スポンサーリンク
『・・・・・。』
透「・・・・・。」
「・・・・・。」
いつの間に現れたんだろう。
対面するソファーに一人の男性が座ってる。
綺麗な栗色の短めの髪
形のいい鋭い目と引き締められた唇
身長も高いんだろう。
長い足を邪魔そうに組むその男子は誰が見ても「カッコいい」と呟くと思う。
でも一体、この人は誰?
「そいつから離れろ」と言ったっきりじーっと透ちゃんを見つめてる男子。
透ちゃんの知り合いには間違いないんだろうけど・・・
透「お、おいおい司・・・なんでいるのお前。」
『・・・・・。』
-----ツカサ?
直「もー、そんなこと言って。透さんが来いって言ったじゃないですか。」
透「いや、言ったけどよ。まさか本当に来るとは・・・」
クスクス笑いながら直樹くんがツカサくんの隣に座った。
あれ・・・
このフレンドリーな感じ
そして「透さんが来いって言った」発言
もしかしてこのツカサくんって
透ちゃんの弟の、司くん?
透「ごめんな玲くん、ビックリしただろ?」
「う、ううん、大丈夫。」
透「こいつがさっき言ってた司。来なくていいのにのこのこやって来たうっかり者の弟です。」
「えと、宜しく司く--」
司「別にお前が言ったから来たんじゃねぇ。イケメンがいるっていうから来たんだ。」
透「え。」
直「え?」
え・・・
ギロリと俺を睨む司くん。
どうやら俺をイケてるメンズと思ってくれてるみたいだけど
今の発言は一体・・・
透「玲くん目当てって、おまっ---いつの間に新たな扉を・・・?」
司「新たな扉---?ってバカか!そういう意味じゃねぇ!」
あ、違ったんだ。
ビックリしたー。
司「---ったく。お前はなぜかイケメンにモテるからよ。今回はどんな物好きヤローか見に来てやったんだ。」
透「はぁ?」
気を取り直して一気に言い切った司くん。
そしてもう一度ギラッと俺を睨んだ。
(・・・なるほど。)
ものすごく分かりにくいけど、透ちゃんが心配で俺を監視しに来たのか。
司くんってクールそうに見えるのに情熱的なお姉さん想いなんだね。
透「バッカじゃねぇの。この暇人め。」
司「なんだと。」
「・・・・・。」
まぁ・・・
お姉さんは何も分かってないみたいだけど。
直樹くんを見るとクスクス笑ってる。
なるほど、この2人っていつもこんな感じなのかもしれない。
透「ちなみに玲くんは物好きじゃない。最近知り合った猫好き友達だ。」
司「え、猫好き・・・?」
なぜかピクリと反応する司くん。
動揺してるように見えるのは気のせいか。
透「とにかく何か飲めよ。ビールでいいか?」
司「・・・あぁ。」
透「葵ー!ビール一杯くれー!」
葵「了解っすー!!」
金曜のせいか大賑わいの店内。
にも関わらず、元気が一番・葵くんは10秒もかからずビールを持ってきた。
スタッフの鏡だね。
いやいやそうじゃなくて・・・
透「じゃあ改めて、カンパーイ!」
直「カンパーイ!」
「カンパイ。」
司「・・・カンパイ。」
(うーん・・・)
これは予想外の邪魔者が現れてしまった。
乾杯は交わしたものの警戒心むき出しの司くん。
相変わらず俺を見る目は鋭いし、全く信用されてないって感じ。
(参ったな・・・)
このままじゃ困る。
司くんに警戒されたままじゃ
この後透ちゃんと2人になれない。
(どうしよう・・・)
今日は諦める?
えー、それは嫌だ。
てことはやっぱり・・・
番犬・司くんの警戒を解くしかないか。
(頑張れ、俺・・・)
甘い甘い夜の為に。
スポンサーリンク