トラブル×トラブル

トラブル×トラブル 03 ~GAME





『・・・・・。』
透「・・・・・。」
「・・・・・。」







いつの間に現れたんだろう。

対面するソファーに一人の男性が座ってる。






綺麗な栗色の短めの髪
形のいい鋭い目と引き締められた唇

身長も高いんだろう。

長い足を邪魔そうに組むその男子は誰が見ても「カッコいい」と呟くと思う。






でも一体、この人は誰?






「そいつから離れろ」と言ったっきりじーっと透ちゃんを見つめてる男子。

透ちゃんの知り合いには間違いないんだろうけど・・・










透「お、おいおい司・・・なんでいるのお前。」

『・・・・・。』










-----ツカサ?








直「もー、そんなこと言って。透さんが来いって言ったじゃないですか。」
透「いや、言ったけどよ。まさか本当に来るとは・・・」







クスクス笑いながら直樹くんがツカサくんの隣に座った。

あれ・・・

このフレンドリーな感じ
そして「透さんが来いって言った」発言

もしかしてこのツカサくんって








透ちゃんの弟の、司くん?








透「ごめんな玲くん、ビックリしただろ?」
「う、ううん、大丈夫。」
透「こいつがさっき言ってた司。来なくていいのにのこのこやって来たうっかり者の弟です。」
「えと、宜しく司く--」
司「別にお前が言ったから来たんじゃねぇ。イケメンがいるっていうから来たんだ。」
透「え。」
直「え?」






え・・・






ギロリと俺を睨む司くん。

どうやら俺をイケてるメンズと思ってくれてるみたいだけど

今の発言は一体・・・







透「玲くん目当てって、おまっ---いつの間に新たな扉を・・・?」
司「新たな扉---?ってバカか!そういう意味じゃねぇ!」







あ、違ったんだ。
ビックリしたー。







司「---ったく。お前はなぜかイケメンにモテるからよ。今回はどんな物好きヤローか見に来てやったんだ。」
透「はぁ?」







気を取り直して一気に言い切った司くん。

そしてもう一度ギラッと俺を睨んだ。







(・・・なるほど。)







ものすごく分かりにくいけど、透ちゃんが心配で俺を監視しに来たのか。

司くんってクールそうに見えるのに情熱的なお姉さん想いなんだね。







透「バッカじゃねぇの。この暇人め。」
司「なんだと。」
「・・・・・。」







まぁ・・・

お姉さんは何も分かってないみたいだけど。




直樹くんを見るとクスクス笑ってる。

なるほど、この2人っていつもこんな感じなのかもしれない。







透「ちなみに玲くんは物好きじゃない。最近知り合った猫好き友達だ。」
司「え、猫好き・・・?」







なぜかピクリと反応する司くん。

動揺してるように見えるのは気のせいか。







透「とにかく何か飲めよ。ビールでいいか?」
司「・・・あぁ。」
透「葵ー!ビール一杯くれー!」
葵「了解っすー!!」







金曜のせいか大賑わいの店内。

にも関わらず、元気が一番・葵くんは10秒もかからずビールを持ってきた。

スタッフの鏡だね。










いやいやそうじゃなくて・・・










透「じゃあ改めて、カンパーイ!」
直「カンパーイ!」
「カンパイ。」
司「・・・カンパイ。」








(うーん・・・)








これは予想外の邪魔者が現れてしまった。


乾杯は交わしたものの警戒心むき出しの司くん。

相変わらず俺を見る目は鋭いし、全く信用されてないって感じ。







(参ったな・・・)







このままじゃ困る。

司くんに警戒されたままじゃ
この後透ちゃんと2人になれない。







(どうしよう・・・)







今日は諦める?

えー、それは嫌だ。







てことはやっぱり・・・

番犬・司くんの警戒を解くしかないか。







(頑張れ、俺・・・)







甘い甘い夜の為に。