なんか気になる

なんか気になる06 realReal






「西本ーー、開けてー。」
「・・・。」
「あ、やっぱ怒ってる?」
「・・・。」
「ごめんごめん悪かった!謝るから!」
「・・・。」
「ご飯作ってきたんだけどなー。」
「入れ。」





サボリを決行した日の夜。
来るとは思っていたがやはりあいつはやって来た。

しかも夕飯と共にやって来た。


絶対許さんと思っていた。
だが軽く食欲に負けた。





「で、どこに行ってたんだよサボリ魔。」





すごくいい匂いがする。

カレーだな?何カレーだ?
鍋の中身が気になって仕方が無い。

だが説教が先だ。
一応サボりの原因を聞いてみた。





「悪い悪い。今日は町の探索に行って来た。主に駅前の公園。」
「公園?」
「そ。言っただろ?そこの前で引かれたって。」
「ああ・・・」





今日は初っ端から妄想モードらしい。

もういい。
それは後で聞いてやるから先に飯にしてくれ。
腹が減って死にそうだ。





「今日はなんと!カレーライスでーす!」
「・・・。」
「どうだ!すごいだろ!」
「・・・すげぇ。」
「そ、そっか?」




決して均等とは言えない大きさのジャガイモやニンジンがゴロゴロ入っているカレー。

その不細工な形が「手料理」を強調しているようで嬉しくなった。




「美味いか?」
「・・・美味い。」
「そりゃよかった。」
「・・・。」




ニカッと笑って自分も食いだす。

ひと口ふた口さん口・・・
でかい口を開けてパクパク食していく。




(・・・ふーん。)




「飾らない笑顔」と「豪快な食べっぷり」

女らしくないソレも悪くないな、なんて思いながらカレー完食。








「今日の夜なんだけどさ。ちょっと付き合ってくれないか?」








(え・・・)






何を言うかと思えば夜に付き合えときた。






一瞬、そっちのお誘いかと思った。






「公園に行きたいんだ。」
「は?」
「さっき言っただろ?その公園に行きたいんだけど。なんか、その・・・」
「・・・。」
「一人じゃ心細いっていうか・・・」
「・・・・・。」





なんと。

男女のお誘いどころか妄想に付き合えと言う。





もちろん初めは嫌だと思った。





なぜなら外は寒い。

それに勉強の時間も削られてしまう。
出来れば辞退したい。





だが






「頼む!着いて来てくれ!」
「・・・。」
「上手く行けば戻れるかもしれないんだ!」
「・・・。」
「私がいなくなった方がお前も楽になるだろ??」
「・・・。」





そう言って手を合わせる様子がヤケに真剣で



---妄想じゃないのかもしれない



少しだけそう思った。






「行けばいいんだろ行けば。」
「っ西本ーーー!!」






仕方なく行くと言えば飛び上がるほどの勢いで喜ばれた。

なぜだかすごくいいことをしたような気になってしまった。







その後、お別れプリンを食べた。







甘くて美味かったけど

「お別れ」って言葉が耳から離れなくて、なんとなく変な気分になった。








そして午後10時40分







「じゃあ行こっか。」
「ああ。」
「ごめんな、勉強する時間使わせて。」
「別にいい。」





リュックを背負ったヤツと共にアパートを出た。





「妄想のくせに本格的だな」と思う自分と
「マジでいなくなるのかよ」と思う自分





妙な感じだ。





「それにさ、帰りは一人になるけど・・・怖くないか?」
「怖いわけないだろ。」
「一人で帰れるか?」
「あのなぁ、ガキ扱いすんな。」
「あ、ごめん。」





公園に向かう途中、帰りのことを心配された。

見た目はガキのくせになぜか年上の人間に言われてるような気がする。

どうも変な気分だ。








そして、午後10時50分。