ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1

ナ・イ・ト・ワ・-・ク Part1—–7 SAKURA∞SAKU second

<真樹>

 

河「打ち合わせは明後日だったよな?」
「あぁ。」
河「それにしても、今日は面白かった。」
「・・・何が。」
河「お前がだよ。」
「・・・・・・・。」

 

 

今日、突然・・・
有希が夜のバイトをするなんて言い出しやがった。

 

 

(夜のバイトだと・・・?)

 

ふざけんな。
そんなバイトに行かせられるか。

 

有「・・・え、お父さん?」

 

やっぱりバカだ、この女は。

夜を舐めんな。
お前なんかがデビューしていい世界じゃねぇ。

 

有「とにかく、週に2日くらい行くからな。ヨロシク。」

 

しかしさすが有希。
せっかく心配してやってるってのに言うこと聞きやしない。

 

仕方ねぇ・・・

 

ここは一つ、監視が必要だな。

 

というわけで---
急遽、桜館会議が開かれた。

 

要「俺も行きたかったぁ。」
孝「・・・なんで今日なんだよ。」
純「姫がドレス着てるの!?えー、ミーティング休もうかな。」
累「ダメだぞ純。気持ちはとーっても分かるけど。」

「お前ら、残念だったな。」

「「「「-----------。」」」」

 

なんとラッキーなことに
男共は今日に限って全員用事持ちだった。

 

孝「チッ・・・変な虫が着かないようにしっかり見とけよ。」
「はいはい、了解。」
孝「変なマネすんなよ。」
「さぁな。」
孝「てめぇ・・・」
「さっさと行けよ。」

 

俺はついてる。

なぜなら仕事とはいえ有希が隣に座り
時間限定だがあいつを独り占めできる。

そんな夢のような権利を手に入れたからだ。

 

桜館に来て大分時間が経ったからだろうか。

 

学習能力が少しは備わっていたようで、最近の有希は見事な警戒網を張るようになった。

はっきり言って面白くない。

だが---

 

(今日は楽しめそうだ。)

 

早速、ふと思いついた河野を呼び出した。

 

河「へぇ、噂の彼女ねー。」
「噂?なんの噂だ。」
河「お前が遊ばなくなったからさ。決まった女が出来たんじゃないかって女達が大騒ぎしてる。」
「そうかよ。」
河「楽しみだなぁ。」
「おい、余計なことは言うなよ。」
河「努力します。」

 

何を想像してるのか。
俺を見ながらニヤニヤしている河野。

大丈夫かこいつ。
もしや人選を間違えたか?

 

河「その店なら知ってる。結構いい女が揃ってるって聞いてるぞ。」
「他の女はどうでもいいんだよ。」
河「ほー、信じられない発言だ。」
「・・・うるせぇな。」

 

時刻は午後8時半。

店に着いたら結構な客入り。
なかなか繁盛しているようだ。

ちなみに確認の為店員に聞くと本日入店の『ネネ』はちゃんと来ているらしい。

思わず口角が上がった。

 

河「へぇ、いい店だな。」

 

席に通されると河野が満足そうに呟く。

まあ、確かにいい店だと思う。
落ち着いた雰囲気がまずまず好みだ。

 

だがそんなことはどうだっていい。

 

(さて・・・)

 

目だけで店内を見回す。

結構広いフロアだな。
これだけ広けりゃさすがに見つからないか・・・

 

「・・・・・。」

 

偶然、ちょうど見えるところにあいつがいた。
紫ベースのロングドレスを着ている。

 

(おいおい・・・)

 

あいつもやっぱり女なんだな。

かなり---綺麗だと思う。

それに、いつもはカジュアルな露出の少ない服を好んで着てるからな。
こんなに肌を晒している有希を見るのは初めてだ。

まあ、悪い気はしない。

それにしても

 

(しつこいヤローだな・・・)

 

どうやら口説かれているようだ。

肩を抱かれ、一見いい雰囲気のカップルのようだがそうじゃない。

有希のヤツ、どう見ても不愉快らしい。
顔にそう書いてある。

全く・・・だから言っただろうが、お前にこの仕事は無理だ。

 

ボーイが有希の席へ向かった。
そして自分が呼ばれたのだと気付くとホッとした表情になった。

 

(あ・・・)

 

席を立とうとする有希の頬に

 

男がキスした。

 

(・・・・・・・。)

 

まぁ、仕事だからな。
そのくらい普通だろ。

キスくらいで弱音を吐くならさっさと辞めちまった方がいい。

 

(---------。)

 

ダメだやっぱりムカつく。

あのガキ、後でやっとくか?
そうだそれがいいそうしよう。

 

河「なに怖い顔してるんだよ。」
「・・・別に。」
河「変なヤツ。」
「・・・・・。」

 

それにしても

有希のヤツ、いつもあんな顔するか?

 

たまに無理矢理抱き寄せる。
捻じ伏せてキスをすることもある。

もちろん嬉しそうな顔はしない。

だがさっきのような嫌そうな顔を向けられたことも無い。

 

河「・・・なんで嬉しそうな顔してんの。」
「・・・別に。」

 

なんとなく

 

悪い気はしねぇな。