし
行動もなんだか熱っぽいし
これじゃ・・・
これじゃまるで・・・
(は---!)
まさか--
まさかこいつ--!
「もしかしてあんた・・・私に惚れちゃった?」
あれ、なんかデジャヴ。
辰「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
辰「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
ちょっとなに・・・なにこの沈黙!
まさか---本当に---!?
辰「・・・・・・ぷっ!」
「え---!」
突然噴出した辰巳さん。
そして耐えきれないと言わんばかりに肩を震わせクツクツと笑い出した。
ていうか---
「---からかいやがったな!?」
なんてヤツだ!
辰「違うよ、からかってなんかない。でも---ぷぷっ!」
「な、なんだよ!」
辰「だって---私に惚れちゃった?なんて真剣な顔で言うからぷぷっ!」
「え!」
そこ笑うとこ?
辰「あー、とにかく透ちゃん。」
「・・・なに。」
辰「透ちゃんは俺のモノだから。」
「は?」
辰「今から俺の彼女ね?」
「・・・まだ続けるのか?」
しつこいヤローだな。
辰「あぁ、なるほど・・・あの時のあいつら、こういう感覚だったのか。」
「は?」
真剣な顔で彼女になれなんて言ったかと思えば実は冗談で
急に笑ったかと思ったら今度はうんうん頷き出した。
辰「なるほどねぇ・・・」
「・・・おい、大丈夫か?」
辰「ふーん。」
「・・・・・・。」
一体今日のこいつはどうしちゃったんだ。
いつも変だが今日は特に酷い。
ま、変態のことなんかどうだっていいか。
「あの・・・納得してるところすみませんがちょっと退いてくれませんかね。そろそろ行きます。」
なんか・・・マジで疲れた。
ただでさえ昨日は仕事だの電話だの色々あって疲れてんだ。
今日は土曜日、仕事も休みのホリデー。
いい加減解放してもらいたい。
そしてゆっくり体を休めたい、一人で。
辰「そうだね。目も覚めたしそろそろ帰ろっか、俺の家に。」
「・・・一人で帰れよ。私はホテル探しに行くんで。」
辰「あー、でもちょっと待って。やっぱり帰る前に一回ヤろ?」
「は・・・・・・」
はい?
辰「昨日は最後まで出来なかったから。なんか体がうずうずする。」
「え・・・」
辰「それに二人の付き合った記念に、ね?」
「!?」
スッと目を細め、ゾクリとさせるような艶のある笑みを浮かべる辰巳さん。
相変わらず色っぽいですね。
セクシーって言葉はあんたのためにあるんじゃないかなんて思ってしまう。
いやいやそうじゃなくて!
「きき、記念ってなに!」
しつこいぞお前!
そもそも付き合ってねぇし!
「いいいい加減にしろよ貴様!恋人ごっこなら他でやれ!私は帰る--!!」
辰「だから、帰る前にヤろ?」
「バカかてめぇ!ちょ---触るな!」
辰「触らないと出来ないだろ。それとも何?帰ってからの方がいい?」
「いやいやお前---っ・・・人の話を聞けェーー!!」
辰「大丈夫ちゃんと聞いてるよ。ほら、大人しくして。」
「え、ちょ---ひぃぃぃーーー!!」
(どど、どうなってんだこいつらは----!)
変な奴らだということは知ってた。
人の心を弄んで楽しんでるんだ。
その時点で変人代表と言っても過言ではない。
だが最近のこいつらは出会った頃の比じゃない。
鋭い俺様だった晋は不思議の国の俺様に
エロスの王子だった玲くんはエロスの友達に
更には普通の変態だと思っていた辰巳さんは我が道を行く変態に・・・!
「やややめろぉーーー!!」
もう---
手に負えん!
GAME「予感」-----end.
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