「城東高校。」
「え?」
「城東高校に行って来たんだよ。」
「城東?」
ビールも3本目に突入。
お酒に慣れてるのか、ほんのり頬が紅くなるだけで酔いが回った様子も無い彰ちゃん。
そして思い出したように「そういえば・・・」と話し出した。
「知り合いにでも会ってきたの?」
黒田が代表で質問する。
「まぁ、知り合いにも会ったな。その前に確認したいことがあってさ。」
「確認?どんな?」
「私がいるかどうかだよ。」
「・・・・・・・・・・は?」
黒田の目が点になった。
もちろん俺も。
「私さ、高2の時に・・・まぁ年号で言ったら今年なんだけど。転校を経験してるんだよね。」
「そ、そうだな。この前転校してきたもんな。」
「そう。で、今朝帰ってから気付いたんだけど。今回城南高校に転校した日って、当時城東高校に転校した日と同じだったんだよ。」
「・・・・・。」
「本当だぞ。記憶力はいいんだ。今月6日、確かにその日だった。」
「・・・・・。」
俺らは再び固まった。
だって、言ってる意味がさっぱり・・・
「高校生のこの姿。転校した日が同じ・・・」
「「・・・。」」
「なんか変だと思わないか?」
「「・・・。」」
思う。
すごく変だと思う。
「まさかと思って確認しに行ったわけ。そしたらなんとビックリ!」
「「・・・。」」
「私がいなかったんだよ。」
「「・・・。」」
そ、それはビックリするとこなんすか?
「高校以来の友達がいるんだけどさ。そいつにも会って確認した。佐野彰って知ってるかって。」
「「・・・。」」
「そしたら知らないって言われた。私を見ても何の反応も無かった。」
「「・・・。」」
グイッとビールを流し込む彰ちゃん。
「友達も先生も確かに知ってるヤツで。校舎も体育館も確かに過ごしたことがある場所だったのに・・・」
「「・・・。」」
「私だけが抜けてた。」
「「・・・。」」
「寒気がしたね。」
「「・・・。」」
「だってそれって・・・今の私がこの時代の佐野彰だってことだろ?」
「「・・・。」」
「しかも本来なら城東に転校するはずだった。なのになぜか城南に転校完了。」
「「・・・。」」
え、え・・・と・・・?
「私の歴史が変わってる。」
「「・・・。」」
「そして私が一人しかいないってことは、私はもう一度ここから新しい人生を送らないといけない。」
「「・・・。」」
「つまり---元には戻れない。」
「「・・・。」」
「そういうことだよな。もう飲まなきゃやってらんない。」
「「・・・。」」
そう言って更にビールを煽る彰ちゃん。
出来れば俺にも1本下さい。
飲んでないと着いていけません。
「別に・・・いいじゃねぇか。」
「え?」
しばらく続いた沈黙の後
彰ちゃんの隣に座ってる迅さんが呟いた。
とある女子への考察03 realReal
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