「彰・・・」
いなくなるなんて
なんでそんなことを考えたのか分からない。
でも昔から
俺の勘は良く当たる---
「・・・・・だ・・・」
「!」
「いや・・・だ・・」
「彰?」
「戻り、たく・・・ない・・・」
(え・・・?)
ゾクッと、背中に悪寒が走った。
だって、戻りたくない?
戻りたくないって
「戻る」って----
(なんだよ、それ・・・・)
「・・・・迅・・」
「-------っ!!」
頭の中が真っ白になった。
ただ夢を見てるだけかもしれない
戻りたくないってのは授業に戻りたくないってことかもしれない
とっさに自分に言い聞かせた。
そう思い込ませようとした。
でも
ただの寝言じゃないような気がして
今すぐにでも
こいつが消えてしまうような気がして
「彰!起きろ!」
布団を剥ぎ取り小さな体を強引に起こす
「彰!こら!起きろ!」
頬をたたいてつねってみて
体をゆすってゆすってとにかく---
「うー・・・」
「!」
かすかに震えるまぶた。
そしてゆっくり目が開いて
眠そうな瞳と、目が合った。
「痛いじゃないか・・・迅・・」
「---。」
「あれ、良子は・・・?」
「---。」
「えっと・・・あれ、ここはどこだ?」
「---。」
「え?バスケは?あれ・・・うぉ!!」
周りを見回すこいつを無理矢理引き寄せて
思い切り抱きしめた。
「え!ちょ---なんだ!?どうした!?」
「-----。」
「迅?」
「-----。」
「どしたのお前・・・」
「---嫌だ。」
「は?」
「いなくなるな!」
俺は------弱い。
自分がどうなったか分かってないこいつも
知らない名前を呼ぶこいつも
怖くて、怖くて、たまらない。
「・・・どうしたんだ?」
安心させようとしてるのか。
大丈夫か?とか
何かあったのか?とか
そんなことを聞きながら背中をさすってくる。
「-------。」
「迅?」
こいつは分かってるんだろうか
自分に何が起こってるのか
自分がこれからどうなるのか
こいつは気付いてるんだろうか
---いなくなるな
その言葉に対する答えが
返ってこない。