ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part3

ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part3—–6 SAKURA∞SAKU second

「・・・・手、離してくれよ。痛い。」
『嫌だね。』
「電話中なんですけど-------おい!」

 

孝と繋がってた携帯

 

「・・・・・何すんだよ。」

 

切りやがった。

 

『どうせ男だろ?』
「だったらなんだ。」
『ちょっと付き合えよ。』
「そんな暇ないって何度言えば----こ、こら待て!」

 

(・・・・・・ってぇ!)

 

間違っても・・・・こいつも男だ。

力じゃ敵わねぇ。

 

(やべっっ!!)

 

逆に締め上げられた手からは力が抜けて携帯が落ちた。

だがそんなのお構い無しだ。
力任せにぐいぐい引っ張っていく。

 

(ちょっ----ちょっとちょっと!!!!)

 

「何すんだよ!放せって!」

 

ガキは店の裏通りに入っていく。
表はあんなに賑わってんのに、こっちは人も歩いてない。

そして暗い・・・・・

 

「聞いてんのか!?放せっていってんだ!」

 

どんどん奥へ引っ張られていく。

マジで待ってくれよ・・・
さすがにこれは----ヤバい!

 

「いい加減にしろっ!」

 

力任せに手を振り払った。

 

(い・・・・・てぇ・・・)

 

まぁ、強く握られてたんだ。
それを無理に引き抜いたら・・・

 

『大人しくしてれば痛い思いもしなかったのによ。手、捻っちまっただろうが。』
「・・・・・誰のせいだよ。」

 

立ち止まった私を振り返るガキ。

その口元には笑みを浮かべてる。

 

だが-----目が笑ってない。

 

(ちょっと・・・・・どうしましょ・・・・)

 

後ろには2人。
前にはこいつ。

リアルに逃げ場無し。

マジで・・・・・どうしよ。

 

「何か用か?急いでるんですけど。話なら手短にお願いします。」

 

とにかく---逃げねば。

ガキの方か、それとも二人の方か。
単純に考えてガキ一人の方が突破しやすいとは思うが---

とりあえず、まずは落ち着いて話そう。

 

『話?そんなのねぇよ。』
「・・・・・じゃぁ退けよ。用はねぇんだろ?」
『大人しくしてろ。』
「----っ!?」

 

行く手を遮りながらジリジリと近づいてくるガキ。
自然、後ずさりしてしまう。

だが狭い通りだ。
すぐに壁が背中に迫った。

 

「おいおい。お前・・・・こんなことしちゃうわけ?」

 

こうなったら誰か通るまで時間稼ぎするしかねぇ。

それに不自然に電話を切ったんだ。
孝が探しに来てくれるはず。

 

『お前ら、見張っとけよ。』
『分かってる。』
「----!」

 

連れの2人は揃って同じ方向へ---
今通って来た方へ向かった。

え、それって反対方向は行き止まりってことか?
ここって通り抜け出来ない感じ?

それじゃお前・・・
通りすがりの誰かなんて絶対来ないじゃないか。

ヤバイ。
ヤバすぎる。

 

「ちょっと-----なんのつもりだよお前。」
『だからぁ、お前は俺のモンにするって何度も言ってるだろうが。』

 

壁に手を当て見下ろしてくるガキ。
そしてニヤリと口角を上げた。

 

「・・・・・それって、こういう意味で?」
『そう。』
「・・・・・・・。」

 

ゆっくり

ゆっくり

頬に手が近づいてくる。

 

「ちょ、ちょっと・・・マジでやめろ・・・っ!」

 

頬に手が触れた。

冷たいソレに思わず息を呑んでしまう。

 

やばい・・・

 

なんか

 

 

怖い・・・

 

 

『急に大人しくなったぁ。やっぱりお前も女だ。』
「・・・・煩ぇ・・・・・退けよ。」
『なんだ?聞こえねぇよ?』
「----っ!」

 

静かな私に気を良くしたのか
クスクス笑いながら頬を撫でてくる。

 

嫌だ・・・

 

嫌だ!

 

「は、放せよっっ!!!」

 

両手で奴の胸を押す。

これ以上は止めてくれ。
近づかないでくれ。

さっさと消えてくれよ!

 

『そんなに怯えるなよ。煽られるじゃねぇか。』
「--------っ!!」

 

渾身の反撃も無駄な抵抗。

両手を壁に押し付けられた。

 

そして

 

唇も・・・

 

 

(-----------っ!!!)

 

 

『・・・・ってぇ・・』

 

 

無意識に奴の唇を噛んだ。

口の中に鉄の味が広がっていく。

 

『痛ぇじゃねぇか・・・』
「------っ!」

 

ギリギリと両手を締め上げられる。

絞められ過ぎたからか
それとも恐怖心からか

どんどん感覚がなくなっていく。

 

(・・・・・怖い・・・・誰か・・・・)

 

『許さねぇからな。』
「-------っっ!」

 

更に強く締められる手首

そして再び近づいてくる唇

 

恐怖で体が震える
心臓が変な鼓動を叩く---

 

視界が

 

 

狭くなっていく。

 

 

 

 

『なんだてめぇは!』
『ぐっ!!』

 

 

遠くで、男の声と鈍い音が聞こえた。

 

『・・・・なんだ?』

 

もう少しで唇が重なる寸前

ガキの動きが止まり

釣られて音の方を見る---

 

 

 

 

「・・・・・・・孝。」

 

 

 

 

狭い視界の中に映ったのは・・・

 

俺様孝様。

 

 

安心してしまって

 

 

涙が零れた。