「・・・今日は抵抗しねぇんだな。」
「・・・・・・。」
確かに ・・・
腕を掴まれていたわけじゃない
背中が壁だったわけじゃない
逃げ道はいくらでもあった。
でも、動けなかったんだよ。
「有希?」
何も言わない私を不審に思ったのか真樹が顔を覗き込んでくる。
私はと言うと・・・
情けないことにまだ動けないでいる。
「お前・・・」
「・・・・。」
「・・・顔真っ赤。」
「-----っ!言うなぁぁ!!」
なにかと思えばそれかよ!
ていうか絶対そうだと思った!
顔熱ぃもん!
めっちゃくちゃ熱ぃ!!
これ以上言何か言われたら恥ずかしくて死んでしまいそうだ!
(離れてくれェ!)
暴れた。
とりあえず離れてくれ。
落ち着かせてくれ!
「ぅ・・・・・っ!」
なんてことだ・・・
離れるどころかヤツの手に力が篭った。
「は、放せ!」
「・・・・・。」
無駄だ。
無駄だけど・・・・
ひたすらもがく!!!
「ま、真樹っ!」
「すっげー嬉しい。」
「-----へ?」
う、嬉しい?
なんだそりゃ!
「俺のことを考えるお前も。俺のことで紅くなるお前も。マジで嬉しい。」
「な・・・・なな・・っ」
「好きだ。」
「--------っ!!」
もう言うなバカヤロー!
だいたいお前そんなこと言う奴じゃねぇじゃんか!
一体どうしちゃったんだよ今日は!
「なぁ。」
「な、なんだ!」
「前に"恋愛する勇気がない"って言ってたな」
「え?・・・・・・あ、あぁ。」
「今もか?」
「・・・・・・・・あぁ。」
「そうか。」
何を言うかと思えばそれかよ。
でも・・・そうなんだよ。
私は恋愛するのが
いや、人を好きになるのが怖い。
それは今も変わらない。
だからお前の気持ちには-----応えられねぇ。
けど・・・
(お前って男なんだなぁ・・・)
ドキドキした。
いや、実際今もバクバクしてる。
こんなに心臓が小躍りしたのは本当に久しぶりだ。
ずーーーっと前に置き忘れてきた感情を少しだけ思い出したような。
そんな気がする。