好きの定義

好きの定義—–5 SAKURA∞SAKU first

「ちょっと・・・急に何すんの。」
「-----っ!」

 

引き剥がした。
そりゃもう電光石火で。

 

(勘弁してよ・・・・・)

 

避けられなかった俺も俺だけど・・・
寄りによって有希の目の前でこれはやばいでしょ。

 

「・・・・・失礼しましたぁ。」
「え!あ、ちょっと---!」

 

パタン。

出て行った。
まぁ、当然だよな。

 

『---今の人?はまってる女って。』
「・・・だったらなに?ていうか手ェ離して。」
『・・・・・。』

 

離れようとしない半ば強引に振りほどく。

まだそこら辺にいればいいけど・・・
とりあえずドアへ急いだ。

 

「有希ちゃん!」

 

勢い良くドアを開いた。

 

「え?」

 

そのまま廊下へ飛び出そうとしたところ

なんと目の前に有希を発見。

壁にもたれてニヤニヤ顔で・・・
なんだよその顔気持ち悪い。

 

有「随分早かったな。時間は気にしなくていいぞ。学食かどっかで待ってよっか?」

 

は・・・?

 

「・・・何言ってんの。さっさと修理して。」
有「え、いいの?じゃぁお邪魔しまーす。」

 

意外にも素直に入ってきやがった。
どうやら状況が分かっていないのか、やはり相当鈍い性格らしい。

 

(な、なんだよこの空間・・・)

 

有希を部屋へ通したはいいが女は帰ろうとしない。

そして更なる怪現象。
なぜか有希が女に近づいていく。

 

「ちょっと、頼むから帰ってよ。」

 

いい加減マジで勘弁して欲しい。

---お互い干渉は無し
それを前提の関係だったんだ。
プライベートに立ち入られるのは困る。

 

有「え、別にいいじゃん。症状教えてくれたら勝手にやるからさ。2人でどっか行ってくれば?」
「は?」

 

振り返って俺を見る顔は相変わらずニヤニヤしてる。
それにいかにもからかってます的な喋り方・・・

 

(え、まさかこの子・・・)

 

有「君、要の彼女さんなんだろ?」

 

(・・・・・・・やっぱり?)

 

思い切り勘違いをかましてくれた。
どこまで平和に出来てるんだお前の頭は。

頼むから空気を読め。
この重苦しい空気を・・・

 

「違うって。俺に彼女いないの知ってるだろ。」
有「なぁに言ってんだよ。あんなの見せ付けといて言い訳かぁ?」
「あのな・・・」
有「照れるな照れるな!」

 

なぜかはしゃぐ有希。

言いたいことは分かるけどさっきのは不可抗力だからね。
好きでやったんじゃありません。

 

『"要"って・・・名前で呼ばせてるの?』
有「へ?名前?」
「ちょ・・・いい加減にしてよ。まだ用があるわけ?」

 

あっけらかんと話す有希とは対照的にぼそぼそと呟く女。

ていうかほんと勘弁して。
これ以上引っ掻き回されるのは--

 

 

---パァンッ!!!

 

 

有「・・・・・・・え?」

「------え!?」

 

 

乾いた音が大きく響く。

そして有希の体がグラリと揺れた。

 

(な、な・・・・・・!)

 

『私の方が---絶対高野さんを想ってるんだからぁっ!!』

 

余程強く打ったのか

女は右手を庇い、意味不明な叫びを置き土産に走り去った。

 

有「えっ!?ちょ、ちょっと!待ってよお嬢さん!!」

 

いきなり殴られて一瞬放心していた有希。

しかしどうやら女が勘違いしたと思ったらしい。
追いかけようと叫びながら走り出した。

 

有「おいコラ違う!私は違うぞ!!説明するから戻って-----ぐえっ!!」

 

襟を掴んで引き止めた。

やっと帰ってくれたのに
これ以上面倒事はごめんだね。

 

有「は、放せよ要!!あの子勘違いしたまんまだぞ!?」
「いいから!」
有「・・・・・・・・。」

 

声を大きくして制止した。

あくまであの女が彼女、またはそれに近いものと思っているのか。
バツの悪そうな顔をしている。

 

「少し前に遊んでた女なんだよ。お互い干渉しない関係だったんだけどね。いきなり来たからビックリしたけど。そんなことよりこっち来い。」
有「・・・へ?」
「・・・・・血、出てる。」

 

女の爪が掠ったんだろう。

有希の頬には薄っすらと引っかき傷が出来ていた。