どうして?

どうして?02 realReal




「教科書でたたいても起きなかった。」
「教科書でたたいたのか!?」
「たたいた。」
「ひっでー!私を何だと思ってんだお前は!」
「俺のモノ。」
「は!?」
「だから、俺の女。」
「へ・・・」
「「・・・・・・・。」」





私、黒田、アラタ、仲良くフリーズ。






「なななに言っちゃってんのお前はー!いつから私がお前のおお女にっ」
「おお落ち着いて彰ちゃーん!」







あの日以来、迅の頭は絶好調にはじけてる。


家だろうが学校だろうが関係ない。

ずーっとこんな調子だ。
もはや私にこいつの暴走を止めるのは不可能だ。





「で、大丈夫か?」
「え、頭か?大丈夫大丈夫ぜんぜん痛くない。たたかれたのに気付きもしなかった。」





ま、起こしてくれたのには感謝だな。

教科書はどうかと思うが今度からたたかれないよう気をつけよう。





「そうじゃなくて、体。」
「体?」
「・・・最近、眠そうだから。」
「あ、ああ。」





そっちね。





「大丈夫大丈夫。ただ眠いだけ」
「・・・体調悪いんじゃないのか?」
「え?顔色でも悪い?」
「・・・そうじゃないけど。」





じっ、と見つめてくる迅。

ずいぶん心配するんだな。
そんなにきつそうに見えるか?





「ほんと、最近眠そうっすよね。ボーっとしてること多いし。授業中よく寝てるし。」
「佐野ってそんなもんじゃね?」
「そっかな・・・言われてみればそんな気もするような。」
「だろ?」
「おい。」





黒田、アラタ。
年上にはもっと気を遣え。







でも確かに、最近ヤケに眠い。







気付いたらうとうとしてるし
やば!と思って目覚めることもしばしば。





それに授業中だろうがなんだろうが必ず夢を見る。





内容は大体良子の夢。

起きて、とか
寂しい、とか



会話はしてないと思う。

一方的に話しかけられてるような・・・
そんな感じの不思議な夢。





(疲れてるのかな・・・)






まあでも、多分・・・







「文化祭の疲れが取れてないんだろ。君たちのせいで大変だったんで。」
「「「・・・・・。」」」






そういうことだ。
心身ともに激しく疲れたんで。





「ていうかあの時の佐野は凄かったよなぁ。一本買って行きなさい!だって!怒るとこ間違ってるっての!」
「なんだと黒田!そういえばお前、あの時大爆笑してやがったよなー!」
「だって面白かったもん。な?迅?」
「面白かった。」
「えー、俺はすっげぇカッコイイと思ったっすよ!」
「ふざけんな!おかげで女子が近づいてこなくなったんだぞ!私の平穏スクールライフを返せ!」
「えー、いいじゃん別に。」
「そうっすよ!彰ちゃんはもともと男子みたいなもんじゃないっすか!」
「んだとぉー!?」















いつもと変わらない普通の昼休み












いつもと変わらない当たり前の時間












でもまさか













そんな「いつも」が終わりに近づいてるなんて















この時はまだ、思ってもなかった。