「痛いじゃないか・・・迅・・」
「---。」
「あれ、良子は・・・?」
「---。」
「えっと・・・あれ、ここはどこだ?」
「---。」
頭が上手く働かない。
今まで良子と話してたんじゃなかったっけ。
ていうかここ・・・保健室?
あれ、さっきまで体育館にいなかったっけ?
「え?バスケは?あれ・・・うぉ!!」
(うぉわわわ-----!!?)
きょろきょろしてたらなぜか抱きつかれた。
ちなみに眠気もすっきり。
一瞬で頭が覚醒した。
「え!ちょ---なんだ!?どうした!?」
「-----。」
「迅?」
「-----。」
「どしたのお前・・・」
「---嫌だ。」
「は?」
「いなくなるな!」
(え----)
保健室に響く、余裕の無い声。
ゾクッとした。
嫌な予感が当たってしまったような。
そんな気がした。
(なんで---)
いなくなるななんて
なんでそんなこと言うんだ
私はここにいるのに
まるでどこかに行ってしまうような
そんな言い方・・・
「・・・どうしたんだ?」
「・・・。」
「・・・大丈夫か?」
「・・・。」
「・・・何かあったのか?」
「・・・。」
何も言わず、迅の腕に力が篭った。
もしかしたらこいつは
何かを感じてるのかもしれない。
最近ヤケに体のことを心配してくれてたし
もともと優しいヤツだし
私に起きてる「何か」を感じてるのかもしれない。
でも、それは私も同じだ。
日に日に激しくなる睡魔も
ヤケにリアルな良子の夢も
こんなの、普通じゃない。
(まさか・・・)
もしかして私は
元に戻ろうとしてるんじゃないのか?
(------嫌だ。)
戻るなんてそんなの嫌だ。
戻りたくない。
でも
---いなくなるわけないだろ
すぐに答えたかったのに
答えることが出来なかった。
「迅、チャイム鳴ってる。」
「・・・。」
「教室戻ろう。」
「・・・。」
「弁当食おうよ。腹減った。」
「・・・。」
"戻りたくない"
でも
どうやって?
どうして?10 realReal
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