「・・・・ここは、どこだ。」
どうやら私はベッドに寝ているようだ。
目だけを動かし周りの様子を探る。
真っ白な天井、真っ白なカーテン
そして少し向こうにベージュのソファー
間違いない。
ここは私の知らない場所だ。
「いててて・・・」
もぞもぞと体を起こす。
なんか体が重い。
そして痛い。
寝すぎの症状だ。
「ここは、どこだ。」
もう一度呟く。
そして今度はしっかり周りを見回す。
(病院か・・・?)
全体的に白い部屋。
横開きのドア、一人用のロッカー
そして・・・
「・・・ふっ・・ふふっ----」
見つけてしまった物に、思わず笑いが出た。
「ふふっ・・ははっ・・・」
ベッドわきに置かれた一人用のイス。
その上には、私のバッグ。
学生バッグ?
いやそうじゃない。
OLの私が使っていたバッグだ。
「ははっ---あははは----!」
なるほどな。
やっぱり戻ったのか。
そうだろうとは思ってたが本当に戻るとはね。
「あははは----!」
そうかそうか戻ったか。
戻ってしまったのか・・・
「ははっ--はははははぅーー・・・・・」
戻っちゃったのかよ・・・
「はぅっ・・・うっ・・・」
ひざに顔を埋めた。
真っ白なシーツから清潔な匂いがする。
でもその匂いには覚えが無くて
知らないそれが、今は苦しい。
「あっ・・・う・・・・っ」
結局私は、伝えないことを選んだ。
あいつのことが好きだった。
好きだと言ってくれてすごく嬉しかった。
でも私が返したのは
---お前なんか好きじゃない
---ガキに興味はない
あいつのことも自分のことも傷つける
偽りだらけの酷い言葉。
「ふ---ぅっ・・う・・・」
でも、これで良かったんだ。
もちろん忘れてほしくない。
忘れられるのは辛い。
でも・・・
あいつには幸せになってもらいたいから
いっぱい遊んでいっぱい勉強して
いっぱい恋していっぱい人を好きになって
誰よりも大切だと思える素敵な人と
誰よりも幸せになってもらいたいから
だから
思い出なんかに囚われてほしくない。
(これで・・・これで良かったんだ・・・)
「うっ・・・ぅっ・・・」
ずっと我慢してたからか。
すごい勢いで涙が飛び出してくる。
「うっ、うっ、ぇっ・・・」
でももう、我慢できない。
我慢する必要もない---
real Real 02
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