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「俺の家まで行って。」
迎えの車に乗り込んだ。
透ちゃんの家に・・・とも思ったが、とりあえず次に会う約束も出来てないし。
それに、例え透ちゃんの家に送ったとしてもさすがにこの状態で放置なんてのは出来ない。
ちょっとだけ迷った結果、自分の家に連れていくことにした。
透「・・あのッ・・・すみません--K街・・・4丁目の----」
なんとか意識を保っているのか。
苦しそうな呼吸の合間に声を出す。
あー、ダメダメ。
濡れた唇がヤケにエロい。
「もう大丈夫だから。安心して?」
とりあえずそう言っておいた。
「ありがと木戸。」
「いえ。」
しばらく車を走らせ、家に到着。
「透ちゃんは・・・歩けないよな。」
背もたれにぐったりと体を預けている。
どうやら限界らしい。
動けない彼女を抱いて車を降りた。
透「ん・・・ッ---」
振動が体に響くのか。
軽く吐息が漏れる。
それにしても・・・
とうとう意識が落ちてしまったらしい。
完全に瞼が閉じられている。
まぁ、薬を飲まされて大分時間が経ってるからな。
頑張った方だよ。
「よいしょ・・・っと。」
透「----ん・・・」
部屋に着いてとりあえずベッドに寝かせた。
「あれ?」
仰向けに横たわる彼女。
うっすらと目を開いて天井を見ている。
起きたか?と思ったが意識は他のところにあるようだ。
焦点が合ってない。
透ちゃんを見つめたまま俺もベッド端に腰を下ろした。
「・・・・・どうするかな。」
このまま喰っちまうか。
・・・とも考えたが、意識の定まらない透ちゃんとヤってもねぇ。
薬に犯されて快感を貪るだけの女を抱いても面白くはない。
別に欲が溜まってるわけでもないし。
「仕方ないなぁ。薬の緩和方法でも聞いてみるか。」
緩和方法。
まぁつまり、switchの解毒(?)方法だな。
今日はやめとこう・・・
そうと決まれば楽に眠らせてやるのが親切ってもんだろ?
「しん・・・晋・・・っと。」
携帯を取り、目当ての番号を探す。
野獣・晋。
あいつは、実は医者だったりする。
あんな奴が医者だなんて世も末だ。
ま、腕の良し悪しは知らないが少しくらい役に立つ情報をくれる・・・だろうと思う。
透「お・・前な・・・んか--ッ---嫌い・・・だッ・・!」
「え----?」
通話を押そうとした瞬間、聞こえてきた消え入りそうな声。
ビックリして彼女を見る。
意識が戻ったのか・・・と思ったがそうじゃないらしい。
なんとか体を動かそうと頑張っているが、やはり焦点の合わない目でどこかを見つめている。
幻覚でも見てるのか?
それにしても・・・
「誰のことが嫌いだって?」
返事を期待したわけじゃないが興味本位。
朦朧とする彼女に話し掛けてみた。
透「薬には--屈し・・ないっ・・ッて・・何度試せば・・ッぅ・・気が済むん---だ!」
「・・・・ん?」
返事は返ってこなかったが気になる言動。
薬には屈しない。
何度試せば気が済む。
一体なんのことだ?
「ちょっと透ちゃん。そっちに行くと落ちるよ。」
朦朧としてるくせに、なんとか体を起こしてベッドから降りようと・・・
いや、落ちようとしている。
ベッドに上がって肩を掴んだ。
「こら、危ないって---」
透「--ッ・・触--る・・・ッ・・なっ!」
ベッドに押さえつけると威勢のいい言葉が飛んできた。
ろくに動くことさえ出来ないのに本っ当に意地っ張りなヤツだな。
しかも俺のことを誰かと勘違いしてるみたいだし。
もしかしてさっきのガキか?
「辛いだろうけど少し待ってて?医者に電話してみる---から・・・」
言葉に詰まった。
多分違う人間が見えてるんだろうけど、しっかりと俺の目を見つめてくる。
そして・・・ゆっくり手が伸びてくる。
腕を上げるのも辛いのか。
小さく震える指が頬に当たり・・・
首筋をなぞって下へおりていく・・・
「・・・・・透・・・ちゃん?」
虚ろな目で自分の指をぼんやり追っている。
首筋から鎖骨。
そして胸元へ流れていく細い指。
なにこれ。
もしかしていい雰囲気に突入する感じ?
透「お前---なんか・・ッ--・・絶対・・・好きに--ッ・・なら・・ないッ・・・!」
俺の胸元に達した彼女の手は
迷うことなく胸倉を掴み上げた。
「・・・・・・・・・。」
こいつの行動にはいちいち驚かされる。
なんでこのタイミングで胸倉?
今のは「抱いて・・・」って言うとこだろ。
しかも絶対好きにならないって・・・
いい度胸してるじゃないの。
(なんなんだ・・・こいつ・・・・・)
見る限り体の限界なんてとっくに超えてるはずなのに
意識だって定まってないのに
「お前・・・なんで落ちないの?」
媚薬って、快感増幅剤みたいなもんだろ?
しかもswitchって強力な薬だって聞いたような気がするぞ。
なのに、なんでここまで抵抗出来る?
なんで快楽に溺れない?
もしかして異常体質?
透「体奪った--ッ・・くら・・いでッ-----落と・・せるとッ--思うな---よッ・・・・!」
胸倉を握り締める手に力が篭った。
そして威嚇するように睨んでくる----
その瞳に
背中がゾク・・・・・ッと震えた。
俺に言った言葉じゃない。
そんなことは分かってる。
だが・・・
思い切り、欲を煽られた。
「ふーん・・・」
せっかく介抱してやろうと・・・
今日は大人しくしてようかと・・・
そう思ってたんだけどな。
でもこんなの見せ付けて
一体俺に・・・どうしろと?
透「-------ッ・・!」
胸倉を掴む手を退かせる。
軽く手首を握っただけで息を呑むこいつ。
こんなに敏感になってるくせに、よくもあんな強がりを言えたもんだ。
透「放--せ---ッ!」
「-----------。」
透「----っ!」
睨んでくる目を見つめながら顔を近づけると、虚ろな目が少しだけ見開かれた。
頬に手を添えるとビクッと体が跳ねる。
今更怖気づいたのか?
だがもう・・・止めてやるつもりは無い。
「・・・簡単に落ちるなよ?」
何か言いたそうに唇が開いたが
無視して激しく唇を奪った。
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