ここはどこ、私は・・・

ここはどこ、私は・・・19 real Real



「もう行っていいぞ。授業に戻れ。」
「・・・お前は?」
「私?私は帰るぞ。」
「帰る?」
「ああ。」
「・・・なんで。」





なんでって・・・





「ここにいても何も分からないような気がしてきた。とりあえず家に帰って作戦練り直してみる。」





そういうことだ。
のん気に空を眺めてる場合じゃない。





「じゃあな西本。勉強がんばれよ。」





軽く手を上げて西本に背を向ける。

そしてドアへ向かっ





「ぐえっ!」





突然首が絞まる。

どうやら制服を掴まれたらしい。





「何すんだ!」
「困る。」
「は?」
「帰られたら困る。」
「え?」




なんで?




「お前を連れ出したのは俺だ。お前がいなくなったら俺の責任になるだろ。」
「なんだよその無駄な責任感。保健室に置いてきましたとでも言っとけばいいだろうが。」
「ダメだ。」
「ダメって・・・ったく、うるさいヤツだな。さっさと行けよ。」
「・・・。」





睨んでやった。
そして今度こそ背を向けて歩いた。

行き先はすぐそこのベンチだけど。





「よいしょっと。」





とりあえず4限目が終わるまで待つことにした。

考えてみたら教室にカバンを置いたままだ。
教科書はどうでもいいが財布は持って帰りたい。





「はぁ・・・あ?」





背もたれて空を見上げると視界に入り込んだ人物。

もちろん西本。

なぜかバツの悪そうな表情のヤツは無言で隣に座ってきた。





「早く戻れよ。授業終わっちゃうぞ?」
「・・・。」
「責任なら心配するな。後で担任に断って早退するから。」
「・・・。」
「本当だぞ?お前に迷惑はかけないから。」
「・・・。」





なぜか返事なし。

ゆったりと長い足を組み、じーっと空を見つめてる。






「・・・。」
「・・・。」







さっさと戻ればいいのになぜか立ち去らない西本。

妄想女だのストーカーだの散々言ってたくせに、もしかして心配してくれてんのか?
しかも無言で?







(なんか・・・)







変なヤツ。







「・・・・・。」
「・・・・・。」







同じ方を見ながら揃って沈黙。







勝手な解釈だけど







この静寂に、小さな安堵を感じてしまった。