二回目のスクールライフ

二回目のスクールライフ02 realReal




「文化祭、どっちやるの?」
「冷たいドリンクの方。」
「そうじゃなくて、販売?裏方?」
「裏方。私ってば愛想が無いから。」
「なるほど。」
「納得するな。」





現在4限目。

---のチャイムが鳴って10分ほど経ったか。




場所はサボりの聖地、屋上。
そして隣には友達になった黒田。



初めは一人だったんだがしばらくしたらこいつがやってきた。

自然に挨拶して寄って来て、今は二人仲良く地面に座り、フェンスに背もたれて空を見上げている。

ま、簡単に言うとサボり中。





「お祭りは好きなんだけどなぁ。でも準備はだるい。出来れば当日だけ参加したい。」
「ダメな人間の典型だね。」
「お前も似たようなモンだろうが黒田。」
「一緒にしないでよ。俺はもうすぐ手伝いに戻るんで。」
「チッ、可愛くないガキ。」
「・・・。」





サラサラの栗色の髪で優しそうな顔。
西本には劣るがこいつもかなりのモテ男。



マイペースで面倒見が良くて、結構いい奴だと思う。
ま、二人きりで話すのは初めてだけどな。





いやいや、そんなことは置いといて。






(サボりは控えよう・・・)






せっかく高校生として第二の人生を送ろうと決めたんだ。

勉強だって文化祭の準備だってしっかりやらなきゃダメだろ。






でも






(・・・明日、いや、来月から頑張ろう。)











祝!新人生スタート記念パーティーから1週間経った。








当然というか、やはりというか。








相変わらず私は高校2年生の姿で








そしてだんだん今の自分に

それに今の生活に馴染んできている。








寂しくないと言ったらウソだ。



良子だって他の友達だって、大切な人達に会えないのは寂しくて堪らない。



それにものすごく不安だ。



新しい学校、新しい人間、新しい自分。

全てが新しいことばかりで頭が爆発しそう。






でも嘆いてる暇なんかない。






嘆いても元には戻れないし

嘆いても誰かが助けてくれるわけじゃない






今までと同じだ。






元々親はいないしそれでもなんとか生き抜いてきた。

努力しながら、皆に助けてもらいながら生きてきた。





(大丈夫大丈夫。)





それに二回目だからな。

一回目よりは要領良く出来ると思う。





(とりあえずバイトだな。)





一回目の人生同様、一人暮らしだからな。

家賃も生活費もがっぽり稼がないと。

それにビールも飲みたいし・・・
やっぱ掛け持ちで2つはバイトしたいな。







(ま、やっぱ来月からがんばろう・・・)







今は少しだけ休ませてくれ。






ミラクル&トラブル続きだったんだ。

ちょっとくらい休憩してもバチは当たらないだろ。









「ところでさ。」
「へ。」






(おっと・・・)





そういえば黒田がいたんだった。
すっかり忘れてた。






「なんだ?」

「佐野はさ、迅が好きなわけ?」







(・・・好き?)





片膝立ててその上に頬を乗せ、何かを探るように覗き込んできた。





「好きかって、好きだぞ。」
「・・・やっぱりそうか。」





は?





「理由は?」
「へ?」
「迅を好きな理由。」
「理由って言われても・・・」





なんて答えればいいわけ。


若返って初めて会ったから?
少しは私を信じてくれてるみたいから?

これは違うな。


じゃあ、ひねくれてるけど優しいから?
うーん、間違いじゃないけど正解でもない。





「なんで悩むの?」
「うーん。だって好きな理由なんて」
「あいつの顔が好きなんじゃないの?」
「は?」




顔?




「なんで?」
「え、なんでって・・・迅を好きになる女は皆そう言うから。」
「皆って、クラスの子とか?」
「クラスの女も先輩も後輩も。大学生もとにかく皆だよ。」




は、幅広いね。






「で、迅のことどんな風に好きなの?」






(おいおいなんだその目は・・・)





逸らしたら殺すとでも言いたいのか。

今度は目をギラギラさせて睨んできやがった。





(ふーん・・・)





なるほど。

アラタといい黒田といい、こいつらマジで西本のことが大好きなんだな。




(番犬のつもりかよ。)




異常に女にモテる西本に変な女が近づかないように目を光らせてるってか?

なんとも優秀な番犬だ。






「心配するなよ。お前の迅くんを取って食うような真似はしないって。」
「とぼけないでよ。ちゃんと答えて。」





むむ・・・