二回目のスクールライフ

二回目のスクールライフ06 realReal





「あれ・・・もしかしてまずいこと聞いたか?」
「・・・。」





だんまりを決め込んだ俺を不思議に思ったんだろう。

教科書から目を離しこっちを見てきた。





「えーと、そのあの、ごめん。今の無かったことにして。」
「・・・。」
「西本?」
「・・・。」
「お、怒っちゃった?」
「・・・。」






(勉強する理由・・・)







それは一応、夢があるからだ。






でもこれは誰にも言ってない。

黒田にもアラタにも、橘にも。






なぜなら---俺の夢は叶わない夢だから。






夢のためには大学に行く必要がある。

当然だが大学に行くには金が要る。





でも俺にはその金がない。

それに・・・






夢を応援してくれる親もいない。






一応、母方の親戚が保護者として存在するが期待できない。

理由は簡単。
人間関係がうまく行ってないからだ。


もちろん初めから諦めてるわけじゃない。

何度も頼んだ。
けどダメだった。




「大学なんて、何を言ってるんだ。引き取ってやっただけでも有難いと思いなさい。」
「そうよ。さっさと自立して出て行ってちょうだい。日に日に母親に似てきて・・・見てるだけでイライラするわ。」




まぁ俺のことを嫌ってるからな。
仕方ないと言ったら仕方がない。






---高校卒業したら就職






これが俺の少し先の未来。





理解してる、納得もしてる。





でも諦め切れない気持ちもあって・・・





無駄だと分かっていながら勉強を続けてしまってる。







(・・・馬鹿みたいだ。)







そう、本当に馬鹿だ。








まぁそういう理由で質問に答えられない。

そして答えたくない。



---それって無駄じゃん?
---馬鹿じゃないの?



そう言って笑われるのが目に見えてる。






「あ、あのあの西本・・・本当にごめん!もう聞かないから!」






でも






こいつは笑うんだろうか・・・







「な?な?怒らないでくれよ!」






いつの間に隣に来たのか。
俺の方を向いてなぜか床に正座している。

どうやら俺が怒っていると思ってるらしい。

顔が必死だ。






「頼むから何か言えよ!お前が黙ってると人形みたいでなんか怖い!」
「・・・。」






(・・・なんだそれ。)






なんでか分からないけど・・・
こいつは笑わないんじゃないかと思った。






そもそも俺の無駄な勉強よりこいつの存在の方がよっぽど変だし・・・






それにただなんとなく






人を笑うようなヤツじゃないと思う。






「もー西本!謝るから何か言って!」
「・・・医者。」
「え!」






「医者に、なりたかった。」






「・・・なりたかった?」






チラッと見ると正座しながら首を傾げている。

まぁ、夢が過去形って意味分からないよな。