宣戦布告

宣戦布告.3 SAKURA∞SAKU first

「おいコラ!放せ!」

 

なんて真っ黒な微笑み。
こんなの見せられて焦らないはずがない。

もちろんヤツの手首をひねり上げ、即座に距離を取った。

つもりだったんだが---

 

 

孝「宣戦布告だ。」

「え!おいおいちょっと------!」

 

 

バカ力の孝様の手はビクともせず

逆に頬からうなじへと滑り込み、いとも簡単に引き寄せられてしまった。

 

もう・・

 

どうやって防げばいいんだよコレ!

警戒するしないの問題じゃねぇ…
頼むから誰かマニュアル作ってくれよ!

 

(くそ・・・!)

 

会話はろくにできねぇくせに
ちゅーという挨拶は簡単に出来るんだなこいつは!

 

「・・・・・・・・ぅ・・・んっ!」

 

なーにが宣戦布告だ!
ゲームか!
ゲームのつもりか!?

 

「・・・・っぁ・・・」

 

おのれ---!
なんで無駄に力が強いんだよお医者様!

てか私も変な声だすんじゃねぇ!
気持ち悪いんだよ!!

だからキスが上手すぎだっつーの!
力入んねぇっつーの!
テクニックは自分の女に披露しろって言ってるだろうが!

 

「ん・・・・・ん、んんんー!!」

 

てめぇは発情期かぁぁぁ!!??

 

 

「・・・ぷっはぁっ!!!い、いい加減っ学習しろー!簡単にキッッ・・・キスすんじゃねぇぇ!!」
孝「----チッ。」
「舌打ちすんな!!さっさと車出しやがれコラ!」

 

なんとか力ずくで振り払うことに成功。

高速で孝から離れた。
ヤツはというとあからさまに舌打ちをかまし、しぶしぶ車を出す。

 

(なんて---なんてヤツだ全く!)

 

全てが。

そう全てが!

理・解・で・き・ま・せ・ん!

 

孝「おい有希。」
「なんだっ!」
孝「一日一回はキスさせろ。」
「ふざけんな!枕にでも付き合ってもらえ!」
孝「お前は俺に惚れる」
「催眠術か!?」
孝「催眠術?それもいいな。」
「もう嫌だぁぁぁっ!!」

 

バカばっかりだ!!
こいつらといるとバカが移る!

 

 

(だはぁぁぁ…もう勘弁してくれェ…)

 

 

何が楽しくて私に構うんだよこいつは。

暇潰しなら他を当たってくれ。
お前らが思ってるほど暇じゃねぇんだよ私は!

 

(今日って私の歓迎会じゃなかったか?)

 

歓迎のチューか?
さっきのはそれなのか?

私にも外人さんのように・・・

そう振舞えと!?

 

 

(つ、疲れる…)

 

 

家にはすぐ着いた。

 

けど、めちゃくちゃ遠くまで買い物しに行った気分…

 

 

 

 

 

--------宣戦布告(完)