---ぴんぽーん
「--------っ!!」
不意に鳴り響いたチャイム。
耳元でシンバル叩かれたかと思うくらいでかい音だった。
思わず体がビクッとした。
どうやらいつの間にか眠ってたらしい。
いやいやそんなことより
(まさか----!)
飛び起きた。
飛び起きて走った。
急いでチェーンを外す。
そして鍵を回して玄関を開け
「迅さーん!!」
「あれ、風邪じゃなかったのか?随分元気そうじゃん。」
扉の向こうには悪友が2人。
プリントを持って立ってた。
がっかりした。
ものすごくがっかりした。
いやその前にあいつは
「橘から聞いたんすけど!彰ちゃんって本当に迅さんの隣の部屋なんすね!羨ましー!」
「それで呼んでいいのかよアラタ。また殴られるぞ。」
「大丈夫大丈夫!彰ちゃん留守みたいなんで!」
「そういえば、迅。佐野は病院に行ってんのか?留守みたいだけど。」
「・・・・・・。」
自分で確認する手間も掛からなかった。
やはり、あいつは帰ってきてないらしい。
「・・・寝てたから分かんねぇ。ていうか今何時?」
「6時前っすよ!」
6時って・・・
随分寝てたんだな俺は。
「とりあえず早く上がらせて。それとタオルも貸して。雨にやられた。」
「え?」
「早く早く。そうだ、歌番撮ってくれたんだろ?早く見たい。」
「俺もお邪魔しまーす!」
「え---」
「ていうかなんで彰ちゃん家の前に椅子が置いてあるんすか?」
「・・・さぁ。」
誰かと話したい気分じゃなかった。
だが一人にもなりたくなかった。
仕方ねぇなと思いながらも2人を止める気になれずそのまま招き入れた。
そして開けっ放しにされた玄関のノブを掴む。
「・・・。」
いつの間に降り出したのか。
外は雨が降ってる。
「・・・・・・。」
チラッと隣を見た。
イスが動かされた様子はなかった。
「はい、プリント。」
「サンキュ。」
部屋に戻ると我が家のように定位置に座ってくつろいでる栗色髪の優男。
こいつは黒田唯。
"ユイ"という響きが女っぽいと言って名前で呼ばれるのを嫌う偏屈者。
ちなみに付き合いは長い。
「あれー!見知らぬ鍋が置いてある!まさか彰ちゃんっすか?一緒にご飯でも食べたんすか!?」
「うるせぇ喚くな。座ってろ。」
落ち着き無くうろちょろと部屋を徘徊する茶髪の小動物。
こいつは大崎アラタ。
黒田と逆でこいつは名前で呼ばれたがる。
そしてなぜか俺と話す時は敬語。
しかもさん付けで呼ぶ。
こいつも付き合いは長い。
「で?彰ちゃんとディナーしたんすか?」
テーブルを挟んで床に座り込むアラタ。
身を乗り出して同じことを聞いてくる。
しつこいヤツだ。
「うるせぇな。一緒にメシ食ったらダメなのかよ。」
「「え!?」」
「・・・なんだよ。」
黒田にまで驚かれた。
「家に上げたんすか?」
「上げないとメシ食えねぇだろ。」
「え、マジで上げたのか?ウソだ・・・まさかその後ここで佐野と---」
「は?」
「ウソ!そんな!彰ちゃんとこのベッドで!?」
「ヤッてねぇよ。変な想像すんなバカ、アホ、アラタ。」
「なんかそれ間違ってますよ!!」
膝を叩いてプンプンと怒るアラタ。
そして訝しげに俺を凝視する黒田。
どうやらこいつらは俺が女を家に上げたことに驚いているらしい。
だが思い返せば今までかつて女を家に上げたことがない。
上げるどころか特別な女を作ったことすらない。