誰か、ウソだと言って

誰か、ウソだと言って14 realReal





「ほら、早く行け。」











これから、どうすればいいんだろう。









知らない世界に取り残されて

帰りたいのに方法が分からなくて











どうすればいいか、全然分からない。


















「おい。」





「・・・・・なに。」


























「帰るぞ。」























スッと立ち上がる西本。







そしてゆっくり









手を差し延べてきた。











「え、あの・・・」


「帰るぞ。」



「帰るって・・・どこに。」

「家。」








家って・・・








「また今夜も来ればいいじゃねぇか。」

「え?」




「ダメならその次も来ればいいだろ。」

「・・・。」













「暇だし、付き合ってやるから。」


「・・・。」














「来い。」

「・・・。」

















泣きそうになった。

















人前で泣くのは得意じゃない。


恥ずかしいし、もう子供じゃないからな。











でも差し出された手と

私を待ってくれてる手に











泣きそうになった。














「やめてくれよ。」
「・・・。」


「あんまり優しくすんな。」
「・・・。」












「・・・なぁ。」

「・・・なんだ。」




















「ありがとな。」




「・・・別に。」












照れたときのくせなんだろうか。

プイッと顔を逸らされた。










「・・・。」

「・・・。」












差し出された手に、自分のを重ねた。













「でっかい手。」

「男だからな。」

「そうなのか?」

「そうだ。」







西本の手はガキのくせにでっかくて









そして、温かかった。











「今日は雨かな。」

「そうかもな。」












明るくなるに連れて空を覆う雲が見える。












今にも降り出しそうなグレーの空













その色が今の自分の心みたいで














また、泣きそうになった。