reason

reason 04 ~ GAME




司「あ、晋さん。こいつがさっき言ってた幼なじみの四宮忍です。忍、こちらはお世話になってる先輩の高原晋さん。」

忍「初めまして、四宮忍です。あの、高原さんってもしかして--」

岡「あ!やっぱり四宮さんも知ってた??」

忍「それじゃあ···」

岡「そうそう!あの高原教授の息子さん!」

晋「・・・その言い方はやめろ。」

岡「あ、すみません。」

司「お前も懲りないな、岡野。」

岡「へへ!」







一体どのくらいフリーズしてたんだろう。




目の前で始まった医者同士の自己紹介にハッとする。

それと同時に忍からの視線が切れて···








(は---、っ・・・)









まるで向けられていた銃口が反らされたかのような感覚。

ドッと力が抜けて今にも崩れ落ちてしまいそうだ。






岡「それにしてもいつ見ても綺麗だよね四宮さん!」

忍「え?」

岡「晋さんと並ぶと更に---ほら!二人とも眩しすぎて直視出来ない!」

晋「------。」

忍「···綺麗なんて言われても嬉しくないよ。」






もー、謙遜することないって!とはしゃぐ岡野

忍はともかく晋さんの美は罪だ、なんてポエマー気取りに頷く司







そんな男どもによるほのぼの女子トークを前に







まるで蛇に睨まれたカエルのように立ち固まる自分。







(-------っ、---)







一体何が起こってるんだ···?

なんでこいつがこんなところに--

まさかの夢オチ···?
あぁなるほど、最近疲れてたから。






いやいや逃げるな。

現実を見ろ。







そんなことより--
今はここから離れたい。








玄関はすぐそこだ。

今のうちに逃げ出してしまいたい。







でも・・・







体が全く動かない。







忍から・・・

目を離すことができない。







忍「···そんなに見つめないでよ。」

「------!」

忍「心配しなくても本物だよ?」






ジロジロと見過ぎたか。

私のソレに応えるように、再び視線が戻ってきた。






忍「それにしても透、本当に久しぶりだね。元気にしてた?」

「----っ」






元気にしてたか、だと?







「--------。」

司「透?」

晋「・・・。」







色素の薄い茶色の瞳

それと同じ色の艶のある髪

優しそうに弧を描く形のいい唇







頭のてっぺんから足の先まで

恐らく誰もが「綺麗」と形容するだろう。







そんな造形物のような美しいこいつを目の前に








容赦なく---

全身に寒気が走った。








「忍・・・なんで----」








自分のモノとは思えない···

まるで絞り出されたような小さな声。








あまりにも弱々しかったからか・・・

視界の隅にいた晋がピクリと反応したような気がした。







忍「研修でこっちに帰ってきたんだよ。まぁ明日には帰るんだけどね。」

「研修・・・」

忍「でもまさか司の職場にお世話になるとは思ってなくてさ。」

「そ、そっか・・・」

忍「透も驚かそうと思って直接会った時に話すつもりだったんだけど--」

司「そうそう、結局今になっちまったもんな。ま、驚かすって意味ではある意味成功かもしれないけど。」

「--------。」






ある意味成功?

ふざけんな。

見事に大失敗だろ。






忍「それにしても透、ずいぶん忙しそうだね。」

「ぇ···」

忍「全然連絡取れなかったから。電話しても繋がらないし。」

「っ---あ、あぁ、ごめん···」

忍「仕事だったんだろ?仕方ないよ。それにそろそろこっちに帰るつもりだから。」

「ぇ---」









帰って、くる---?









忍「そうすればいつでも会えるしね。」

「------っ」

晋「・・・!」






とんでもない宣告に息を呑む。

思わず後ずさると、意外と近くにいたらしい晋に肩がぶつかった。






(ご、ごめ----、っ----!?)







おいおい嘘だろ···







声が、出ない--








忍「やっぱり地元の方が過ごしやすいし、それに司も透も近くにいるから。」

司「ちょ---ばっかお前、晋さんの前で恥ずかしいこと言うんじゃねぇよ。」

忍「でも司も俺が帰ってきた方が嬉しいでしょ?」

司「そりゃあな!」






嬉しそうに忍の肩を叩く司
微笑みながらそれを受ける忍

そんな兄弟のようにじゃれ合う二人の様子が、まるでテレビの中の世界のように遠く感じる。






忍「そうだ透、今日の夜は忙しいの?」

「ぇ--?」

忍「俺、明日帰るからさ。せっかく会えたし、夕食にでも行かない?」

「---っ!」

忍「もちろん司も一緒に。」

司「俺は全然オッケー。透も大丈夫だよな?」

「ぇ、ぁ、いや、私は···」

司「なにを今更渋ってんだよ。どうせ何も予定ないんだろ?」

「予定は--」








(まずい-----)









寄せられる二人からの視線。








司のは---どうだっていい。








ただ、三度繋がってしまった忍の目の色が---


さっきのものと全然違う。








無駄な足掻きははよせと

絶対に逃がさないと

そう言ってるようで···








司「・・・透?どうした?」








背中を伝う冷たい汗

バカみたいに加速する鼓動







ヤバイ、ヤバイ・・・







このままじゃ---

変に思われてしまう。








何か···

何か言わなきゃ--








なんでもいいから

適当な言い訳を···








忍「透、どうしたの?顔色悪いけど・・・大丈夫?」

「っ!」








繋がった視線はそのままに

いかにも心配そうに眉根を寄せて









ゆっくりと忍の手がこっちに伸びてくる--









(嫌・・・嫌だ----、・・っ)








体が震える

息が出来ない









怖い








怖い---








近づいてくる手を振り払ってしまいたいのに









体が全く・・・動いてくれない









誰か









誰か・・









助けて、くれ---