「ちょっと・・・急に何すんの。」
「-----っ!」
引き剥がした。
そりゃもう電光石火で。
(勘弁してよ・・・・・)
避けられなかった俺も俺だけど・・・
寄りによって有希の目の前でこれはやばいでしょ。
「・・・・・失礼しましたぁ。」
「え!あ、ちょっと---!」
パタン。
出て行った。
まぁ、当然だよな。
『---今の人?はまってる女って。』
「・・・だったらなに?ていうか手ェ離して。」
『・・・・・。』
離れようとしない半ば強引に振りほどく。
まだそこら辺にいればいいけど・・・
とりあえずドアへ急いだ。
「有希ちゃん!」
勢い良くドアを開いた。
「え?」
そのまま廊下へ飛び出そうとしたところ
なんと目の前に有希を発見。
壁にもたれてニヤニヤ顔で・・・
なんだよその顔気持ち悪い。
有「随分早かったな。時間は気にしなくていいぞ。学食かどっかで待ってよっか?」
は・・・?
「・・・何言ってんの。さっさと修理して。」
有「え、いいの?じゃぁお邪魔しまーす。」
意外にも素直に入ってきやがった。
どうやら状況が分かっていないのか、やはり相当鈍い性格らしい。
(な、なんだよこの空間・・・)
有希を部屋へ通したはいいが女は帰ろうとしない。
そして更なる怪現象。
なぜか有希が女に近づいていく。
「ちょっと、頼むから帰ってよ。」
いい加減マジで勘弁して欲しい。
---お互い干渉は無し
それを前提の関係だったんだ。
プライベートに立ち入られるのは困る。
有「え、別にいいじゃん。症状教えてくれたら勝手にやるからさ。2人でどっか行ってくれば?」
「は?」
振り返って俺を見る顔は相変わらずニヤニヤしてる。
それにいかにもからかってます的な喋り方・・・
(え、まさかこの子・・・)
有「君、要の彼女さんなんだろ?」
(・・・・・・・やっぱり?)
思い切り勘違いをかましてくれた。
どこまで平和に出来てるんだお前の頭は。
頼むから空気を読め。
この重苦しい空気を・・・
「違うって。俺に彼女いないの知ってるだろ。」
有「なぁに言ってんだよ。あんなの見せ付けといて言い訳かぁ?」
「あのな・・・」
有「照れるな照れるな!」
なぜかはしゃぐ有希。
言いたいことは分かるけどさっきのは不可抗力だからね。
好きでやったんじゃありません。
『"要"って・・・名前で呼ばせてるの?』
有「へ?名前?」
「ちょ・・・いい加減にしてよ。まだ用があるわけ?」
あっけらかんと話す有希とは対照的にぼそぼそと呟く女。
ていうかほんと勘弁して。
これ以上引っ掻き回されるのは--
---パァンッ!!!
有「・・・・・・・え?」
「------え!?」
乾いた音が大きく響く。
そして有希の体がグラリと揺れた。
(な、な・・・・・・!)
『私の方が---絶対高野さんを想ってるんだからぁっ!!』
余程強く打ったのか
女は右手を庇い、意味不明な叫びを置き土産に走り去った。
有「えっ!?ちょ、ちょっと!待ってよお嬢さん!!」
いきなり殴られて一瞬放心していた有希。
しかしどうやら女が勘違いしたと思ったらしい。
追いかけようと叫びながら走り出した。
有「おいコラ違う!私は違うぞ!!説明するから戻って-----ぐえっ!!」
襟を掴んで引き止めた。
やっと帰ってくれたのに
これ以上面倒事はごめんだね。
有「は、放せよ要!!あの子勘違いしたまんまだぞ!?」
「いいから!」
有「・・・・・・・・。」
声を大きくして制止した。
あくまであの女が彼女、またはそれに近いものと思っているのか。
バツの悪そうな顔をしている。
「少し前に遊んでた女なんだよ。お互い干渉しない関係だったんだけどね。いきなり来たからビックリしたけど。そんなことよりこっち来い。」
有「・・・へ?」
「・・・・・血、出てる。」
女の爪が掠ったんだろう。
有希の頬には薄っすらと引っかき傷が出来ていた。