『あ、西本?俺。』
「・・・誰。」
『俺だよ俺、橘。』
「・・・ああ。」
午前6時半。
そろそろ朝か、と思って携帯を見たらちょうど電話が掛かってきた。
犯人は担任の橘。
全くの他人だがなぜか気にかけてくれる兄的存在でもある。
「・・・なに?」
「あのさ、お前の隣の佐野。」
「佐野・・・?ああ・・・」
「あいつ、学校サボるかもしれないから学校来るとき連れて来て。」
「はぁ?」
「頼むよ。面倒見てやって?」
やけに気にかけるなと思った。
それにサボるって、転校して2日目だぞ?
そんないきなり・・・
「おはよー西本。何か用か?」
「・・・なんだよその格好。」
仕方なく迎えに行ってやった。
するとビックリ。
登校時間だってのにジーンズにロンT姿で出てきやがった。
さすが変人、サボる気満々だ。
「なぁ西本、腹が痛い。」
「我慢しろ。」
「頭が痛い。」
「痛くない。」
「風邪引いた。」
「引いてない。」
なぜか学校に行きたがらないこいつ。
高校生のくせに、学校を何だと思ってんだ。
その前にその薄っぺらなカバンはなんだ。
教科書入ってるのか?
やる気あんのか?
「高校生が一人で住めるところなんて簡単に見つからないだろ。」
「え?」
この話をするのは好きじゃない。
なんで一人で住んでるの、とか
親はどうしてるの、とか
自然、そういう話に流れるし
付け入ったことを聞かれるのは好きじゃない。
でもこいつが
なんで言いなりになるんだとか
センコーなんか無視しとけとか
そんなことを言うのでポロッと言ってしまった。
こいつだって高校生の一人暮らし。
恐らく橘に世話になってあの家に住むことになったんじゃないかと思う。
そう考えるとちょっとはあいつに感謝しろよなんて思ってしまったわけだ。
「・・・。」
「・・・。」
(しまった・・・)
まぁ、すぐに後悔した。
だって、こいつが何をどう思おうと俺には全く関係ないし、興味も無い。
「橘ってどんなヤツ?」
「・・・別に、普通の人間。」
「あいつのこと、好きなのか?」
「・・・嫌いじゃない。」
変な空気が流れるかと思った。
だが何も変わらなかった。
一人暮らしのことも親のことも聞かれなかった。
それどころか、なんと橘が好きかと聞かれた。
「ふーん。」
嫌いじゃないと答えると気の抜けた返事。
(・・・。)
チラッと横を見ると至って普通の表情のこいつ。
何か考えてるような
何も考えてないような
そんな掴めない様子になぜか気を取られてしまった。
「ふぁ・・・・眠い・・・」
「寝れなかったのか?」
「こんな状況で寝れるわけないだろ。」
「・・・。」
「お前は?」
「・・・寝れた。」
「そっか、そりゃ良かった。」
その後、普通に世間話をしながら学校へ向かった。
なんか気になる03 realReal
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