・・・変だ。
『飲んでるか?ネネ。』
「頂いてますよー。」
この前はあんなに終わってから会えだの飲みに行くぞだのしつこかったってのに・・・
どういう風の吹き回しか今日は一切誘ってこない。
嬉しいかと言えばすっげぇ嬉しいが・・・
こう態度が違うと逆に怪しすぎるっての。
(なぁに企んでるんっすかー?)
それともまさか、こいつも工藤のように改心したんだろうか。
いやいやそれはないな。
そんな顔はしていない。
『お前って面食いなんだろ?』
「・・・は?」
なんだ、いきなり。
『お前の客、ルックスはいいもんな。そういうのを選んでるんだろ?』
「え・・・」
あぁ・・・なるほど。
そんな風に見れば私は超イケメン好きの面食い女だな。
ふむふむ、そういうイメージで私を見てるわけね。
「言っとくが私は面食いじゃねぇぞ。」
『説得力ねぇな。』
「まぁ、確かに。」
ま、こいつにどう思われようがそんなのどうだっていい。
『さて、そろそろ帰るか。』
「え?」
『久々にお前に会えたしな。それに今から行くとこもあるんだ。』
「・・・・・・。」
帰る、だと?
本気か?
あまりにもいつもと違い過ぎてますます怪しい。
-----が!
(ぃ、やったぁぁぁぁ!!)
心の中で小躍りしてやった。
今日も最後までつき合わされると思ってたからな。
嬉しすぎるラッキーハプニングだ。
さすがに露骨に喜ぶわけにはいかないので顔に出ないよう会計を済ませた。
「じゃぁ、ありがとな。気を付けて帰れ。」
『あぁ。そうだ、今度会った時は連絡先教えろよ?』
「・・・今度会ったらな。」
指名を頂いているにも関わらず連絡先を教えるどころか聞いてすらない自分。
なんてやる気のない従業員。
スミマセンでした店長。
だが大変なことになるのが分かってるからな・・・
わざわざ面倒事に首を突っ込むなんてゴメンだ。
『じゃぁな。』
「どうも・・・ありがとうございました。」
しつこくなかったりさっさと帰ってくれたり・・・
なんとも腑に落ちないところもたくさんあったがこれでもう奴と会うこともあるまい。
・・・と願いたい。
(ふぅ・・・)
時刻は23時30分。
あと少しでシンデレラタイムも終了だ。
「ただいま。」
孝「あぁ。」
「あいつ、帰ったよ。」
孝「そうか。」
疲れた体を引きずり、孝の席に戻った。
工「さすがネネさん。人気者だね。」
「はぁ?そんなお世辞はいらん。」
工「お世辞じゃないのに。」
そういやあれから工藤は酒を飲ませてもらえなくなったようだ。
それがいい。
お前は酒で身を滅ぼしかねない。
瀬「それにしても・・・さっきの子、凄かったね。」
「え?」
瀬「ずっと孝さんのこと見てたよ。いや、あれは睨んでたね。」
「え、マジで?」
き、気付かなかった。
というのもあいつの顔を見て無かったっていうか・・・
「ご、ごめんな?」
孝「お前が謝ることじゃねぇだろ。」
「そうだけど・・・」
孝「気にするな。」
「・・・・・うん。」
(全く、最近の若者は・・・)
最後の最後までやらかしてくれるんだな。
まぁ、今となってはどうでもいいことなんだけれども。