ターゲット捕獲

ターゲット捕獲—9 GAME


辰「で、ゲームのことだけど。」

 




ソファーに座りズズッとコーヒーをすする。

あー、美味い・・・と思ったら奴の声。

 




「えーと。ゲームってなんのゲームでしたっけ。やっぱり・・・・・RPG?」

辰「・・・・・・・・・・・。」

 




ジトッと変な目を向けられる。

あれ間違えた?

もしかして格闘ゲーム?

 




辰「思い出したフリしやがったな?」

「いやいや覚えてますよー!格闘ゲームでしたよね!?」

辰「・・・・・・・・・。」

 




でかいL字のソファー。

斜め前に座る奴。

呆れたように足を組みかえる。

イラッとするほど足が長い。

 




辰「もう・・・また説明しないといけないわけ?」

「面倒ならしなくていいですよ。」

辰「説明無しで参加するの?」

「説明書とかあるでしょ。こう見えてゲーム得意なんで。説明書見ればなんとかなるかと。」

辰「・・・・・・もしかして、テレビゲームと勘違いしてない?」

「え・・・違うんですか?」

辰「・・・・違うよ。」




 

じゃぁ・・・なんのゲーム?




 

辰「あのね透ちゃん。俺らと、恋愛ゲームして欲しいの。」

「れ、恋愛ゲーム!?」

 




まさかとは思ったが・・・

そっち系のゲームだったか!!

 




「さすがにそれは・・・知ってると思いますけど私、女ですよ?そういうのは男友達とウハウハやってくださいよ。」

辰「は?」




 

は?じゃないだろ。

残念だがそっち系は管轄外だ。

興味も無い。

 




「美少女と仲良くやるっていうあれでしょ?彼女にプレゼントして高感度アップ。A.花束。B.ブランドの財布。C.現金。」

辰「え・・・・」

「それとももしかしてアッチですか?メイド喫茶とかコスプレとか・・・好みの美少女を育てちゃおーみたいな?」

辰「なに言ってんの!」

「へ?」

 




違うのか?




 

辰「なんてこと考えてるんだよ。俺が言ってるのはリアルな世界の話!」

「リアル?意味が分かりませんが・・・」

辰「簡単に言うと、俺たち・・・まぁ3人いるんだけど。ほら!昨日、葵くんが説明してた晋と玲!」

「あぁ。」

辰「で、ゲームの内容ってのはさ。3人のうち誰が一番に透ちゃんの心を奪えるか・・・みたいな感じ。」

「あぁそういうことですか。」

辰「そう。」

 




辰巳さんを含め、3人の男。

そいつら3人のうち、誰が透ちゃんの・・・

つまり私ですが。

誰がいち早く私の心を奪えるか---------

 

 

「----って待てー!なんだそれは!」

辰「面白いだろ?」

「面白くない!!」




 

あほかこいつは。

 




「冗談なら-----」

辰「冗談じゃないよ?」

「じゃぁ尚更悪い。そんなのに付き合うつもりは無いです。」

 




心を奪うゲームだと?

まったくもって馬鹿馬鹿しい。

そんなゲームに付き合ってられるか。

美少女ゲームやってる方がまだマシだ。

 




辰「そっか、そりゃ残念。」

「残念でしたね。」

 




顎に手を当てて何かを考え込む辰巳さん。

本気でそんなゲームをやるつもりだったのか?

究極のバカだなこいつ。

 




辰「じゃぁ・・・今からヤらせろ。」

「---------は!?」


 



すぐ近くに座ってる奴。

更に距離を縮めて・・・・
隣に座ってきやがった。

 




「な、なにしてるんですか。ていうか・・・・あんた今なんて言った?」

辰「参加しないんだろ?」

「するつもりはありませんけど----」

辰「参加しないなら今すぐ犯す。」

「え!?いやいやちょっと待って!!」




 

そういえばそんなこと言ってたな。


それってなんだ?

参加するなら今日の身の安全は確保。

参加しないなら今からヤられる。

こういうこと?




 

「ちょっと---触るな!!」

辰「さっき約束したばっかりだろ?忘れたとは言わせねぇぞ。」

「待てーーー!!」




 

ゆっくりと圧し掛かってくるヤツの体。

思い切り押しても全然動かない。


それよりどうすればいいんだよ!

せっかく助かったのにまた振り出しか!?

 




「ちょっと---タイム!!」

辰「なんだよ。」

「か、考えさせてください!とりあえず退いて!!」

辰「えー。」

 




「またお預けかよー。」なんてワケの分からないことを呟きながら離れていった。

とりあえず落ち着け私。

とにかく無事に帰れる方法を考えろ!

 




辰「もう、どっちにするの?さっさと決めて。」

「ちょっと黙ってください!」

辰「これ以上焦らされたら死ぬ。」

「じゃぁ死ね!」

辰「・・・・・酷いね。」

 




どうする。
どうすればいい?

殴るか?
殴って気絶させてその隙に脱出するか?

いやダメだ。

力ではこいつに勝てる気がしない。

 




辰「何を悩んでるの。選択肢は2つだろ?」

「・・・・・・2つ?」




 

何と・・・・何?




 

辰「1.ゲームに参加するか。2.今から俺に喰われるか。さぁどっち?」

「・・・・・・・・・・。」

 




なんだよその嫌過ぎる選択肢は。

指を二本立てて突き出す辰巳さん。

その余裕な笑顔がかなりムカつく。

 




「3.何事も無かったことにして帰る。」

辰「却下。」

「・・・・・・・・・・・。」




 

即答ですか。

 




「じゃぁ参加する。」

辰「え?」

 




選択肢がその2つなら・・・

参加するを選ぶに決まってんだろ。

 




辰「参加するの?」

「する。」

 




とりあえず、今日が無事ならそれでいい。

この魔の辰巳ホームから無事に帰還できればこっちのもんだ。

連絡が来ても無視すればいいんだからな。

むしろ絶対無視だ。
着信拒否してやる。

 




辰「透ちゃん・・・・連絡、無視するつもりだろ。」

「え!」




 

心を読まれた。




 

辰「出来るモンならやってみろ。調べ上げて探し出して・・・その場でヤってやるからな。」

「・・・・・・出来る限り無視はやめます。」

辰「絶対やめて。ショック受けるから。」

「・・・・・・・・。」




 

とりあえず

 




今は無事に家に帰れることだけを考えよう。