ぽっちゃり系

ぽっちゃり系 05 SAKURA∞SAKU second

---純---





有「どこに行くんだ?」

「ご飯食べ。」

有「え。いやいや純君。今日は晩飯は抜きにするって---」

「いいから。」

有「良くない!」

「言うこと聞いてね。」

有「・・・・・・・・・・・うぃ。」






なんでだろう。

少し前から姫は従順だ。





まぁ、今はそんなことはどうでもいい。






今日は姫にちゃんとご飯を食べてもらうために呼び出した。






有「純君、君もあいつらの仲間か?私を太らせようと企んでるのか?」

「あいつらなんかと一緒にしないでよ。」

有「じゃぁ---」

「いいから。」






全然太ってなんか無いのにダイエットしている姫。

やっぱり女の子なんだな。


・もっと細く
・ダイエット○ーラ
・一口残す


女の子の頭に常設されている思考。

姫にも有るって分かっただけで可愛さ7割り増し。

とっても可愛いと思う。






有「さ、菜食?」

「うん。このお店、ヘルシー料理で有名なんだ。」

有「ヘルシー料理!!」






ちなみに今日は菜食で有名なお店にやってきた。

自分の好みではないけど、実家の関係で知った店。

実家のことはあんまり好きじゃない。

でも料理店をたくさん覚えたっていう面では感謝してもいいかなって思う。






有「ヘルシーってことは食べても大丈夫ってことか?太らないってことか!?」






最近姫はダイエットと称してご飯を食べない。

それって健康にも良くない。

そもそも姫は全然太ってないのにね。






「野菜メインの料理を出してくれるんだよ。」

有「野菜は大好きだ。特に葉っぱ。あ、キャベツのことね。」





葉っぱ?

確かに葉っぱだけど・・・






「カロリーも抑えてあるし美味しいし。ダイエットには最適だと思うよ?」

有「・・・・・・・・・・純君、やっぱり私の味方は君だけだ。マジで嬉しい。」

「そのまま俺のモノになっちゃいなよ。」

有「なっちゃおうかな。」






なるほど。

こっち方面で押したらいけるかもしれない。






有「こんなに食べても大丈夫なのか!?」

『はい。通常、女性が夕飯に摂取する半分のカロリーで作らせて頂いております。』

有「ななななんと!」

『たくさんお召し上がりくださいませ。』

有「は、ははぁぁ!ありがとうございますっ!!」






料理の説明をしに来た店員さんに深々と御礼をする姫。

あまりの感激っぷりに店員さんが困っている。






「いっぱい食べても大丈夫な料理もあるんだよ。」

有「・・・・・・毎日ここに来たい。」

「来たい時は連れてきてあげるからね。」

有「王子、君はマジで私の王子だ。」

「なにそれ。」






『それじゃぁ・・・・いただきます』と言ってニコニコしながら食していく姫。

久しぶりに見た。

姫のキラキラした笑顔。






有「あー、美味しいなぁ。人間やっぱ食べ物で構成されてるんだなぁ。ありがとね。君は私の体の一部になり余すことなくそのエネルギーを使い切ってやるからな。」






なんだか不思議な世界に行ってしまった姫。

けど、美味しそうに食べる姫はとっても可愛い。







有「いやぁ美味しかった!久々にご飯を食べたぁって感じだ!」







今までダイエットしたことがないのか、『姫のダイエット』はかなり極端。



ご飯食べない。

とにかく『食べない』ことに専念している。



それで痩せても絶対リバウンドするよね。

『私のダイエット失敗談』

良く見るそれの代表例に挙げられること間違いない。






「満たされた?」

有「満たされたー。これだけ食べてカロリー半分なんて有り得ねぇ。」

「でしょ?ダイエットするならちゃんと食べて、それで痩せないと変な痩せ方するよ?」

有「変な痩せ方・・・」






一瞬考え込む姫。

なに。
何かあった?






有「そういえば。何年か前に友達に言われた。」

「え?」

有「極端なダイエットしたんでしょって。」

「・・・・・・・・・・・。」






それって・・・・・・






有「そういえば大学卒業してからすっげぇ体重落ちたな。ダイエットしたつもりは無かったんだけど。」






それって---

夢の一件があったからなんじゃないの?







有「あれって---」

「ねぇ、姫。」

有「ん?」






多分予想は当たってる。

そして姫はなんで痩せたか分かってない。

今更分かる必要もない。






「体重が増えたかもしれないけどさ。今の姫はとっても魅力的だよ?」

有「へ・・・」

「女の子はもっと痩せたいって思う生き物なのかもしれないけど。あまりにも細すぎると不健康に見える。」

有「不健康?」

「うん。今の姫は健康的で、前よりずっと素敵だよ。」

有「そ、そうか?」

「そうだよ。他人の意見って結構大切だよ?」

有「・・・・・・・そっか。」






もじもじしながら俯く姫。

やめて可愛すぎる。

ある意味、俺達にとってぽっちゃり姫は凶器なのかもしれない。






有「実際、同姓として女の子はちょっとぽっちゃりしてる方が元気に見えて好きだ。私も健康的に見えるように努力してみる。」

「うん。お腹いっぱい食べたいなぁって時はカロリー考えてくれるお店に連れて行ってあげるからね。」

有「ほ、ほんとか!?」

「毎日でもいいよ。」

有「・・・・・・・・・・恐ろしい誘惑だ。」

「誘惑してるんだよ。」

有「・・・・・・・・王子め。」






餌で釣ってるって言ったらそれまでなんだけど。

あいつらよりは正統派だと思う。

ケーキ(さん)とかプリン(さん)とか食べてたらどんどん太っていっちゃうよ。

まぁ、もう少し丸くなって欲しいっていう願望は分からなくはないけどね。







有「ありがと純君。」







(うわぁ・・・)







ちょっぴり女の子らしくなって。

そんな姫から笑顔でお礼なんて言われたら・・・

そりゃ我慢出来なくなるってモンだよね。






「それじゃぁ・・・お礼はこれで。」


有「---------!!」







ご飯に満足してまったりとしている姫に近づいて。

その可愛い唇に自分の唇を軽く重ねた。






「姫のキスがもらえるなら。ダイエットにだってなんにだって付き合うよ。」

有「えっ!!!!?」






今までと変わらない反応のはずなのに、やっぱり可愛さ7割り増し。

あぁこれは要情報ね。

実は7キロ増えちゃったって。






そして、せっかく近づいたから






抱きしめてみた。






「姫。」

有「えっ!なななななんすか!?」

「抱き心地がすっごくいいよ。」

有「は!?」

「なんかね、柔らかい。女の子って感じ。」

有「おおおおお女の子・・・・・」

「そう。」






7キロのうちの4キロは胸に着いたんだと思う。

あいつらが騒ぎ立てるのが分かるよ。

だって抱きしめた時に胸元が主張して・・・・・

とにかくあれだよ。






煽られる。






有「とととととにかくサンキューな!変な痩せ方しないように気をつける!」

「うん。明日もここに食べに来る?」

有「え、いいのか?」

「毎日でもいいよ。」

有「・・・・・来ちゃおっかなぁ。」





父さんありがとう。

初めて感謝するよ。







その後、ヘルシーなデザートを堪能して







家に帰った。












要「あのなぁ!俺は有希とデザート同盟組んでんの!」

孝「お前も今の有希がいいと思うだろ?」

真「痩せられたら困る。邪魔すんな。」

累「有希とご飯食べに行ったの!?なんて羨ましい・・・・・純、抜け駆けすんなよ。」






それぞれ言ってる意味が違いすぎてワケ分かんない。






とりあえず







あいつらから思い切り攻め立てられたのは言うまでも無い。