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葵「辰巳さんを見てくださいよ!胸が高鳴るでしょ?トキメクでしょう!?ドキドキするでしょう!!?」
葵くんとタバコのおかげで少しだけ透ちゃんとお近づきになれた。
どうやら葵くんは俺らのことを知っていたようで。
ていうか葵くん。
俺のこと好きなの・・・?
いやいやそうじゃなくて。
「もしかして透ちゃん。恋愛に興味が無い人?それとも堅い女の子なの?」
興味深いのはこっち。
「堅いかどうか分からないですけど。今は恋愛に興味ないです。」
グラスを傾けながら軽く答える。
やはりこの女、面白い。
可愛いとかセクシーだとか、特別な理由は思いつかないんだが・・・
敢えて挙げるとすれば
あまりにも「女」が欠落していること・・・か?
透ちゃんは、ドキドキしないらしい。
カッコイイとドキドキが連動しない心の持ち主のようだ。
顔を覗き込まれたまま「ドキドキしない。」と真顔で言われた。
普通ならムカッとするところなんだろうが俺にとっては初めての経験。
ちょっとした事件だ。
悠「・・・早く戻ってきて。」
「あ、あぁ。」
そして男らしい透ちゃんは・・・
意外にモテるらしい。
合コン相手がわざわざ迎えに来た。
彼女を狙ってるのバレバレ。
だが残念。
透ちゃんは俺の獲物なんで。
とりあえず話してみて思ったこと。
---いいかも。
彼氏はいないし欲しくもない。
色気も無いしむしろ男に見える。
話し方は男口調。
まるで男友達と話している感じ。
これだけ並べると何故・・・?と思うが
なぜか気に入った。
面白そうだと思った。
(まぁでも・・・)
ゲームに引き込むのは難しいだろうなぁ。
だってこの子だよ?
それに恋愛に興味ないって言ってる人に恋愛ゲームしようよって言ってもねぇ?
やらない、って言われて終わりだよな。
でも絶対引き込みたい。
でもどうやって?
葵「ただ今帰りましたぁぁ!!」
透「・・・お帰り。」
「お帰りなさい。」
いい考えも浮かばないまま
無情に時間だけが過ぎていく。
透「-------!?」
葵くんが帰ってきてしばらく経った頃、突然透ちゃんがぐらついた。
カウンターに倒れこんでビックリした表情。
目をパチパチ瞬かせている。
なんだ・・・酔ったのか?
「透ちゃん?大丈夫?」
透「---------ッッ!?」
「え?」
様子がおかしいので体を起こそうと肩に手をかけた。
その瞬間、透ちゃんの体が思い切りビクついた。
こっちまでビックリしてしまった。
一体どうしたってんだ。
透「す、すみません。」
「い、いや。」
額に手を当ててグラスを見つめる透ちゃん。
浅く呼吸を繰り返し、キュッと目を閉じる。
そしてその横顔が・・・
どんどん赤みを帯びていく。
透「・・・・・・・Switch。」
「え?」
葵「な、なんですか?」
スイッチ・・・・?
葵「透さん?」
「何て言った?」
透「い、いえ・・・・」
もしかして・・・・Switch?
それ、どっかで聞いたことがある。
ちょっと前に密かに出回ったっていう性質の悪い媚薬だって話だったけど・・・
(・・・・・・・・・・。)
え、ちょっと待って飲んだの?
そのSwitchを?
今!?
透「-------ぅッ・・・」
葵「透さん!」
「---------。」
本当にSwitchかどうかは分からないが、この豹変振りは異常だ。
どうやら本当に何らかの異物を飲んでしまったらしい。
いや、飲まされたんだろう。
犯人は・・・あのガキに間違いないだろうな。
(なんてことしてくれんだよ。)
全然話も出来てないのにこれじゃ話すどころじゃない。
掻っ攫ってもいいけどまだ親しい仲になったわけじゃないし・・・
それにあの元気なお友達が「透ーーー!!」とか言って連れて帰りそう。
いやいや今はそんなこと考えてる場合じゃない。
「送ろうか?」
透「いえ、お気遣い無く。」
「すごく辛そうだけど。」
透「たまにこうなるんで。心配ないですよ。寝たら治ります。」
「・・・・・・・・。」
(意地っ張りな子だな・・・)
小刻みに震える手。
呼吸もだんだん荒くなってる。
これは本格的に、ヤバイ。
「透ちゃん、やっぱり送る---」
悠「透ちゃん帰っちゃうのー!?」
透「--------------!?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
どう考えても確信犯。
ガキが透ちゃんに抱きついてきた。
体を震わせる彼女。
そしてその目が見開かれる。
(え・・・・・・・・・・?)
なぜか彼女の顔に
「恐怖」が映ったような気がした。
透「・・・・・・・・・触るな!」
悠「え?」
ガキの手を振り払って立ち上がる透ちゃん。
まぁ、怒ってるよ。
怒ってるけど・・・
薬が回ってきてるみたいで体が震えてる。
透「薬使うなんて・・・男として最低だと思わないのか?」
悠「------!」
透「まさか・・・香織と結衣にも盛ったんじゃないだろうな!?」
言葉の流れで合コン席に視線を移す。
バチッ、と2人の女の子と目が合った。
目を見開き口に手を当ててキャー!と騒ぎ出す2人。
こらこらそんなことやってる場合じゃないぞ。
君らの友達がピンチなんですけど。
透「私にもあの2人にも二度と近づくな。じゃぁな。」
悠「・・・・・・ちょっと待ちなよ。」
透「おいこら----触るなっ!!」
再び戦場に意識を戻すとガキが透ちゃんに接触。
力の入らない透ちゃんの腕を掴んで出口に引きずり出した。
葵「ちょっと!透さん!!」
葵くんが焦る。
友達はまだ騒いでる。
透ちゃんは・・・出口に消えた。
「あー・・・・・・もう。」
ゲームに引き込む作戦、まだ思いついてないけどこのまま連れ去られたら困る。
それにあいつらにも怒られるし・・・
「葵くん、透ちゃんの荷物ちょうだい。」
葵「えっ?」
「透ちゃん、俺が送ってくから。友達に伝えててくれる?」
葵「は、はい!」
「それと・・・友達のことヨロシクね。あの男の子達、危ないかも。」
葵「分かりました!!」
俺が大好き葵くんは素直に透ちゃんの荷物を渡してくれた。
多分、友達にも上手く言っててくれるだろ。
葵「おお多すぎます!」
ついでに自分と透ちゃんの分の料金を掴ませる。
釣りをもらってる時間は無い。
(さぁて・・・)
重い腰を持ち上げる。
全く、なんでこんなことになったんだ。
あのガキも気付いていたはずなんだけどな。
横取りできるとでも思ってたのか?
それとも俺に対する挑戦のつもりか。
まぁどっちでもいい。
俺の透ちゃんをさらった悪い子には・・・
お仕置きしてやらないといけない。
上着を羽織り店から出る。
辺りを見回すと非常口の方から争う声が聞こえた。
近くにいて良かった、と思いながらドアを開ける。
透「なにすんだッ!放せ-----んッ!!」
(・・・・・・・こらこら。)
ドアを開けた瞬間、キスシーンを目撃。
暴れる透ちゃんを壁に押し付け、勢いでキスしちゃった感じ?
まぁ・・・あんまりいい気持ちはしない。
悠「あんたが無視するのが悪いんだろ!」
透「何言ってんだお前----」
「本当、何言ってるの君。」
悠「------!?」
ドアに背中を向けてるガキ。
俺に気付かなかったのか勢い良く振り返る。
悠「んだよあんた!邪魔すんなよ!」
「嫌がってるだろ。放してやりなよ。」
悠「あんたには関係ねぇだろ!」
「煩いなぁ、叫ぶなよ。とにかく、透ちゃんは俺と帰ることになってんだ。早く放せ。」
悠「んだと!」
透ちゃんから手を放し俺に向き直る。
よっぽどご立腹のようだ。
すごい目で睨みながら突進してきた。
一方透ちゃんは右手の甲で荒々しく唇を拭く。
そして壁を伝って力なく床に座り込んだ。
「おい。」
悠「-----っ!?」
ガキの拳を避けて代わりに胸倉を締め上げた。
驚いたのか、目を見開いて暴れる。
「何の薬飲ませた?」
悠「は---放せっ!!」
「さっさと言えよ。」
悠「-----ッぅ!」
苦しそうだけど早く答えてね。
解毒って表現は可笑しいかもしれないけど、出来るなら対処してやれるからな。
対処しないで今夜はお楽しみ・・・ってのも有りだけど。
悠「く---くるし----ッ・・!」
「もう一回だけ聞く。何飲ませた?」
悠「---ッ・・・Switch・・・・・」
「・・・・・・・。」
Switch。
(なんで分かったんだ?)
さっき透ちゃんが呟いてた。
つまりSwitchのことを知っていた。
そして以前にも飲んだことがある?
あの透ちゃんがエッチな薬を?
うーん、ピンとこないな。
「どのくらい飲ませた?」
悠「---ッ・・2---錠---ッ」
「それって多いの、少ないの。」
悠「普通---のッ・・2倍------うッ!!」
「お前・・・バカだろ。」
2倍なんて有り得ない。
何考えてんだこのガキは。
「Switchってどんな薬?どうやったら効果が消える?」
悠「し、知ら---ねぇよ---ッ!」
「ふーん。」
知らないで使ったらしい。
やっぱりこいつ、バカだな。
「まぁ、教えてくれてありがとう。」
悠「ぇ----ぅうッ!!」
意識を落とした。
動かなくなったんで床に転がす。
素直に吐いてくれたんでお仕置きはこれで許してやろうと思う。
それに
まだやらなきゃならないことも残ってるし・・・
「透ちゃん、大丈夫?」
床に座り込んでぐったりしている彼女。
目を閉じ、肩で息をしている。
仕方ないよな。
だって2倍だし。
これじゃ意識もぶっ飛んで---
透「ありがと・・・ございます・・大--丈夫・・・・です--」
「・・・・・・・・・。」
薬が効いてないのか?
いや、そんなことはないだろ。
薬を盛った本人が2倍入れたと証言済みだ。
透「--------ンッ!!」
「・・・・・・・・。」
軽く頬に触れるだけで大きな反応。
やはり効いてる。
それに、相当強い薬みたいだな。
透「え---とッ・・・ここは・・・」
「店の外の非常口。」
透「み・・・・せ・・」
潤んだ目でぼんやりと見上げてくる。
その上、上気したピンク色の頬。
荒い呼吸のせいで艶かしく開く唇。
(やばい----)
ゾクゾクする。
思わず押し倒してしまいそうになった。
「----あ、木戸?今からAビルの下に車回して。よろしく。」
透「あの--ッ-」
「さ、行こう?」
透「ぇ・・・?」
このまま二人きりはまずいと思った。
家に送るでもなんでも、さっさとこの場を離れようと連れに連絡を入れる。
「とりあえず出よう?迎え頼んだから。」
透「え・・・あの、タクシーで帰るんで--大丈夫・・・です・・」
手を伸ばすと柔らかく断られた。
しかもタクシーで帰る?
「何言ってんの。そんな状態でタクシーに乗るつもり?今度は運転手に襲われるぞ。」
透「大丈----ンッッ--!」
「・・・意地っ張りな女だな。」
透「ちょ----」
「大人しくして。」
背中と膝下に手を回し、体を横抱きにする。
力なんて全然入ってないのにそれでも抵抗しようと抗っている。
意地っ張りなのか、それとも警戒心が強いのか。
ま、今はそんなことどうでもいい。
俺は早くここから立ち去りたい。
透「歩け---る・・」
「無理だろ?」
透「--------。」
「・・・・・・・・・・・。」
キュッと唇を噛んで顔を逸らした。
(おいおいやめてくれよ。)
全く力の入っていない体。
意識も朦朧としてるはず。
それなのに強がってみせるその態度。
そういうの見ると
煽られるだろう?
体の奥から
真っ黒な欲望が溢れるのを感じた。
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