「西本ーー、開けてー。」
「・・・。」
現在午後7時半。
今日は鍋を持って西本宅を訪れた。
「あ、やっぱ怒ってる?」
「・・・。」
「ごめんごめん悪かった!謝るから!」
「・・・。」
「ご飯作ってきたんだけどなー。」
「・・・入れ。」
初めは怒っていた西本もちらりと私の手元に視線が移動。
そして鍋の誘惑に敗北。
さすが食べ盛り。
「で、どこに行ってたんだよサボリ魔。」
部屋に入り鍋をキッチンに置く。
それに着いて来る西本。
中身が気になるみたいだがまずは説教らしい。
「悪い悪い。今日は町の探索に行って来た。主に駅前の公園。」
「公園?」
「そ。言っただろ?そこの前で引かれたって。」
「ああ・・・」
そう。
今日はトラックに引かれた現場へ行って来た。
もちろんこいつに見つからないよう早起きして家を出た。
悪いとは思ったんだけどな?
どうしても今日行かなきゃならなかったんだよ。
「ま!その話は後にしよう!腹減っただろ?」
「・・・。」
「今日はなんと!カレーライスでーす!」
「・・・!」
「どうだ!すごいだろ!」
「・・・すげぇ。」
「そ、そっか?」
鍋の蓋を開けるとキラキラした目で中を覗き込む。
カレーくらいでそんなに喜ぶとは。
チャーハンといい野菜炒めといい、結構庶民派なんだなお前。
「いただきまーす。」
「・・・いただきます。」
「美味いか?」
「・・・美味い。」
「そりゃよかった。」
「・・・。」
ま、喜んでくれたので良しとしよう。
さて。
「なぁ西本。」
「ん?」
「今日の夜なんだけどさ。ちょっと付き合ってくれないか?」
「夜?」
「そう、11時から1時間くらい。」
「なんで?」
カレー完食。
いつも通り一緒に片付け中。
「公園に行きたいんだ。」
「は?」
「さっき言っただろ?その公園に行きたいんだけど。なんか、その・・・」
「・・・。」
「一人じゃ心細いっていうか・・・」
「・・・・・。」
まぁ、そういうことです。
昨晩、あの歌番をきっかけに色んなことが分かった。
その1 時間がさかのぼってること。
あの後、「自分の知ってるあの歌手」をネットで探しまくったが結局見つからなかった。
逆に思い知らされた。
ここは「私」が生きてた時代じゃない
「高校2年生の私」が生きてた時代だ
簡単に言うと「過去へうっかりタイムスリップ」
どんなにミラクルに慣れたからといってこれはさすがに飲み込めない。
だが無理矢理飲み込んだ。
じゃないと先に進めない。
で、分かったことその2
私は「今日」トラックに引かれたってこと
なんか難しいけど・・・
でも確かに今月8日の11時頃、良子と分かれた後に事故にあった。
そして「今日」は、8日。
変だと思うだろ?
でも何種類もカレンダー見て確かめたんだ。
間違いない。
何がなんだかさっぱり分からないけど。
でも考えるのはやめた。
時間をさかのぼってる時点でミラクルなんだ。
数日のズレなんてどうってことない。
(・・・あれ?)
そこで、ふと思った。
「今日」あの場所に行けば
何か起こるんじゃないかと。
そう、私は元に戻れるんじゃないかと。
だってそうだろ?
こんなことになったきっかけは恐らく事故。
それなら戻るきっかけも事故現場に・・・
そう思うのは自然だ。
つまり、同じ日、同じ時間、同じ場所
これが揃えば元に戻れるんじゃないか。
いや、絶対戻れる。
そう思ったわけだよ。
(おいおい冴えてるじゃん私!)
誰か、ウソだと言って10 realReal
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