ここはどこ、私は・・・

ここはどこ、私は・・・12 real Real




「昨日は緊張してたの?」
「え?」
「寝れなかったんだろ?目の下、隈できてる。」
「あ、ああ・・・」





まぁ、そんなこんなで②を選んだ。

つまり、元の自分に戻る為に高校2年生を演じる覚悟を決め、恐る恐る外に出てみたわけだ。





しかし






実は既に後悔してたりする。






「ねぇねぇ!さっき西本センパイ見ちゃったぁ!」
「えーうそぉ!いいなぁ!私も見たかったぁ!」
「黒田センパイと一緒に歩いてたよ!」
「きゃー!ミラクルツーショットじゃん!!」





休み時間なんだろう。

廊下を歩いていると至る所から聞こえる女子トーク。





(ムリ・・・やっぱムリ・・・)





「うそぉ」も「いいなぁ」も「きゃー」も使いこなす自信が無い。
やっぱり私に女子高生は荷が重過ぎる。





「そういえば文化祭なにするの~??」
「うちのクラスはキャンドルカフェ!」
「キャンドルカフェ?なにそれ超オシャレじゃん!」
「でしょー!」





文化祭?
文化祭があるの?
それは楽しそうかも。






「着いたよ。」
「え?あ、あぁ・・・」





見上げると2年7組のプレート。
どうやら教室に到着したらしい。





「クラスの連中だけど、気のいい奴らだからすぐ慣れると思うよ。」
「・・・そうですか。」




橘の指を追ってチラリと中を見ると固まり合っておしゃべりしてる生徒達。

うーん、幼い!






キーンコーンカーンコーン・・・






「お、チャイムだ。丁度良かったな、着いておいで。」
「・・・はい。」






教室を覗き見しているとタイミング良くチャイムが鳴った。
促されるまま教室に足を踏み入れる。


「よーし、席に着けー」


そう言い放って教壇に立つ橘。
そしてヤツの隣に並び、前を見る。






「・・・・。」
「「「・・・・・・・・。」」」






---しーん






少年少女たちの視線がグサグサ突き刺さる。

まぁ、見るよね。
転校生って珍しいもんね。

気持ちは分かる。
けどすごく息苦しい。






「えー、佐野彰だ。今日からクラスの一員になった。仲良くしろよ。」







ポンポンと肩を叩かれた。






「じゃあ佐野、自己紹介宜しく。」






え、もう私の番なの?

ていうか自己紹介?

自己紹介、自己紹介・・・








「佐野彰です。

 ・・・・・ヨロシク。」








「え、それだけ?」
「・・・。」
「血液型とかどこから転校して来たとか言わなくていいの?」
「・・・いいです。」





トラックにはねられて飛んできましたなんて言えない。
現役バリバリのOLですなんてもっと言えない。





「まぁいっか。とりあえず仲良くしてやってくれ。」





ひとまず橘がしめるとパラパラと拍手を頂いた。

すみませんね皆さん。
すぐいなくなると思うけど仲良くしてください。





「じゃあ、席はあそこね。」





橘が指差す席は廊下側から2列目の一番後。
ふむ、なかなかいい席だ。





「じゃあ授業始めるぞー。」





橘の声を背中で聞きながら席に向かう。