「うー、寒っ!」
「大丈夫か?」
「なんとか。」
外に出たら寒かった。
冬が近いからな。
服とか布団とか、そろそろ冬の準備をしないといけない。
「スーパー寄っていいか?」
「ああ。」
今日はバイトが休みらしい西本。
米を買うんで帰りは持ってもらおうと思う。
それにしても
「相変わらずモテモテですねぇ、西本君。」
「・・・・・・。」
さっきの話をほじくり返す私。
なんとなくからかいたくなるのは私だけじゃないだろ?
「・・・顔が好きなだけだ。俺のことが好きなんじゃない。」
「おーおーひねくれ者だね。素直に喜べばいいじゃないか。」
「嬉しくない。」
「なんでだよ。」
「・・・。」
あれ、黙った。
「俺は、母親にそっくりだ。」
「は?」
な、なんだいきなり。
「俺を連れて父さん以外の男と頻繁に会ってた。」
「え!」
「5歳の時、突然いなくなった。」
「え。」
なんだそれ!
「大丈夫だって言ってたけどショックだったんだと思う。」
「・・・。」
「母親が消えてから父さんはみるみる弱って・・・そのまま死んだ。」
「・・・。」
う、うそだろー!!
「だから俺は、母親そっくりのこの顔も、この顔に寄って来る女も好きじゃない。」
ポケットに手を突っ込んで歩く西本。
相変わらず綺麗な顔でまっすぐ前を見て
でもなんとなく寂しそうな、悲しそうな・・・
「西本ーーーー!!」
「---!」
思わず抱きついた。
「モテ過ぎて天狗になってるもんだとばかり思ってたけど---」
「は?」
「女に冷たいのはそんな理由があったんだなー!」
「・・・。」
これで納得!
「人間って顔じゃないもんな!」
「そ、そうか。」
「それにお前とお母さんは別の人間だ!」
「そ、そうだな。」
「お前はお前だろ!私はお前の顔、好きだぞ!」
「---。」
なんせ初めて会った時は神様だと思った。
率直に美しいと思った。
神々しいとも思った。
だから
「だからそんな寂しそうな顔っ---」
途中までしか喋れなかった。
だって見上げた先の西本が
あまりにも綺麗に笑ってて・・・
「お前が好きなら、これでいいか。」
少しはにかみながら、そう言った。
どんなに私が大人の女でも
普通に、クラッとした。
「ダメだわお前・・・むやみやたらに笑顔を見せるな。」
「は?」
「お前のそれは凶器だ。好きな女の前だけで披露しろ。」
「は・・・」
その後スーパーで買い物をした。
レジのお姉さんが西本を見てボトッと玉ねぎを落とした。
すみません!と謝るお姉さんに分かる、分かるよ!と心の中で同調した。
(そっか・・・)
事故ったり若返ったり
大変なことが続いて実感する余裕が無かったけど
---西本はイケメンなんだ
玉ねぎを拾いながら、そう思った。
まさかまさかの—?02 realReal
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