「おいコラ!放せ!」
なんて真っ黒な微笑み。
こんなの見せられて焦らないはずがない。
もちろんヤツの手首をひねり上げ、即座に距離を取った。
つもりだったんだが---
孝「宣戦布告だ。」
「え!おいおいちょっと------!」
バカ力の孝様の手はビクともせず
逆に頬からうなじへと滑り込み、いとも簡単に引き寄せられてしまった。
もう・・
どうやって防げばいいんだよコレ!
警戒するしないの問題じゃねぇ…
頼むから誰かマニュアル作ってくれよ!
(くそ・・・!)
会話はろくにできねぇくせに
ちゅーという挨拶は簡単に出来るんだなこいつは!
「・・・・・・・・ぅ・・・んっ!」
なーにが宣戦布告だ!
ゲームか!
ゲームのつもりか!?
「・・・・っぁ・・・」
おのれ---!
なんで無駄に力が強いんだよお医者様!
てか私も変な声だすんじゃねぇ!
気持ち悪いんだよ!!
だからキスが上手すぎだっつーの!
力入んねぇっつーの!
テクニックは自分の女に披露しろって言ってるだろうが!
「ん・・・・・ん、んんんー!!」
てめぇは発情期かぁぁぁ!!??
「・・・ぷっはぁっ!!!い、いい加減っ学習しろー!簡単にキッッ・・・キスすんじゃねぇぇ!!」
孝「----チッ。」
「舌打ちすんな!!さっさと車出しやがれコラ!」
なんとか力ずくで振り払うことに成功。
高速で孝から離れた。
ヤツはというとあからさまに舌打ちをかまし、しぶしぶ車を出す。
(なんて---なんてヤツだ全く!)
全てが。
そう全てが!
理・解・で・き・ま・せ・ん!
孝「おい有希。」
「なんだっ!」
孝「一日一回はキスさせろ。」
「ふざけんな!枕にでも付き合ってもらえ!」
孝「お前は俺に惚れる」
「催眠術か!?」
孝「催眠術?それもいいな。」
「もう嫌だぁぁぁっ!!」
バカばっかりだ!!
こいつらといるとバカが移る!
(だはぁぁぁ…もう勘弁してくれェ…)
何が楽しくて私に構うんだよこいつは。
暇潰しなら他を当たってくれ。
お前らが思ってるほど暇じゃねぇんだよ私は!
(今日って私の歓迎会じゃなかったか?)
歓迎のチューか?
さっきのはそれなのか?
私にも外人さんのように・・・
そう振舞えと!?
(つ、疲れる…)
家にはすぐ着いた。
けど、めちゃくちゃ遠くまで買い物しに行った気分…
--------宣戦布告(完)