「まだそこにいるか?」
ビックリした。
「・・・いる。」
「・・・そっか。」
まさか、声が聞こえるとは思ってなかった。
---トン
背もたれたんだろう。
玄関が少し揺れた。
「お前さ、気付いてたのか?」
「!」
核心を突く、ストレートな質問。
「・・・ああ」
「・・・そっか。」
下に向かってズルズルと音がする。
座り込んだのか?
「おい、立て。とりあえず中に」
「開けるな。」
「え?」
「開けるなよ。このままでいい。」
「・・・。」
ドアを開けようとしたら止められた。
相当辛いのか。
相変わらず声が弱々しい。
「・・・分かった。」
「・・・ありがと。」
無理矢理開けることは出来る。
だが、やめた。
代わりに俺も座った。
玄関をはさんで背中合わせ。
なんとなく、背中が温かい。
「私さ。」
「ああ。」
「戻るみたいだ。」
「・・・ああ。」
「ビックリだよな。なんで今更って感じ。」
「・・・そうだな。」
「高校生も結構楽しかったんだけどな。」
「・・・。」
「勉強はやっぱり嫌だけど。」
「・・・なぁ。」
「なんだ?」
「・・・戻らないとダメなのか?」
「うーん・・・」
「・・・。」
「・・・ダメみたいだな。自分じゃどうこう出来そうにない。」
「・・・・・そうか。」
無意識に、ため息。
「迅。」
「ん?」
「色々ありがとな。」
「・・・別に。」
「お前がいて、助かった。」
「・・・。」
「マジでありがと。」
「・・・気にすんな。」
「黒田とアラタにも伝えててくれよ?」
「・・・ああ。」
「アラタは泣くかな。」
「泣くだろ。」
「そうか。」
「ああ。」
背中の向こうで、小さく笑う声が聞こえた。
「勉強がんばれよ?」
「ああ。」
「医者になれよ?」
「ああ。」
「応援してる。」
「・・・ああ。」
「はぁ・・・・・」
「?」
ため息・・・?
「なぁ、迅。」
「なに。」
「明日になったら・・・私のことは、忘れろ。」
「は?」
忘れる?
「何言ってんだ。忘れられるわけないだろ。」
「それでも忘れろ。忘れるように努力しろ。」
「・・・ふざけてんなら怒るぞ。」
「ふざけてなんかない。」
何を---
何を言ってんだこいつは。
「顔見せてみろよ彰。どんな顔してそんなこと---」
「開けるなよ。」
「だから---」
「頼むから・・・開けないでくれ。」
「---!」
弱々しくて
そして震える声
もしかして、泣いてる?
「・・・とにかく忘れろなんて言うな。また会えるかもしれないだろ。」
「もう、会えないと思う。」
「は?」
「もう二度と会えないと思う。だからさっさと忘れろ。」
「----っ!」
---二度と、会えない
ありがとな07 realReal
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