約束

約束 16 ~GAME





---忍くんと何があったのか






気になりだしたら最後・・・

胸がザワザワしてたまらない。
出来れば今すぐ聞いてみたい。




けど






今はそんなこと考えてる場合じゃない。







「透ちゃん・・・ごめん。」







まずは---謝らなきゃ。







「透ちゃん、ごめんなさい・・」

透「・・・っ・・」

「もう聞かないから・・・」

透「---、ッ・・」

「お願い・・・泣かないで」

透「--、・・っ・・!」






目元に触れると華奢な肩が小さく跳ねた。



一瞬、しまったと思った。



でも怖がられたわけじゃなかったみたい。

戸惑ってる様子だけど、まるですがるように俺の手に触れてきた。






(-----えっ!)






うそ・・・

手が震えてる?







「---っ・・透ちゃんごめん 本当にごめんなさい・・・!」







罪悪感に駆られて思わず抱きしめた。

でも包み込んだ体もやっぱり震えてて余計に胸が痛くなった。







とにかく、ひたすら謝った。







知りませんでしたじゃ済まされない

ちょっとした意地悪のつもりだったなんて
そんなの言い訳にもならない







イジワルして傷つけて
おまけに泣かせてしまうなんて







本当に---最低だよ俺。








「透ちゃん、泣かないで・・・」








頭を撫でてみる
抱きしめる手に力を込めてみる

あぁ、でもダメだ・・・
涙も震えも止まらないよ。






(どうしよう・・・)






透ちゃん本当にごめんなさい。

忍くんのことはもう二度と聞かないから

だからお願い--







許して・・・













(---あ!)









どのくらい時間がたったんだろう。








ふと、透ちゃんがモゾモゾ動き出した。








「・・・透ちゃん?」







返事は---ない。

でも弱々しく胸を押し返してくる。






透「・・・玲くん、あの・・」

「!」

透「・・・ごめん。もう大丈夫。」

「えっ・・」







(ほんとかな・・・)







確かに震えは大分治まった気がするけど・・・

なんだか離れ難くてぎゅっと抱きしめ直してみる。
するともう一度胸を押された。






「・・・本当に大丈夫?」

透「・・・あぁ。」

「じゃあ・・・体、起こすよ?」

透「・・・ん。」






恐る恐る・・・

ゆっくりゆっくり体を起こしてみる--






(---!)






思った通り。

透ちゃんの目は真っ赤だった。

ついでに頬まで紅くて気まずそうにこっちを見上げてくる。






(う、うわぁ・・・)






あまりにも酷い有様に頭がクラクラする。

今更だけど罪悪感に押し潰されそう。






「透ちゃん・・・ごめんなさい。」

透「・・・・・。」

「本当にごめんなさい。反省してる。」

透「・・・・・。」






(うぅ・・・)






返事が無い。






「・・・どうしたら許してくれる?」

透「・・・・・。」

「許してもらえるまで何でもする。だから--」

透「あの、玲くん・・」

「な、なにっ?」

透「と、とりあえずその・・・」

「?」







透「・・・離れよっか。」

「え?」







透ちゃんはチラリと上目でこっちを見上げ

そしてもう一度胸を押し返してきた。



ていうか、離れる?

離れる。

離れるって・・・






「えぇ!」

透「えぇじゃない。さっさと離れなさい。」

「そ、そんな・・・」

透「早くしろ。」






きゅっ、と胸元を隠す透ちゃん。

そして真っ赤な顔を更に染めてプイッとそっぽを向いた。

なるほど。

その紅い頬は恥ずかしかったからだったんだね。








いやいやそんなことはどうだっていい!








(ちょちょ、ちょっと待って・・)






これってエッチのことを言ってるんだよね?

こんな中途半端な状態で強制終了しちゃうぞって意味だよね?






「あ、あの、透ちゃん・・・」

透「・・・・・。」

「・・・えと、・・」

透「・・・・・。」






(ほ、本気だ---!)






そそ、そんな・・・

こんな状態でやめるなんて・・

む、無茶言わないでよ。
俺に死ねって言うの?






「・・・・・。」

透「・・・・・。」






ここで止めるくらいなら嫌われた方がマシだー!

と叫びたい。

最低なヤツだって?

そうだよ、俺は最低の男だよ。
なんて開き直ってしまいたい。







でも







透ちゃんの真っ赤な目が
まだ乾いてない涙の痕が







グサグサと罪悪感を刺激する・・・









「・・・・・・・・・・分かっ、た。」









辛い、すごく辛い。

やっと食べれるー!とありついたランチを目の前で取り上げられるより辛い。







でも今は、素直に言うこと聞こう思う。

だって・・・







悪いのは全部、俺。








透「・・、---んっ・・・!」

「・・・・・・。」

透「-----は、ぁ・・」

「・・・・・・。」






ゆっくり引き抜いていくと色っぽい声が漏れる。


自分が悪いのはわかってるけど

こんな可愛い透ちゃんを前にお預けなんて・・・

正に生殺しだよ。






まぁ、何度も言うけど俺が悪いんだけどさ。






でも







「・・・・・・。」







やっぱり辛い。