トラブル×トラブル

トラブル×トラブル 02 ~GAME





透「それにしても玲くん!君ってばほんといいヤツだな!」
「え?」
透「ボスの面会、誘ってくれてありがとー!嬉しすぎてちょっと涙が出た!」
「そうなの?」







直樹くんは電話
香織ちゃんはお酒をもらいにカウンターへ

自然、二人きりになったところで透ちゃんに話しかけられた。


誘ったことがよほど嬉しかったんだろう。

ニコニコしながら甘えるように肩を寄せてきて---







いや、間違えた。







豪快に笑いながらガシッ!と肩を組んできた。

地味に痛い。







透「ところで玲くん。もしかして猫好き?」
「うん、大好き。」
透「やはりそうだったか!よーし分かった!ボスに会った暁にはいっぱい抱かせてやるからな!」
「え、いいの?」
透「友達なんだ、当然だろ!」
「・・・そっか、ありがとう。」











(友達、ねぇ・・・)











ボスは猫界のプリンスなんだ!なんて携帯の写真を見せてくる透ちゃん。

少し動けば簡単に唇を奪える距離なのに、なんて無防備なんだろうこの子。








でもそんな警戒心の無い態度に










自然と口角が上がってしまう。












---日下透ちゃん






短めの髪に女の子にしては高い身長
言葉遣いも少々荒く態度も豪快






一見、男の子にも見える透ちゃんは






ひょんな出会いからゲームターゲットになった女の子。








初めの印象は"面白そう"だった。








出会い方が強烈だったからね。

それにここまで"女の子らしくない"に徹底した子は初めてだったし

とにかく、初めて会うタイプに興味が沸いた。







そして次に会った時の印象は

"そそられる"だった。







食事を兼ねた顔合わせ。

そのとき初めて会話を交わしたわけだけど、なんて色気の無い女の子だろうと思った。




悪い意味じゃないよ?




そういう子が女になる瞬間ってすごく綺麗だし、男はそんなギャップに弱い生き物だからね。

まだ見ぬ"女の透ちゃん"は俺の男心を激しく刺激した。







そして顔合わせ後の感想は---

"やっぱり面白い"・・・かな。







なぜなら連絡先交換したにも関わらず、透ちゃんからはメールの一つも来なかった。



それってつまり

俺に全く興味がないってことだよね?








(面白い・・・)








気付けば俺は透ちゃんに興味津々。







早く二人きりで会いたいな、とか
どうしたら興味を持ってもらえるのかな、とか

そんなことばっかり考えるようになった。









まぁでも

募る興味とは裏腹に期待はしてなかったよ。









だって所詮、透ちゃんも女の子だから。









女の子は結局、見た目に心を奪われる生き物だろ?

大切なのは心!なんて言ってもカッコイイ男に声をかけられたらすぐ惚れる。

今まで出会った子達がいい例だよ。

「見た目は関係ない」なんて言う子もいたけどそう言う子に限って進んで辰巳や晋に溺れていった。







女の子の心は、簡単に移ろってしまうもの。







それなら心なんていらない。

自分だけのものにならないなら初めから求めない。

だからこそ、女の子とはゲーム上の関係だけで十分。

そう思わない?








まぁとにかく

初めてのタイプ、日下透ちゃん。








彼女はどんな風に楽しませてくれるんだろう。

男は好きになれないなんて言ってたからな。
相当手強いんじゃないかな・・・

でも辰巳がヤる気満々だったからなぁ。
案外明日にでもゲームが終了したりして。








なんて思ってたんだけど








いつまでたっても

辰巳から"ゲームオーバー"の連絡が来ない。








(忙しいのかなあいつ・・・)







いつもならとっくに終了報告が来る頃なのに音沙汰無しの辰巳。

新しい企画を抱えてるとか言ってたから、もしかして仕事が忙しいのかも--







・・・と、いうわけで







確かあれは祝日の前の夜だったと思う。

透ちゃんをデートに誘おうと、ウキウキ気分で電話した。







透『・・・モシモシ。』







久しぶりに聞いた透ちゃんの声はものすごく迷惑そうな声だった。

しかも「明日は仕事」だとか「今は家にいる」とか、遠まわしに"会いたくない"と言ってくる。

予想外の反応に地味にダメージを受けた。


そして挙句の果てには







(えー・・・)







約束をすっぽかされた。







葵「れれ、玲さんっ!それがあの---透さんは連れ去られました!」
「・・・誰に?」
葵「し、晋さんに!」
「晋?」







なんと、透ちゃんは俺を置いて晋と行ってしまったらしい。

ま、葵くんの言う通り晋が強引に連れ去ったんだろうけど・・・

理由はどうであれ約束をすっぽかされるなんて初めての経験。







(まぁいいけど・・・)







多分、晋も俺と同じだったんだと思う。

しばらく女の子と遊んでなかったみたいだし辰巳から連絡もこないし。

シビレを切らして透ちゃんを拉致、みたいな?



まぁ気持ちは分かるよ?



でもお前、俺はどうすればいいの。

寂しく一人で飲めってこと?

えー、それはちょっと辛い--







香「きたー!最後のイケメン!めちゃくちゃ王子ー!!」
直「・・・すごい。」
葵「でしょー!?」
「・・・・・・・・・・。」







ま、香織ちゃんと直樹くんと仲良くなれたので良しとしよう。











ちなみにその後

晋からも"ゲームオーバー"の連絡は来なかった。











辰巳に続き晋まで失敗?

ウソだろ・・・
そんなことが有り得るの?









でもその現実は

俺の透ちゃんに対する好奇心を激しくかき立てた。











「透ちゃんの薄情者!人を傷つけたらいつもの3倍優しくしなさいって教えてもらわなかったの!?」








とにかくすぐにでも会いたくて

悪いとは思ったけど約束をすっぽかしたことをネタにデートの予約を取り付けた。


デートの内容は「たっぷりアンティーク」


ちょうど仕事の下見に行かないといけなかったし、透ちゃんがいれば女の子に声掛けられないし、一石二鳥だろ?







デートはそれなりに楽しかった。







アンティークを見てはしゃいでみたり
「可愛い」って言われて照れてみたり

見た目は男子っぽい透ちゃんもやっぱり女の子。

普通に可愛いなぁって思った。



そしてこのまま今夜は甘い雰囲気に・・・

なんて期待も少々。









なのに何がいけなかったんだろう。









デート終了後、俺と透ちゃんの関係は--










友達。










まぁ、不本意だったけど自分から提案した。

だってゲームやめるなんて言うんだよ?



それに自ら俺達と関係を絶とうとする女の子は初めてで・・・

正直言ってどうやって引き止めたらいいのか分からなかった。







「うわ、透ちゃんの唇って柔らかい。」
透「・・・・・・・・。」
「ねぇ、もう一回してもいい?今度は深く重ねたい。」
透「・・・・・・・・。」
「ダメ?」
透「・・・・・・・・。」







ま、友達だからって遠慮するつもりは更々ない。


だって透ちゃんへの好奇心は大きくなる一方だし

だからこそ辰巳と晋には譲りたくないし









それに「友達」って









案外便利だったりする。










透「あ、玲くん次は何飲む?ビールか?焼酎か?それとも日本酒か?」
「うーん、それじゃ日本酒で。」
透「了解!」







時は本日。

早速「友達」をフル活用して透ちゃんと会うことに成功。


現在地は葵くんのBAR。

香織ちゃんと直樹くんもいるけど問題ない。
2人とも俺を信用してくれてるみたいだからね。







透「ほら玲くん、飲め飲め。」
「ありがとう。」







こんなことまでして何するつもりかって?

そりゃもちろん、今日は大人のデートに誘おうと思ってるよ。

友達は体の関係を持ったらいけないって決まりはないからね。



それに女の子ってエッチした相手を好きになっちゃうところがあるよね?

今のところ全く男として見られてる気がしないけど、エッチしたら少しは意識してくれるんじゃないかと思って。

まあ、ただ単に透ちゃんを抱いてみたいってのも本音。







「ねぇ、透ちゃん。ちょっといい?」
透「なんだ?ボスの好きなタイプか?」







とにかく

既に晋も動きだしたみたいだし

この前は軽いキスしか出来なかったし








「今日の飲み会が終わったらさ・・・」

透「ん?」








今夜こそはじっくり








可愛い透ちゃんを堪能したい--




















『おいコラ透・・・さっさとそいつから離れろ。』

透「・・・へ?」




















(え・・・?)
















突然、声が飛んできた。












ビックリして声の方を見ると---











(・・・・・・・。)



















誰?