ターゲット捕獲

ターゲット捕獲—7 GAME


「う・・・・ん・・朝---か?」



 

少し目を開けると光が飛び込んでくる。

どうやら朝らしい。




 

「眠い・・・」

 




目を閉じて体を横に向ける。

あぁ気持ちいい。

再び眠りの世界へ入れそうだ。

 




「だる・・・」

 




いつもはすぐに目が覚める方なんだけどな。

なんだか体が異常にだるい。

気だるいっていうか・・・

もしかして風邪か?

 




「あれ・・・?」




 

そういえばいつの間に家に帰ってきた?

その前に・・・どうやって帰った?

そもそも昨日は何してたんだっけ。

 




「んー?」

 




え・・・と。
テレビ見てたら香織から電話掛かってきて。

事件かと思ったら合コンで---




PIPIPIPI-----

 




「誰だぁ?・・・煩いなぁ。」




 

電話だ。

まぁ多分・・・香織だろ。

でも今日は勘弁してくれ。

のんびり休みたい気分なんだ。



手探りで音のする場所を探る。

 




「もしもし香織かぁ?」

 




半ば香織だと決め付け、相手を確認せず電話に出た。

 




「どうした?また事件か?悪いけど今日は---」

『・・・・・・辰巳に代われ。』

「あ?」

 




---タツミニカワレ?

なんだそりゃ。

ていうか誰だこいつ。

 




「あーごめん。確認しないで電話取った。どちらさんですか?」

『・・・・・・・・・・。』




 

なぜ・・・無言?

 




「あれ、もしかして間違い電話?」

『間違ってねぇ。』

「じゃぁ誰だよ。名を名乗れ。」

『おい。』

「なんだ。」

『辰巳に代われ。』

「あんたなぁ・・・」

 




なんだこいつ。

名乗らないつもりか。

ディスプレイを確認すれば済むことなんだが体がだるい。

出来れば無駄な動きは避けたい。

 




「こんな朝っぱらから嫌がらせかよー。さっさと名乗ってくれ。あ、もしかして直樹?」

『違う。とにかく辰巳に代われ。』

「さっきからなんだよそれ。なんかの呪文か?」

 




タツミニカワレタツミニカワレ。

なんの役に立つ呪文だよ。

 




『てめぇ・・・いい加減にしろよ。』

「それはこっちのセリフだ。さっさと名乗ってくれ----」

「んー、透ちゃん・・・?もう起きたの?」

「・・・・・・・えっ?」

 



 

(--------------。)

 



 

・・・・・・なんでだろう。

頭の上から声が降ってきた。

 




「あ、ごめん。電話中だった?」

「え・・・え-----?」

「あれ、それって俺の携帯?」

「は---」

「もしかして寝ぼけてるの?」

「----------------。」

 




なんでだろう・・・・この声。

聞き覚えが----ある。

ついさっきまで聞いてたような・・・

いやいやその前に

 



なんで声が聞こえる-----?




私って一人暮らしじゃなかったっけ・・・

 




「・・・・・・・・・・・・!?」

 




恐る恐る目を開けてみる。

そして目の前に広がったのは知らない部屋。

狭い視界で確認できることと言えば・・・

この部屋は随分整頓されているってことか。

 


いや待て気付くべきはそこじゃない。

 




(な・・・ななななんじゃこりゃ-----!?)

 




顔の横に---腕が見える。

それに背中に・・・

自分のじゃない体温を感じる。

 




「-------------。」

 




一体私に・・・・何が起こっている?

 




『おい。早く代われよ。』

「----------。」

『聞いてんのか?』

「透ちゃん寝ちゃった?携帯取りますよー?」

「・・・・・・・・・。」

 




そっと携帯が離れていった。

取ったのは多分、この腕と体温の持ち主。

 




「もしもし---俺。晋?あーごめんすっかり忘れてた。そうだなぁ・・・17時でいい?腹も減ったし、メシ食いに行きたい。」

 




ちょっと待ってくれよ。

状況が全く読めない。

一体・・・一体なにが起こってる?

 




「分かった。玲も連れて来いよ。じゃぁなー。」

 




(しっかりしろ思い出せ!!)




 

昨日はえーと。

香織に呼び出されて合コンに付き合って・・・

それからどうしたんだっけどうなったっけ。


あぁあれだ!

合コンから抜け出してカウンターで葵と・・・


えーと----辰巳さんだ!

葵と辰巳さんと喋ってて・・・


しばらく飲んでたら悠人って子が酒を持って来てぐらついて---

そうだあいつに捕まったんだ!

あれ・・・まさかこいつ。

後にいるこいつってまさか----

 




「透ちゃん。」

「------っ!!」

 




不意に名前を呼ばれてビビる。

そして顔の横の腕が動いた。

 




「----っや、やめろ!!」

「んー?やっぱり起きてたの?」

 




腕が動いたかと思ったら、そのまま体に絡み付いてきた。

ご丁寧にもう一方の腕も一緒に。




 

「あー、やっぱ透ちゃんって柔らかい。」

「----なっ・・なんだっ!?えっ・・・おいっ---えぇ・・・・・っ!?」

「何言ってるの?」

 




肩や腰に絡み付く腕。

なんか・・・違和感を感じる。

 




「ふ---服っ------!!」

 




どうりで温かさがリアルなワケだ。

それはなぜか。
それはつまり。

服を着てないからだ!!

下は------




 

(・・・・・・・・・・・。)




 

やややっぱり着てない!!

 




「ななななんでだっ!何があった!?ちょ・・・放せよ!!」

「なんでそんなに暴れるの。昨日はあんなに可愛かったのに。」

「-------!?」

 




そりゃ動きも止まるだろ。

こいつ今・・・なんて言った?

ていうか----

 




「だっ誰だお前!!やっぱ悠人くんか!?」

「えー悠人って昨日のガキ?そりゃないだろー。」

 




悠人くんじゃ・・・・・ない?

それじゃ---

 




 

一瞬・・・・「あいつ」かと思った。

 

 




けど違う。

雰囲気も香りも・・・何もかもが違う。

 




「忘れちゃったわけ?」

「-------っ!」

 




頭の下から腕を引き抜かれる。

肩を押されて体が仰向けに---

ちょっと待てちょっと待て!

見える・・・このままじゃ見える!

なんとか胸を隠し、チラリと横目で声の主を確認すると---




 

「た・・・辰巳・・・さん!?」




 

目の前には---上半身裸の辰巳さん。


うん、間違いない。

不機嫌そうだがこの綺麗な顔は辰巳さんだ。


とにかく・・・悠人くんじゃなくて安心した。

酒に薬を盛るようなヤツと朝を迎えるなんて真っ平ごめんだ。




 

「た、辰巳さんだったんですか。ビックリしたけど良かったー。」

辰「良かったの?」

「それにしてもなんで辰巳さん?それになんで裸・・・?」

 




そうだ。

問題はそこだ。

なぜ我々は裸体なんだ?

 




辰「・・・覚えてないの?」

「え、えと---すみません。」

辰「・・・ふーん。」

「え---ちょ、ちょっと!」

 




妖しい笑みを浮かべて顔を近づけて来る。

胸を押し返してみるが効果はない。

近さに少々焦る。

とっさに顔を逸らした。

 




辰「------透。」
「------ッ!?」




 

耳元に響いた低い声。



 

その声に、なぜか体の芯が疼いた。

 




辰「思い出さない?」

「あ・・・あの・・・・・・・」

 




はっきり覚えてるわけじゃない。



でも----覚えてる。



昨日、いやついさっきだ。

確かに・・・耳に覚えがある。




 

辰「忘れるなんて酷いなぁ。やっと素直になったと思ったのに。」

「な・・・何言って---」

辰「まぁ、こっちは覚えてると思うけど?」

「え・・・っ?」

 




体をなぞりながら手が下に伸びていく。

あまりにも突然のことで制止することが出来ない。

 




「-----ちょ、ちょっと!」

辰「んー?」

 




足を閉じようと試みた時にはもう遅かった。

足の間に体を入れられ妨げられる。

 




「何する-------ッ!!?」

 




 

---クチュッ

 



 

彼の指が・・・ゆっくり割れ目をなぞる。

 




そして卑猥な音を立てながら

 




中に押し入って来た。




 

「な---っなに---えッ!?」

辰「やっぱり、まだ濡れてる。」




 

辰巳さんの言う通りソコは十分潤っていて

簡単に指を受け入れていく。

 




「ぃ-----やッ・・・・!」

辰「イヤ?こんなに濡れてるのに・・・透ちゃんは嘘つきだなぁ。」

「ぅ----ぁッ----!」

 




しかも背中が痺れるようなこの感覚。

声と同様、さっきまで感じてた。

そう・・・ついさっきまで・・・・・・

 




辰「透ちゃんはここが好きなんだよな?」

「-----ッぁ!」

 




侵入した指がクッと折り曲げられる。

内壁を擦るようになぞられると腰がビリビリと震えた。

 




「や---やめ--!ぁ・・・ッ!」

辰「まだ思い出さない?」

「ぁ----ぅッ・・・!」

 




ウソ---だろ・・・

なんで・・・なんでこんな-----!

 




辰「透・・・・・」

「--------ッ!」

 




耳元で囁かれる掠れた声。

この声も、そしてこの感覚もやっぱり覚えてる。

何度も名前を呼ばれて
何度も快感を与えられて

 



それからどうなった?



 

覚えてない。

全く覚えが・・・・・無い?

まさか私は

 




------落ちたのか?

 




「待--ッって--!や・・め----ッ!」

辰「思い出した?」

「---な・・なんと--ッ・・なく・・・もう---やめろ・・ッ・・」

辰「なんとなくなの?」

「--ッ・・・ッ・・!」




 

なんだよこれ。
なんで覚えてないんだよ。

覚えが無い程落とされた?

それは無い。

そんなことあるはずが無い------

 




辰「じゃぁ、「約束」は?」
「---ぇッ・・?」

 




-----約束?

 




辰「なんのことか分かんない・・・って顔してるな。」
「ぇ?」

 




思わず辰巳さんを見上げると・・・

それはもう飛び切り妖艶で

そして




悪魔のような笑顔----

 




「---ん---------ッッ!!」

 




指が激しく内壁を擦る。

貫かれるような刺激が押し寄せて体がビクッと跳ねる。

 


それと同時に---

自分の意思とは裏腹に、体が快感を貪った。

 




「・・・ぁ----ぅッ・・・!」

 




背中が仰け反る。
体が痙攣する。

 



 

「ぃや------だ・・ッ・・!」

 



 

ウソだ・・・

 

 



こんなのはイヤだ----------