約束

約束 13 ~GAME






手も足も出ない、なんて言葉は

今の私の為にある言葉だと思う。







「はぁ、はぁ・・・っ・・」







熱い。

すごく熱い。




肌を刺す空気はこんなに冷たいのに
むしろ寒さを感じるくらいなのに

まるで真夏のビーチに迷い込んだかのごとく体が熱い。






玲「透ちゃん、可愛い・・・」






グラグラ揺れる意識の中
甘ったるい声が耳をくすぐる。






(ぅっ・・)






鉛のように重いまぶたをギギギと持ち上げる。


目を刺す光がまぶしい・・・

そしてチカチカする視界に見えたのは







イタズラっぽく口角を上げる、余裕の笑み。







「・・・・・。」







もちろん、殺気を込めて睨んでやった。







玲「もー、またそんな顔する。」

「・・・・・。」

玲「せっかく可愛かったのに・・・」

「・・・ふざけんな。」

玲「なぁに?なにか言った?」

「---っ!」






玲くんの綺麗な目がスッと細められた。



それと同時に動きを再開させる指。



そしてゆるゆると上下に割れ目をなぞった後







まるで俺の居場所はココなんだと主張するかのように

濡れたソコに指を沈めてくる。







「ちょっ・・や--!」






反射で足を閉じた。

だが玲くんの腰が邪魔で叶わない。


それならばと胸を押し返す。

しかし嘲笑うかのようにビクともしない。






「玲く---やめ--!」

玲「そんなに気持ちいいの?」

「っ!?」

玲「指、飲み込まれそう。」

「!」






愉しむように指を動かしながら、今にも唇が触れそうな距離で囁く玲くん。


ていうかなんでわざわざ言葉にするんだ君は。

恥ずかしさのあまり思い切り視線を切った。






玲「こら、目逸らしちゃダメ。」

「あっ!」

玲「こっち見てて。」

「っ・・」

玲「可愛い顔見せて?」

「ゃめ---ぁぁッ!」






もたもたと中で遊んでいた指が敏感な部分を擦り上げる。


強制的に与えられる甘い刺激。

痺れるようなソレに反応してビクリと腰が跳ねた。






玲「すごいね、溢れてくる・・・」

「--っ!」

玲「ほら、分かる?」

「ゃだ---ぁ、ぁっ--!」






いやらしい音を立てながら中を掻き回す玲くん。

そして顔を覗き込み、わざと卑猥な質問を投げて寄こす。






玲「透ちゃん、可愛い・・・」

「玲くんやめ、っ--あぁっ!」






はしたなく響く水音
自分のものとは思えない淫らな声






そしてそれに比例して






蓄積された快感が、狂ったように暴れ出す。






「嫌・・・ぁ---!」






腰がゾクゾクと震え出す

背中が仰け反り、爪先から何かがかけ上がってくる





打ち寄せる波のように

何度も、何度も








恐怖を感じるほどに・・・








玲「透ちゃん、どうしてほしい?」

「ぁ--あっ・・」

玲「イきたい?」

「---っ!」






その問いに、無意識に玲くんの服を掴んだ。






快感は嫌いだ。

出来ればこれ以上受け入れたくない。






だけど体が疼いて疼いて

いっそ一思いに上りつめてしまいたくて






このまま我慢し続けたら






確実に気が狂ってしまう--













玲「だーめ。ちゃんと言わなきゃイかせてあげない。」














(・・ぁっ---!)








あと少し・・・
あと少しというところで







熱が消えた。







「は、ぁ、ぅっ・・!」







不本意に熱を取り上げられた体が痛い程に疼く

続きを求めて下腹部がゾクゾクと震え出す






(なんで・・・!)






あと少しだったのに

やっと開放されると思ったのに







一体、今ので何度目だろう。







快感が弾ける寸前

玲くんの指が、ピタッと止まる。







玲「もー、また黙ってイこうとしたでしょ。」

「はっ・・・ぁ--」

玲「気持ちよくなりたかったらちゃんと言って?ね?」

「---っ、・・」








---お願い、イかせて








察しの通りだ。

玲くんは現在、私にこの恥ずかしいセリフを言わせようと夢中になっている。






(ふざけやがって---)






全くもってふざけてる。

そんな破廉恥なセリフ言うわけないだろ。
願わくば今すぐ蹴り飛ばして説教してやりたい。





だが・・・






今の私に、そんな虚勢を張る余裕なんか残ってない。






玲「言わないの?」

「っ・・」

玲「まだ我慢するつもり?」

「嫌っ・・・あ、ぁ--!」






幾度となく繰り返される寸止め地獄。


敏感な部分をしつこく刺激するくせに
触って触って限界まで追い詰めてくるくせに

それなのに・・・






達する寸前、容赦なく快感を取り上げる。






「はっ・・・ぁ--」






正直言って

焦らされるのがこんなに辛いとは思いもしなかった。






(苦し、い・・)






何度も言うが、手も足も出ないとはこのことだ。






体が焼けるように熱くて
得体の知れない焦燥感に犯されて






冗談抜きで、苦しい・・・