(ダメだ、考えるな。)
彰は、いなくなる。
それにきっと、もうすぐいなくなる。
ネガティブに考えてるとかそんなんじゃない。
こいつを見てれば嫌でも分かる。
見るたびに今にも眠ってしまいそうで。
でも明らかに寝るのを恐れてる。
そして必死に睡魔と戦ってる。
つまりそれは
次にあいつが眠った時
それが俺たちの、別れ。
そういうことだよな。
受け入れたわけじゃない。
受け入れられるはずがない。
本当は腕を掴んで引き止めたい。
行かないでくれと叫び続けたい。
でも彰を見てたら何も言えなくなった。
---戻りたくない
この前寝言で呟いた言葉。
その言葉通りこいつは戻りたくないんだろう。
だからこそこんなに必死に戦ってるんだと思う。
じゃあ俺は?
俺はどうすればいい?
こいつのために何をしてやれる?
「さてさて。片付け済んだら私も帰ろっかな。」
「・・・そうか。」
結局俺は、見守ることしか出来なかった。
引き止めることも出来ない。
一緒に戦うことも出来ない。
こいつのやること、やりたいことを
黙って見てることしか出来ない。
なんて、無力だと思う。
「迅はもう寝るのか?それとも勉強?」
「・・・分かんねぇ。後で考える。」
「そっか。」
余った菓子やコーヒーカップを片付ける。
カップを洗ってテーブルをふいて
そして
「じゃ、帰るよ。」
こいつは普通に、そう言った。
「・・・お前は、寝るのか?」
「ああ。今日は・・・ぐっすり寝ると思う。」
玄関まで一緒に行く。
そしてスリッパを履き、俺を見上げて「寝る」と答える彰。
---ぐっすり寝ると思う。
変な日本語だ。
でも、それはつまり
今日、眠ってしまうんだな
「それじゃ、今日はありがとな。」
「-----ああ。」
「お休み。」
「-----お休み・・」
俺に背を向けドアノブに手を伸ばす。
そしてそれを掴んで---
(なんで・・・)
何も言わないのか?
今日は眠るんだろ?
何も言わずに
何も言わずにいなくなるのかよ---
「-----んっ!?」
気付いたら腕を掴んでた。
そのまま引き寄せ背中に腕を回して
そして
唇を重ねた。
ありがとな05 realReal
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