ここはどこ、私は・・・

ここはどこ、私は・・・20 real Real




「なぁ西本。」
「・・・なんだ。」








「お前さ・・・私が元に戻るのを手伝ってくれないか?」

「は?」








「だから、手伝え。」
「・・・なんで命令なんだよ。」









「縁」なのかなと思った。






こいつは何も感じないかもしれないけど
とんだ妄想ヤローだと思ってるんだろうけど





目覚めて間もなく対面して

隣に住んでて同級生。

おまけに同じクラスで席が隣。





---西本迅





記憶に無い全く知らない奴だ。

なのになぜか異様に接点が多い。







「ま、とにかく頼むよ西本。お前しか頼る奴がいないんだ。」
「・・・。」






すっごく嫌な顔をする西本。

『絶対嫌だ!』

心の声が聞こえてきそうだよ。




だがしかし!





「手伝わないなら・・・そうだな。毎晩勉強の邪魔してやる。」
「-----------。」
「朝までずっとお前の家の玄関を叩き回してやる。」
「-----------。」
「言っておくが、本気だぞ。」
「・・・。」






唖然とする西本の胸倉を掴む。

そして






「静かに集中して勉強するか。イライラしながら勉強するか。どっちか選べ。」






気合を入れて睨んでやった。







「・・・。」
「・・・。」







20秒ほど経っただろうか。







絶対嫌だ!と頑張っていた西本の目が







絶望の谷に落とされた子犬のような目に変わった。








「・・・頼むから夜は静かにしてくれ。」
「よーし!交渉成立だな!」








がっくりと肩を落とす西本。

そんな奴の肩をたたき、ニカッとスマイルを贈ってやった。






「これからヨロシク西本。ま、すぐいなくなると思うけど。」
「・・・。」
「私のことは佐野さんと呼べ。一応年上だからな。」
「・・・俺まで頭おかしくなりそう。」
「まぁまぁそう言うなよ!これからヨロシクな!」
「・・・。」



















---「縁」なのかなと思った













結果的にその直感は当たってた。









でも後から思い返せば









縁なんて無ければ良かったと思う。