河「今日は面白いモノが見れるな。」
クスクス笑いながら河野さんが一言。
まさかあんたも私を見て面白がってるんすか?
なんと、性質が悪い。
河「真樹が女に熱を上げるなんてね。そんなの今まで見たことがない。」
真「・・・おい。」
え、面白いってこいつのこと?
でも熱を上げるって表現は少々誤りがあるんじゃないっすか。
遊んでるの間違いでしょ。
「あ、シャンパン来た。」
とりあえず飲も飲も。
皆に注いで乾杯した。
「ん、美味しい。」
真「平気か?」
「全然大丈夫。それに帰ってからあんまり飲まなくて良さそうだよ。」
真「そうか。」
「ありがと、真樹。」
真「・・・あぁ。」
礼を言うとふいっと顔を逸らしやがった。
照れてんのかなんなのか、本当に素直じゃねぇよなぁこの男は。
でもクールで武装されてる中に時々優しい一面が隠れてて、なんだかんだでイイ奴なんだよな。
言ったら調子に乗るので絶対言わないけど。
まぁ・・・イイ奴だって分かってるからこそなんだろう。
こいつの匂いにはすごく安心してしまう。
そういえばあの時
真樹がずっと抱きしめてくれてたんだよな。
真「-------っ!」
なんとなく、真樹の胸元に顔を近づけてみた。
(あ、これこれ、真樹の匂いだ。)
香水とタバコもほんのり香るこいつの匂い。
なんだか安心してしまって笑いが零れる。
真「・・・なんだ。」
「あ、ゴメン。真樹の匂い、やっぱり好きだなぁと思って。今日も同じだね。」
真「・・・そう、か。」
「うん。」
河「・・・・・ク、ククッ」
何が面白かったのか。
堪えきれないように河野さんが笑った。
真「・・・笑うな。」
河「すまんすまん。」
そう言いながらも笑い続ける河野さん。
意味がわからない。
サオリちゃんも可愛らしく首を傾げている。
その後、河野さんが音楽関係のお仕事をしてるってのが分かって話が弾んだ。
真樹ともあれ以来「歌」の話をしてなかったからな。
初めは変な感じだったがRYOのことも色々話した。
真「お前の噂、結構耳にする。」
「噂?どんな?」
真「RYOで飛び入りで歌う奴がいるってよ。引っ張りたいっていう会社も多いんだぞ。だが本人がこんなんじゃなぁ。」
「・・・今こんなんって言った?」
真「なんせ適当にカラオケ気分で歌ってたって言うじゃねぇか。」
「・・・ノリだったんです。」
真「どう頑張っても上手そうに見えねぇんだがな。本人を目にしても聞きてぇと思わねぇ。」
「・・・聞かせてって言っても絶対歌ってあげないからね。」
間違いなくけなされてるんだろうが・・・
まさかこんな話をする日が来るとは思わなかった。
正直いってビックリ。
ちなみに真樹の仕事のことも詳しく聞いてみた。
が、聞いても良く分からなかった。
社長ともなるとやはり頭の構造が違うらしい。