誰か、ウソだと言って

誰か、ウソだと言って12 realReal





「・・・何が入ってんだそれ。」
「え、色々。もし持って行けたらいいなと思って。」
「・・・遠足気分だな。」
「そ、そんなことないぞ。」





午後10時40分。



いざ現場に向かおうと西本の家を出た。

そして夕方のうちに用意していたリュックを自宅から持ち出し、準備完了。

中身は色々。
大方無くしたと思ってた懐かしい品々だ。





「じゃあ行こっか。」
「ああ。」
「ごめんな、勉強する時間使わせて。」
「別にいい。」




冬も間近。
外は随分肌寒い。

お互い上着のポケットに手を突っ込んで歩く。




「それにさ、帰りは一人になるけど・・・怖くないか?」
「怖いわけないだろ。」
「一人で帰れるか?」
「あのなぁ、ガキ扱いすんな。」
「あ、ごめん。」




公園までの道のりはあまり明るくない。

途中にコンビニが一軒あるだけの寂しい道。
車通りも少なくて、足音がヤケに響く。



信号もほとんどなくて、10分程で到着した。






「よいしょっと。」
「・・・。」






現場のすぐ横の柵に腰掛けた。
西本も無言で隣に座る。





「そこ。」
「・・・。」
「そこで引かれたんだ。」
「・・・ふーん。」





指で示した先はただのコンクリート。
なんの変哲も無いただの道だ。

でもあの日、確かにここでトラックと衝突した。





「あのさ。」
「ん?」
「もしあの時・・・死んじゃったんだとしたら・・・どうなるのかな。」
「・・・。」





不安な時は余計に不安になることを考えてしまうもんだ。


あの時、死んでもおかしくないくらい血が出てたと思う。

起き上がりたくても体が動かなくて
目の前がだんだん暗くなって

あぁ、死ぬんだって思った。





もしあのまま命が尽きてしまったとしたら





元の自分に戻った時





私は死ぬのか?









「大丈夫なんじゃねぇの。」
「え。」









真っ直ぐ前を見たまま呟く西本。

そしてこっちを見ずに続ける。





「何年も後の世界なんだろ。」
「・・・。」
「医療も今より進んでるわけだし。医者がなんとかしれくれてるだろ。」
「西本・・・」





一度チラリとこっちを見て、いつものようにプイッと顔を逸らした。






(ははっ・・・)






外灯の灯りが頼りなくてよく見えないけど

西本の頬は紅く染まってるように見える。






やっぱりお前、実は優しいヤツなんだな。






ひねくてて分かりにくいけど。






「信じないんじゃなかったのか?」
「・・・信じてねぇよ。ただ妄想に付き合ってやっただけ。」
「そっか。それでも、サンキュー。」
「・・・別に。」






さて。

時刻は11時を回った。








(どうか、戻れますように。)








ポケットに突っ込んだ手を







固く握りしめた。