停電
今日のこと
そして・・・
この涙
(・・・やっぱり・・・・間違いねぇ・・・)
こいつは・・・
男に乱暴されたことがある
きっと『夢』も
それに関わってんだろう。
有「・・・・・・っ・・・ごめ・・・・」
慌てて目を拭ってる有希。
なんで涙が出てんのか分かんねぇって様子だ。
(なんでそんな顔してんだよ・・・)
感情よりも体の方が素直に反応するなんて・・・
今までどれだけ感情を押し殺してきたんだよこいつは。
有「悪ぃ・・・・・っちょっと・・・待って。」
勝手に出てくるソレに焦る有希。
だがそんな有希を無視して涙は次から次へと零れ落ちてくる。
あの時みたいにパニックに陥ってるわけじゃない。
見る限りでは普段の様子と変わりはない。
それなのに流れてくる涙が不釣り合いで・・・
(涙・・・)
なんか
胸が、痛ぇ・・・
「悪かった。もう何も聞かねぇから・・・・」
これ以上は見てられないと思った。
恐らく男が怖いんだろう有希。
そんなこいつには逆効果かもしれないが・・・
傷つけないようにゆっくり抱き寄せた。
有希の体はやはり震えていた。
それにしても
なんで俺は触っても大丈夫なんだ?
(・・・怖くねぇのか?)
少しだけ、強く抱きしめてみる。
嫌がってる様子-----じゃない。
そういえばさっきも
こいつから胸の中に・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
バカか俺は。
こんな時に何を考えてる。
だが冷静になって思い出すと
なんとも・・・
嬉しい。
(・・・ダメな奴だな俺は。)
全くもって、バカなヤローだ。
あんなことがあってこいつは涙を流してるってのに。
-----俺は有希に触れられる
このことに優越感を覚えてる。
なぜ嬉しい?
なんで優越感?
この不可思議な自分の感情を、ずっと理解できないでいた。
だが今は・・・
素直にこの感情を受け入れられる。
最近ずっとイライラしてた。
原因は分かってた。
要と真樹の豹変振りを目の当たりにしたからだ。
本気で有希に落ちた。
そしてそれを自分自身認めてる。
そんな奴らを見てイライラしてた。
何故だか分からなかった。
結論から言って
色んな意味で『分かった』
手助けしてくれたのは・・・
なんかムカつくがうちの院長のアドバイスと、ヤツがさり気なくくれた恋愛小説。
『お前、好きとか惚れるとかいう感情が良く分からないんだろ。まったく・・・早く気付かないと有希さんのこと逃しちゃうよ。これ読んで勉強しなさいね。』
「・・・・・・・・。」
で、更に結論を言うと
俺は---随分と前から有希に惚れてたらしい。
分かったのがほんの数日前のこと。
今まで自分から求めたことが無かったからな・・・
誰かに惚れた時、自分の感情がどう動くかなんてさっぱり分からなかった。
ま、結果的に分かったから良しとするか。
とは一概に言えない。
分かったら分かったで・・・・
有希に対する気持ちが『恋』だとか『恋愛感情』だとか。
正直・・・・赤面ものだ。
でもまぁ・・・
分かったら分かったで、すっきりはした。
この感情が何なのか、もう悩むこともねぇ。
有「・・・ごめんな。孝。もう・・・大丈夫。」
「・・・・・・・・。」
腕の中でもぞもぞと動き出す有希。
身体はまだ少し---震えてる。
「・・・なぁ、有希。」
「ん?」
「お前は俺が守るから・・・もう怯えるな。」
「----えっ?」
こいつが怯える原因が男だってんなら余計に・・・
絶対に、守る。
「こ、孝・・・?」
「------------。」
有希・・・
俺は・・・
「・・・お前が好きだ。」
有「------え!?」
そんなに驚いたのか、勢いよく顔を上げやがった。
乾いていない涙。
瞳が濡れてきらきらしてる。
そして
体の震えが止まった。