「あれ・・・もしかしてまずいこと聞いたか?」
「・・・。」
だんまりを決め込んだ俺を不思議に思ったんだろう。
教科書から目を離しこっちを見てきた。
「えーと、そのあの、ごめん。今の無かったことにして。」
「・・・。」
「西本?」
「・・・。」
「お、怒っちゃった?」
「・・・。」
(勉強する理由・・・)
それは一応、夢があるからだ。
でもこれは誰にも言ってない。
黒田にもアラタにも、橘にも。
なぜなら---俺の夢は叶わない夢だから。
夢のためには大学に行く必要がある。
当然だが大学に行くには金が要る。
でも俺にはその金がない。
それに・・・
夢を応援してくれる親もいない。
一応、母方の親戚が保護者として存在するが期待できない。
理由は簡単。
人間関係がうまく行ってないからだ。
もちろん初めから諦めてるわけじゃない。
何度も頼んだ。
けどダメだった。
「大学なんて、何を言ってるんだ。引き取ってやっただけでも有難いと思いなさい。」
「そうよ。さっさと自立して出て行ってちょうだい。日に日に母親に似てきて・・・見てるだけでイライラするわ。」
まぁ俺のことを嫌ってるからな。
仕方ないと言ったら仕方がない。
---高校卒業したら就職
これが俺の少し先の未来。
理解してる、納得もしてる。
でも諦め切れない気持ちもあって・・・
無駄だと分かっていながら勉強を続けてしまってる。
(・・・馬鹿みたいだ。)
そう、本当に馬鹿だ。
まぁそういう理由で質問に答えられない。
そして答えたくない。
---それって無駄じゃん?
---馬鹿じゃないの?
そう言って笑われるのが目に見えてる。
「あ、あのあの西本・・・本当にごめん!もう聞かないから!」
でも
こいつは笑うんだろうか・・・
「な?な?怒らないでくれよ!」
いつの間に隣に来たのか。
俺の方を向いてなぜか床に正座している。
どうやら俺が怒っていると思ってるらしい。
顔が必死だ。
「頼むから何か言えよ!お前が黙ってると人形みたいでなんか怖い!」
「・・・。」
(・・・なんだそれ。)
なんでか分からないけど・・・
こいつは笑わないんじゃないかと思った。
そもそも俺の無駄な勉強よりこいつの存在の方がよっぽど変だし・・・
それにただなんとなく
人を笑うようなヤツじゃないと思う。
「もー西本!謝るから何か言って!」
「・・・医者。」
「え!」
「医者に、なりたかった。」
「・・・なりたかった?」
チラッと見ると正座しながら首を傾げている。
まぁ、夢が過去形って意味分からないよな。
二回目のスクールライフ06 realReal
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