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辰「コーヒー、お代わりいる?」
「・・・・・いる。」
辰「はいはい。」
焦りのせいか、ヤケに喉が渇く。
いつの間にかコーヒーを飲み干していたようでお代わりをもらった。
「はぁ・・・・で、ゲームのルールは?」
乗り気じゃないがとりあえずルールは聞いておかないとな。
知り合って間もないが、この男「聞いてない!」が通じる相手じゃない。
連絡なんて無視する気満々だが、もしとっ捕まった時の為にも知っておく必要がある。
辰「簡単なルールだよ。透ちゃんが俺らの誰かを「好き」になったらゲーム終了。」
「・・・・・随分アバウトなルールですね。」
曖昧すぎる。
辰「それだけじゃないよ?透ちゃんに落ちたヤツは脱落。」
「・・・・・そうなんですか。」
つまり私を好きになったヤツはゲームオーバーってことか?
私を・・・好きになる?
有り得ない。
辰「あと、透ちゃんを落とす方法は何でも有り。」
ほう。
手段を選ばずなんでもあり・・・と?
正にサバイバル---
って、ちょっと待て。
「な、何でも有りだと!?」
辰「そう、何でも有り。制限は一切無し。」
「な、なんでもって----」
辰「エッチもOKってこと。」
「エエエッチも!?」
辰「当然だろ?」
「当然じゃない!!」
あほかこいつ。
「それは無しの方向でお願いします!」
辰「何言ってんの。そんなの面白くない。」
「そういう問題じゃない!」
辰「バカいうな。何の為に昨日我慢したと思ってんの。」
「なんだとー!?」
くそ・・・このペテン師め。
それじゃ結局同じじゃないか。
今日ヤられるか後日ヤられるか・・・
どっちもイヤだ。
「とにかくルール追加して下さいよ!エッチは無し!!」
辰「却下。」
「あのなぁ!!」
辰「イヤなら阻止すればいいじゃん。まぁ、出来たらの話だけど。」
「あんたねぇ・・・」
さっきみたいに押さえ込まれたらどうしようもないだろうが!
辰「ま、そういう雰囲気になったらヤメテって言ってみれば?俺はやめないけど。」
「・・・・・・・・・・・。」
こいつ----
連絡きても絶対無視してやる。
「あの・・・」
辰「ん?」
「もし、お宅らの誰かを好きになったらどうすればいいんですか?自己申告するんですか?」
エッチを阻止する方法は後で考えるとして。
とにかく色々聞いておこう。
今後の私の為に。
辰「申告してもいいけど。言わなくても分かるだろ?」
「は?」
辰「こいつ、俺のこと好きだなってことくらい見てれば分かる。」
「そ、そうですか。」
なんてイヤミな発言。
世の中のモテない男性諸君全てを敵に回したぞ。
「こんなこと・・・いつからやってんですか。初めてですか?」
辰「初めてじゃないよ。いつからだろ・・・覚えてないなぁ。」
「今までゲームオーバーになった人は?」
辰「いない。」
「・・・・・・・・・・。」
それって、今までかつてゲーム対象の女の子を好きになったメンバーはいない・・・と?
つまり他の二人の男もこいつと同じように心が歪んでるってことか?
・・・・・最悪だ。
「で・・・・・ゲームの期間は?」
辰「期間って?」
「時間制限があるでしょ。」
辰「制限時間?それは考えたことなかったな。」
「え。」
どういうこと。
落とすまでやるってことか?
「あ、あの・・・ちなみに今まで一番長く続いたのは・・・」
辰「正確には分からないけど、一ヶ月続いたことはないよ。」
「一ヶ月!!」
なにそれ。
つまり・・・今までの女子は一ヶ月も経たずに落とされたと!?
それってすごいな。
色んな意味で。
「ま、まぁいいや。それじゃ期間は一ヶ月にして下さいよ。」
辰「え?」
「一ヶ月もてばいい方なんでしょ?」
辰「そりゃそうだけど、それ以上もつならそっちの方がいい。」
「何言ってんですか。それ以上は付き合ってられません。」
それに・・・
一ヶ月なら逃げ切れるような気がする。
辰「期間についてはルールにないから・・・あいつらに聞いてみれば?俺は無期限を希望します。」
「む、無期限!?ふざけんな!」
辰「ふざけてないよ?」
この-----変態ヤローめ!!
「大体なぁ!これって私に何のメリットもないじゃないか!」
辰「んー?」
「ゲームってのは楽しんでやるもんだろ!」
辰「楽しいよ?」
「私は楽しくない!!」
辰「もう、落ち着いてよ。ね?座って座って?」
「けっ!!」
あまりの怒りに立ち上がって叫んだ。
そして疲れて座り込んだ。
もう・・・誰か助けてくれ。
これ以上こいつと話すと頭が割れそうだ。
辰「本当、透ちゃんって面白いよね。」
「・・・・昨日もそんなこと言ってましたね。さっぱり意味が分かりませんけど。」
辰「俺、女の子にここまで酷い扱い受けたのって初めて。」
「はぁ?」
なんだそれは。
酷い扱いを受けてるのは私の方だろう。
辰「透ちゃんの好みの男ってどんなヤツ?」
「なんで。」
辰「いいから教えて。」
「好みかぁ・・・カッコ良くて背が高くて優しい人。」
辰「俺じゃん。」
「あんた・・・バカだろ。」
辰「えー!」
えー!じゃない。
変態で二重人格でペテン師。
お前はこれだ。
辰「やっぱり酷い・・・」
「それなら優しい女の子を捜せば----」
辰「でも面白い。」
「だから-----」
辰「ま、いいや。他に質問はある?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
思い切りスルーしやがった。
あくまで対象を代えるつもりはないらしい。
「今のところは・・・無いです。」
辰「そ。」
満足したのか、ニコッと笑ってコーヒーカップに口をつけた。
(・・・・・・・・・・。)
「あ、あの。」
辰「ん?」
「そろそろ帰ります。」
辰「え、もう帰るの?まだいいじゃん。」
「帰らせて頂きます。」
ここらが潮時だろう。
この機会を逃したら二度と太陽の光を拝めないかもしれない。
考えるだけでも恐ろしい。
引き止める変態を無視して立ち上がる。
そしてマイバッグを掴み取り玄関へ向かう。
よし・・・・逃げるぞ!!
辰「冷たいなぁ。じゃぁ送るよ。」
「結構です。タクシー拾うんで。」
辰「それはダメ。」
「・・・・・・・なんで。」
辰「家の場所知っとかないと・・・透ちゃんに逃げられるからね。」
「----------。」
くそ・・・いけると思ったのに。
「に、逃げませんよ。」
辰「あ、今どもった。逃げる気満々だっただろ?」
「いやいやいやいや!」
辰「透ちゃんって分かりやすいね。」
「----------。」
ダ・・・ダメだ。
逃げ切れる気がしない。
辰「隣町だったんだ。案外近くなんだな。」
「そ、そうですね。」
タクシーで帰る!
最後まで言い張ったが車に押し込まれた。
友達の家に・・・とも思ったが確実に迷惑をかけると思うので躊躇した。
どうしよう。
連絡先だけじゃなく家まで知られようとしている。
もうダメだ。
私の未来が終わりに向かっている。
辰「へぇ、綺麗なとこだな。」
「2DKです。」
辰「そうなんだ。今度招待してよ。」
「イヤです。」
辰「冷たいね。」
家に・・・到着してしまった。
つまり
未来が終わりを告げた。
辰「じゃあ、また連絡するから。無視しないでよ?」
「・・・・・・・・・出来る限り。」
辰「・・・・ふーん。その時はここまで迎えに来るから。」
「努力します。」
辰「良し。」
じゃぁねー、と軽快に手を振って去っていく辰巳さん。
あんたは元気でいいよね。
私にも幸せ分けてくれよ。
小さくなる車に向かって怨念を送った。
「た、ただいまー。」
愛しの我が家に帰還する。
少々散らかっているがそこがまた愛しい。
「あ・・・」
よろよろとベッドに腰掛け、何となく携帯を確認すると着信とメールの嵐。
犯人はもちろん香織と結衣。
香織
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あのイケメン誰!?
あの後どうなったのー!
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あのイケメンが誰かだと?
変態だよ変態!
心の中で悪態をつきながら携帯を眺めているとタイミング良く香織から電話。
一瞬どうしようか迷ったが、電話に出た。
香「やっと出たー!!さぁ話してもらいましょうかぁ!!」
大興奮の香織に少々引きながら、都合の悪い部分を包み隠してグチってやった。
一体なんで
こんなことになったんだ?
----------Game・ターゲット捕獲(完)
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