ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part3

ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part3—–9 SAKURA∞SAKU second

そこからはほとんど覚えてない。

 

気付いたら瀬尾に止められて
男は地面に蹲ってた。

 

そして今

 

有希に見上げられてる。

 

(・・・あの時と同じなのか?)

 

停電の時、触れたら更に怯えられた。

簡単には触れられない。

 

「有希・・・・もう大丈夫だ。」

 

他に気の利いた言葉があればいいのに。

だが情けねぇ・・・
これしか思いつかない。

 

(どうすれば・・・・・いい?)

 

あの時の真樹のように踏み込むべきか?

でも----出来るのか・・・俺に・・

 

有希も動かない
俺も動けない

 

しばらく、沈黙が続いた。

 

 

「・・・・こ・・・う。」

「-----!」

 

 

沈黙を破ったのは有希。

 

(俺の・・・・名前・・・)

 

どうやらあの時のようにパニックに陥ってるわけではないようだ。

それなら・・・

 

(触れても・・・大丈夫か?)

 

そう思うのに手が動かない。

普段は好き勝手やってるくせに
こういう時に限って役に立たねぇ----

 

 

 

「------っ!!」

 

 

 

突然のことに息を呑む・・・

 

有希が近づいてきたのは分かった。

 

そして気付いたら・・・

 

有希が胸の中にいた。

 

 

有「----っ、---、--」
「有希・・・」

 

 

声を出さずに泣く有希。

その体は小さく震えていて・・・

 

「もう-----大丈夫だ。」
有「・・・・・っ・・・ん。」

 

恐る恐る抱きしめてみた。

震えが---大きく伝わってくる。

 

 

有「怖かっ、た・・・・・」
「-----!」

 

 

聞こえるか聞こえないかの小さな声。

 

だが今まで聞いたことのないこいつの弱音が

 

はっきりと聞こえた。

 

 

 

 

「お前は、俺が守る----!」

 

 

 

 

このまま消えてしまうんじゃねぇかと思った。

 

無意識に腕に力が篭る。

 

壊さないように

だが、強く抱きしめた。

 

 

「有希・・・・・」

 

 

胸がズキズキする。

 

 

痛くてたまんねぇ。

 

 

 


 

有「・・・・ごめん、もう大丈夫だ。」
「・・・・・・。」

 

どのくらいそうしてたのか。

もぞもぞと動き出したかと思えば---

大丈夫だと?

 

瀬「孝さん!迎え来ました!行きましょう!」

 

そんなわけあるか、と思いつつも
ちょうど同時に瀬尾から声を掛けられた。

 

「----あぁ、分かった。」

 

迎え頼んでくれたのか。
助かった。

 

「歩けるか?」
有「あぁ、大丈夫。」
「ほら。」
有「・・・・・。」

 

手を差し伸べると、なぜか躊躇する有希。

 

「どうした?」
有「・・・・・反対の手、貸してくれ。」
「なんで。」
有「・・・こっち、捻ってんだ。」
「・・・・・・・。」

 

弱々しく笑って見せる有希。

そして胸の前に重ねた手に視線をやると

右の手首に指の跡。

 

手を捻ったって・・・

締め上げられたってことか?
指の跡が残るほどに、強く----

 

『五十嵐!早く!』
「・・・あぁ。」

 

(あのヤロー、絶対許さねぇ・・・)

 

釈然としないまま反対の手を掴む。

 

そして迎えの車に乗り込んだ。