なんか気になる

なんか気になる02 realReal






(なんだ・・・?)






何かが変だということは分かる。

でも何が変なのか分からない。






「お前みたいなガキに興味は無い!」






これを言われた時、ハッとした。






(そうか・・・)






目が違う。






こいつの俺を見る目は、他の女とは違う。






そう思った。






なんて表現すればいいか分からないが






イヤじゃないと思った。






まぁ、究極の変人だけど。








「お前さ・・・私が元に戻るのを手伝ってくれないか?」
「は?」





なんでこんな展開になったのか良く分からない。





「まぁまぁそう言うなよ!これからヨロシクな!」





気付いたら言いくるめられてた。

しかもなぜかこいつの妄想に付き合うことになってしまった。
マジで意味が分からない。











それからはすっかりこいつのペースだ。









「西本ーー、開けてー。」





バイトから帰り、インスタントでも食うかとキッチンに立つと同時に聞こえたチャイムと声。

犯人はもちろん佐野彰。




(何の用だよ・・・)




協力すると約束はしたがまさか早速?
しかも家に押しかけてくるとは。


一応玄関に向かった。
だがドアは開けなかった。



だってそうだろ?



協力することにはなった。
あいつのこともイヤではない。

だが必要以上に親しくなりたいわけじゃ





「ご飯、まだだろ?」
「・・・入れ。」





軽く食欲に負けた。




「もしかして・・・女子にご飯作ってもらうの初めて?」




まぁ、初めてだな。




「ひょっとして照れてる?」




まぁ、照れてるな。

俺だって純粋な高校生。

手料理にそれなりの憧れはある。
たとえそれが変な女の作品だとしても。


それに母親の手料理も食ったことないからな。
温かい料理に未知の世界を感じる。





「よーし。それじゃあ彼女がいない西本君の為に!お姉さんが毎日ご飯作ってあげよっか?」




正直言って魅力的な申し出だった。

「お姉さん」って妄想はどうかと思ったけど。



でも温かい料理が食えるなら・・・

お姉さんでも妄想女でもいい。
作ってくれるなら作って欲しいと思った。





「・・・食ったら帰れよ。」
「え、なんで。」
「帰れ。」
「嫌だ。」





まぁ、素直に作ってくれとは言えない。







その後、一緒に片付けをした。






そしてその後、妄想についての作戦会議が始まった。






「どうやったら戻れると思う?」


戻る戻るって言ってるけど・・・
一体どこに戻るつもりなんだ。




「思ったんだけどさ。もう一回トラックに引かれてみるとかどうだろ。」


もう一回って・・・
引かれたら死ぬんじゃねぇの。




「それともあれか?階段から落ちてみるとか・・・うーん、でも痛そうだよな。」


確かに痛そうだ。






「どう思う?」






どう思うって言われても・・・







(なんなんだこいつ・・・)







見た目は普通の高校生
学校にいる奴らと何も変わらない


ただ、妙な妄想癖と女らしくない言葉遣い。

この二点は圧倒的に変わってる。



それとやはり







俺を見る目が他とは違う。








「・・・チッ。」
「舌打ちすんな。」








それに態度もぜんぜん違う。









「明日の夜も飯作ってやろうか?」









まぁ、悪い気はしないというか・・・








「・・・頼む。」
「了解。」








とにかく今は









変なヤツだけど、悪い気はしない。









そんな感じ。