ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1

ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1—–8 SAKURA∞SAKU second

有「・・・間違えましたぁ。」
「おい、さっさと来い。」

 

あのガキのところにいた時とは一変。
仕事用なのか、ニコニコしながらやって来た有希。

しかし俺を見た瞬間見事にフリーズ。
どうやら激しく驚いたらしい。

ていうか何が間違えましただ。
失礼なヤツ。

 

有「・・・失礼しますよ。」
「ああ。」

 

そそくさと立ち去ろうとする有希を一睨みする。
するとしぶしぶ隣に座ってきた。

 

(それにしても・・・)

 

格好のせいか、今日の有希は普段と違いすぎる。

ヤケに女の匂いがするというかなんというか・・・
とにかく---

 

ヤバイ。

 

有「なんで来たんだよ!やりにくいじゃねぇか!」

 

しかもこういう時に限って体を寄せて耳元で話しやがる。

勘弁してくれよ。
そういうことは家でやれ。

 

「なんでってお前・・・面白ぇからに決まってんだろうが。」
有「お、面白ぇ!?なんだそれは!」
「それに---」
有「!?」

 

背もたれに伸ばしていた自分の左腕。
それが勝手に有希の肩を引き寄せる。

 

(おいおい・・・)

 

俺も大概にしろよ。
抑えられなくなったらどうすんだ。

 

有「こ、こらっ!」
「ここじゃ思い切り抵抗できねぇだろ?」
有「は!?」

「・・・今日は逃がさねぇからな。」
有「・・・・・。」

 

ビシッと音を立てて固まる有希。

まぁ安心しろよ。
さすがにここじゃ何も出来ねぇ。

ま、自分を抑えるので精一杯だとも言う。

 

(あー、気持ちいい・・・)

 

左手に感じる温かい体温。
露出した肌から直接伝わるそれがやけに心地良い。

 

それにしても---

 

有「ったく・・・バカかお前は。結局邪魔しに来ただけじゃねぇか。」

 

いい加減、耳元で話すのは止めてくれ。

 

色んな意味で---煽られる。

 

「お前よぉ・・・」
有「なな、なんだよ!」

「あんまり耳元で喋るな。襲いたくなるだろうが。」

 

まぁ、普通に本音だな。

だが有希に対しては十分な牽制になる。

 

有「へっ!?」

 

案の定、思い切り固まった有希。

しかししばらくフリーズした後

とんでもない爆弾を投げて寄こしやがった。

 

有「もう・・・じゃぁキュートなネネちゃん言葉で話すから、離れて。」

 

(え・・・)

 

おいおいお前・・・
それはどうかと思うぞ。

 

・・・可愛いじゃねぇか。

 

それから女のような言葉て話し出した有希。
どうもいつもと違いすぎて調子が狂う。

 

有「・・・ありがと、真樹。」

 

シャンパンを頼んだら礼を言われた。

その程度で礼なんか言うな。

しかもお前・・・
そんな嬉しそうに笑いかけるんじゃねぇ。

 

(チッ・・・)

 

不覚にも酔いそうだ。
色んな意味で。

 

河「-----ぷっ!」
「・・・・・・。」

 

河野はというと俺の様子が面白くてたまらないらしい。

ていうかこっち見るんじゃねぇ。
隣の女と話してやがれ。

 

「--------っ!」

 

突然、胸元に違和感。

あの時みたいに顔を近づけて
そして目を瞑って深く息をつく有希。

 

「・・・・・なんだ。」
有「あーゴメン。真樹の匂い、やっぱり好きだなぁと思って。今日も同じだね。」
「・・・・そう・・・か。」
有「うん。」
河「・・・・・ク、ククッ」

 

とうとう我慢出来なくなったらしい。
ついに河野が肩を震わせて笑い出した。

 

「・・・笑うな。」
河「すまんすまん。」

 

まったく・・・

こんなことなら桜館から誰か引っ張ってくれば良かったか?
ジャンル「女」の有希を一人で相手するのは正直辛い。

 

(はぁ ・・・ )

 

2人きりで話すと呑まれそうだった。
不本意だったが河野も交えて話すことにした。

 

元々人当たりも悪い方ではない上に仕事中ということもあったのか。

有希はなかなかの話上手だったようだ。
意外と言ったら意外だ。

 

あっという間に時間が過ぎた。