「もういいだろ。手ェ放せ。」
「え、あ、ああ、すみません・・・」
手の甲を突かれる。
どうやら掴みっぱなしだったらしい。
胸倉を解放すると神様の服はしわくちゃになってた。
「じゃあな。」
「え、帰っちゃうんですか?」
「当たり前だろ。まだ勉強の途中だ。」
「途中って・・・不安なんで寝るまで一緒にいてくださいよ。」
「ふざけんな。もう十分付き合ってやっただろうが。妄想に。」
心底嫌そうな顔をされた。
どうやら私より試験の方が大切らしい。
ていうか妄想ってなに。
「大丈夫だ、お前なら寝れる。」
「・・・。」
「もし眠れなかったら、そうだな・・・」
「・・・。」
「羊を数えろ。」
そんなんで眠れたら睡眠薬はいらねぇんだよ。
そう思ったが口には出さなかった。
代わりに無言で頷いた。
「よし。じゃ、静かに寝ろよ?」
そして神様はそう言い捨てて
---ガチャ、バタン
天国ではなくなぜか隣の家に帰って行った。
「--------。」
しばらくの間、玄関を見つめて放心状態。
だって、なんかもう色々と疲れた。
「・・・。」
とりあえず、寝ればいいんだろうか。
まぁ、寝ればいいんだろうな。
寝れば戻ると言われたわけだし・・・
神様の思し召しは素直に受け入れた方がいいと思う。
「・・・よいしょ。」
電気を消してベッドに潜り込む。
そして目を瞑った。
「寝れるか。」
眠れるわけが無い。
「くそ、あの薄情神様め。やっぱり一緒にいてもらえば良かった。」
モゾモゾと寝返りを打ち
神様に悪態をついて
「羊が一匹、羊が二匹・・・」
ひたすら羊を数えた。