ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part2

ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part2—–9 SAKURA∞SAKU second

「か、要!」
『んー?出たのか?』
「出た出た!どこだ!?」
『えーと。あ、有希発見。』
「マジ!?----あ!」

 

携帯を耳に当てながら歩いてくる要。

またしても周りの女子の視線は要に集中しているわけだが・・・
今はそれを観察している余裕はない!

 

「か、要っ!早く帰ろう!」
要「どうしたんだよ。」
「いいから!」

 

どこにあのガキがいるか分かんねぇからな。
早くこの場を立ち去りたい。

 

要「何があったんだよ。」
「何もねぇよ!ほら、早く・・・!」
要「・・・・・。」

 

疑われている。
とっても疑われている。

私でも疑う。
だってめちゃくちゃ挙動不振だもーん。

 

「あ、後で言うから!とにかく動いてくれよ!」

 

背中を精一杯押す。

が、ビクともしねぇ!

 

要「約束だからな。」
「分かったから!」
要「よし。」

 

なんとか動いてくれました。

 

「タクシーで帰ろう!」
要「ダメ。話せねぇじゃん。」
「え、家で話せば・・・」
要「あいつらに聞かれていいならいいけど」
「あ、あー。まずいことはないけど。別に話さなきゃいけないことでは・・・」
要「俺の部屋ででもいいけど?」
「・・・・・・。」

 

身の危険を感じます。

 

「歩いて帰ろう!」
要「あっそ。」

 

ゆっくり歩くもんだから手を引っ張って急がせた。

出来れば・・・いや、絶対遭遇したくない。
そして更に出来ればもう店に行きたくない。

 

(あっ子ちゃんごめんよー!)

 

あぁごめんなさい。

やらかしましたぁ!
文句ならあいつに言ってくれよー!

 

要「で?」
「は?」

 

掴んでいた手を逆に掴まれる。

考え事してたら店と家の中間地点辺りにある公園まで来てた。
いつの間にこんなところまで・・・

 

(ここまで来ればもう会うこともねぇな。)

 

思わず安堵のため息が一つ。

 

要「何があった。おかしいぞお前。」
「え、あー。えっと・・・」
要「約束だろ。」
「あ、あぁ。そうだよな・・・」

 

さっきは勢いで『後で!』って言っちまったけど。

これって結構恥ずかしい失態内容だよな。
非常に言いにくい。

 

要「早く言え。」
「ぅ・・・・・え、えーと。笑うなよ?」
要「それは話の内容次第。」
「・・・・・そりゃそーだ。」

 

確実に笑われる。
まぁ仕方あるまい。

 

「ガキが店に来ただろ?あいつの席にいる時すっごく迫られてな。ずっと断ってたんだけど聞く耳持ってくれなくてさ。で、さっき見送る時ドアの裏に引っ張られて、強引にちゅーしてこようとしたんだ。」
要「・・・・・んだと?」
「代わりとは言え仕事として入ってるからさ、我慢はしようと思ってたんだけど出来なくてよ。素に戻っちまったんだよ。」
要「・・・・・。」
「そしたら・・・まぁ予想通り固まりやがってさ。付き合う気はねぇよって言って置いてきちまったんだ。」
要「・・・・・。」
「・・・以上です。」
要「・・・・・・。」

 

要さん。
何も言えないくらい笑いを堪えてるんですか。

確かに笑うなと言いましたけどね、『お前ならやると思ってたぜー』とか言って笑ってくれた方が楽なんですが。

 

「日頃お前らの激しいスキンシップで慣れてるはずなんだけどな。やっぱり夜のお姉さんは私には向いてなかったらしい。お前と真樹の言うとおりだったよ。」
要「・・・・・・・。」
「そんなこんなでガキに会いたくなくてさ、だから急いで帰ろうとしたんだ。つまんねぇことだろ?笑いたいなら笑えー。」

 

やはり何も言わない要。

一体どうしたんだ。

飲み過ぎて気分でも悪くなったか?
それともまさか無表情で笑ってるんすか。

 

「・・・・・要?」

 

マジでどうしたんだ?

要の顔を覗き込んでみ

 

 

「-------っ!?」

 

 

一瞬、何が起きたか分からなかった。

 

 

(なっなんだ!?)

 

頭が状況に着いて行かない。

 

 

だって------なんで?

 

 

唇に

 

 

柔らかい感触。