宣戦布告

宣戦布告.2 SAKURA∞SAKU first

「どうした?何か買い忘れたか?」

 

ハンドルに手を置いたまま何か考え込んでる孝。

一体何を買い忘れたってんだ。
チーズか?
サラミか?

 

孝「------警戒しろと言ったはずだ。」
「へ?・・・あぁ、話の続きか。警戒してたけどそれもお前と同じ。警戒網を簡単に飛び越えてきやがるんだよ。」

 

ぴょんぴょーんってな。
全く、どうにかしてもらいたいもんだ。

 

 

孝「有希。」
「---へっ?」

 

 

急に名前を呼ばれてビックリ。

思わず孝を見てしま

 

 

「----!」

 

 

そして更にビックリ・・・

 

奴の大きな手が伸びてきて

 

ふわりと頬を包み込んだ。

 

(なな・・・なんだ?)

 

なんでそんなに真っ直ぐ見るんだ?

目が逸らせないんですけど・・・

ていうかそんな風に見られたらさすがに緊張する---

 

(な・・・・何がしたいんだ?)

 

ちょ---おいおいまさか・・・

またぶちかますつもりじゃねぇだろな!?

ちょっと待てちょっと待てそれは勘弁しろ。

とりあえずこの手は離してもらおうか。

 

孝「お前を--」
「いやいやちょっとタイム--」

 

孝「お前を、俺の女にしてやる。」

「・・・は?」

 

よし振り払おう。
と力んだと同時に出てきたこいつの言葉。

真面目な顔して何を言い出すかと思えば・・・

なんつー上から目線だよ。
頼んだ覚えもねぇよ。

 

孝「不服か?」
「男はいらねぇ。酒とタバコとPCがあれば十分だ。」
孝「色気のかけらもねぇな。」
「放っとけ。」

 

色気なんて母ちゃんの腹ん中に置いてきちまいましたー。
持ってても邪魔になるだけですー。

なんていうのは強がりですが

 

「そういや真樹にも言ったからとりあえず言っとくけどな。」
孝「あ?」
「今は恋愛したくないような勇気がないようなーって感じなので、私は誰とも付き合いません。本気で女になれって言ってるわけじゃないんだろうけどさ。とりあえずね。」
孝「------意味分かんねぇ。」
「おぉさすが同類。やっぱ孝と真樹は似てるんだな。あいつも同じ反応だったぞ?」
孝「・・・・・・・・・・。」
「まぁそんなわけだし。お前には美人でカワイイ女子がたくさん寄ってくるだろ?私なんか構ってくれなくていいって。」

 

分かったな、と最後に念を押す。

そして頬に添えられた手を退かそうとこいつの手を握った。

・・・のだが

 

「・・・・・っ!」

 

繋がったままの視線に

 

背中がゾクリと震えた。

 

「な、なんで睨むんだよ!」

 

気を削がねぇと呑まれると思った。

だって・・・車内が暗いからじゃない。

あまりにも真っ直ぐで
あまりにも鋭くて

 

(なんで・・・)

 

なんでそんな目で見るんだよ。

 

孝「お前は俺のモノだ。そう決めた。」
「え?あ、あの・・・話聞いてたか?」

 

孝「お前のことが気になる。」

「・・・・・・へ?」

 

なんですと?

 

孝「お前が気になってムカつく。だから俺のモノにしておく。」
「え、あ、あの・・・」
孝「なんだ。」

 

あの・・・

え、何それ。

 

「・・・どういう意味っすか?」
孝「意味分かんねぇからイライラするんだろうが。」
「・・・・・・。」

 

イライラするってお前・・・

それはすみませんけどね。

意味分かんねぇのは私の方だろうが。

 

孝「俺に惚れろ。」
「・・・え・・・・は?」
孝「それなら文句ねぇだろ。」
「文句ってあんた・・・話の意図が見えねぇよ。」
孝「バカなのか?」
「それはてめぇだろ。」
孝「・・・はぁ。」

 

(どど・・・どうしちゃったんだこいつ。)

 

大体、ため息つきたいのはこっちだっての。

こいつの言動全てに理解できる要素がまるで見当たらない。
誰かこいつの頭の中を翻訳してくれ。

 

孝「分かった。こういうことだ。」
「へ?」
孝「俺が惚れさせればいいんだな?」
「なんで疑問系?それにんなこと頼んでねぇよ。」
孝「そういうことだ。」
「解決したんすか!?」

 

なんと、勝手に納得しやがった。

ていうか惚れさすってなんだよ。

こいつといい真樹といい・・・
人をおちょくるのも大概にしろ。

 

(そして・・・・コノ手を退かせ!)

 

何が解決したがさっぱりだが・・・
顔もすっきりしてるしもういいだろ。

解決したなら・・・・離れろ!

 

 

「とにかくいい加減離れ----えっ!?」

 

 

さっきまでの悩ましい顔はどこ行った。

 

 

目の前の俺様

 

 

それはそれは不適に口角を上げやがった。