realReal

real Real 02







「・・・・ここは、どこだ。」







どうやら私はベッドに寝ているようだ。

目だけを動かし周りの様子を探る。



真っ白な天井、真っ白なカーテン
そして少し向こうにベージュのソファー






間違いない。






ここは私の知らない場所だ。






「いててて・・・」






もぞもぞと体を起こす。

なんか体が重い。
そして痛い。

寝すぎの症状だ。






「ここは、どこだ。」






もう一度呟く。

そして今度はしっかり周りを見回す。






(病院か・・・?)






全体的に白い部屋。

横開きのドア、一人用のロッカー




そして・・・







「・・・ふっ・・ふふっ----」







見つけてしまった物に、思わず笑いが出た。







「ふふっ・・ははっ・・・」







ベッドわきに置かれた一人用のイス。

その上には、私のバッグ。






学生バッグ?

いやそうじゃない。






OLの私が使っていたバッグだ。







「ははっ---あははは----!」







なるほどな。

やっぱり戻ったのか。

そうだろうとは思ってたが本当に戻るとはね。






「あははは----!」






そうかそうか戻ったか。









戻ってしまったのか・・・










「ははっ--はははははぅーー・・・・・」










戻っちゃったのかよ・・・










「はぅっ・・・うっ・・・」







ひざに顔を埋めた。






真っ白なシーツから清潔な匂いがする。






でもその匂いには覚えが無くて






知らないそれが、今は苦しい。








「あっ・・・う・・・・っ」








結局私は、伝えないことを選んだ。








あいつのことが好きだった。

好きだと言ってくれてすごく嬉しかった。







でも私が返したのは






---お前なんか好きじゃない

---ガキに興味はない






あいつのことも自分のことも傷つける

偽りだらけの酷い言葉。






「ふ---ぅっ・・う・・・」







でも、これで良かったんだ。






もちろん忘れてほしくない。

忘れられるのは辛い。


でも・・・









あいつには幸せになってもらいたいから









いっぱい遊んでいっぱい勉強して

いっぱい恋していっぱい人を好きになって









誰よりも大切だと思える素敵な人と









誰よりも幸せになってもらいたいから









だから









思い出なんかに囚われてほしくない。









(これで・・・これで良かったんだ・・・)









「うっ・・・ぅっ・・・」







ずっと我慢してたからか。

すごい勢いで涙が飛び出してくる。







「うっ、うっ、ぇっ・・・」







でももう、我慢できない。







我慢する必要もない---